こもれびの里にインタビュー

こもれびの里を立ち上げた経緯について教えてください
赤阪
こもれびの里は、平成30年7月豪雨災害で出会ったメンバーで立ち上げました。
災害を通じて知り合ったメンバーなので「なにかを支援・援助する活動をしたい」という想いがあり、災害援助、そして引きこもりのかたや障がいのあるかたの支援をおこなうことを目的にスタートしたんです。
一気に複数の事業をやるのは難しかったので、まず手を付けたのが引きこもりのかたの支援でした。理事長の藥師寺が農業をしていることもあり、倉敷市・総社市の引きこもりのかたに向けて、「うちで農業やりませんか?」と声を掛けるところから始めました。

災害支援だけでなく、福祉の事業を始めたのには、なにかきっかけがあったのですか?
薬師寺
昔とあるニュース番組で、バリバリ働いていた若者が、ある日突然会社に行くのが嫌になり、仕事を辞めて田舎の農家と一緒に野菜を育てている姿を見たことがあります。
野菜は、手をかければきれいに成長するし、手を抜けば育たない。自然と触れ合い、自然と対話しながら生きることが、自分の居場所作りにもつながるんじゃないかと思いました。
また、今は日本全国に耕作放棄地(※放棄された畑)や荒れた里山があります。私が持っている畑でも、手入れが追い付かないところがあるので、そのような部分を引きこもりのかたに手伝ってもらうことで、やりがいを少しでも感じて、社会復帰のきっかけにつなげていけたら良いなと思いました。

こもれびの里の魅力は、どのような部分だと思いますか?
赤阪
地元の特産品の竹を使って社会貢献をしていることです。数ある就労継続支援B型事業所のなかでも、珍しい取り組みだと思います。
こもれびの里は、餅つきやそうめん流しのような季節のレクリエーションも多いので、仕事とのメリハリをしっかりつけながら、みんなで楽しんでいます。

薬師寺
ありがたいことに、こもれびの里を支えてくれるかたは非常に多いです。立ち上げの段階から、大勢のかたに協力していただいて、今もこうして活動ができています。
培ってきた人脈を生かして、利用者さんと社会のつながりを今後も作っていきたいと思います。
日々、どのようなスケジュールで作業しているのですか?
赤阪
作業自体は、午前10時頃から午後4時頃までです。作業所から利用者さんのご自宅まで、車での送迎をおこなっているので、利用者さんはみんな同じタイミングで帰ります。
50分作業したら10分休憩するサイクルで活動していますが、利用者さんが作業に集中しているようであれば少し長めに作業時間をとるなど、利用者さんのようすを見ながら調整することが多いです。
現場には、利用者さんをサポートするための指導員はもちろん、福祉の専門知識を持っているサービス管理責任者もいるので、利用者さんが安心して働ける環境を常に整えています。

薬師寺
最近は、利用者さんが作業に慣れてきてくれたおかげで、内職では多くの量をスムーズに生産できるようになってきました。準備するのもお手の物です。
就労継続支援事業B型作業所では、生産活動の事業の売り上げから工賃を支払います。こもれびの里は、イベントや自社製品の売り上げがしっかりあるので、今後も安定した工賃を支払えるようにしていきたいですね。

印象に残っている利用者さんとのエピソードはありますか?
赤阪
利用者さんの成長を感じられる瞬間が、一番うれしく思います。
イベントに出店したとき、竹炭の使い方などを聞かれることが多いのですが、利用者さんが自ら商品を説明してくれるんです。「自分で作ったものが売れて楽しい」と言ってくれる利用者さんもいましたね。
最初はどの利用者さんも慣れていない作業に戸惑いますが、時間が経つにつれて手順が分かってくるのか、てきぱきと自分から動いてくれるようになるんです。笑顔も、最初のころと比べるとどんどん笑顔が増えてきます。「こもれびの里が楽しいんじゃ」と直接言われたときは、特にうれしかったです。

今後の目標はありますか?
赤阪
まずは、今後もこもれびの里が運営できるように、継続的な支援をしながら利用者さんを増やしていきたいと思います。そのためには、やはりどうしても資金が必要です。
利用者さんと楽しみながら商品開発して、できあがったものをより多くのかたに届けられるように、いろいろと工夫してやっていこうと思います。
また社会貢献として、地元・真備の竹を守り続けていきたいという想いもあります。竹を使ったおもちゃや伝統品を作って、地域の魅力を次世代につなげていく活動もしたいですね。県外の人にはもちろん、地元の人にも竹の魅力を伝えていきたいです。いつかは、真備町の竹をブランド化していけたらと思います。
このような社会貢献をおこなう事業所で、一緒に働いてくれる仲間(障がいのあるかた)も探しています。気になるかたは気軽に見学にいらしてください。

薬師寺
こもれびの里は、多くの地域のかたがたに支えられて運営をしています。今後もいろいろなアイデア・知恵を持つかたと協力しながら、安定した取り組みをしていきたいと思います。
利用者さん一人ひとりの個性に合った活動を提供できる場所であり続けたいです。

おわりに
筆者は、こもれびの里に足を運んだ際、非常になごやかな雰囲気で作業をおこなう利用者さんの姿が印象に残りました。
作業がしやすい落ち着いた環境と、適度に交流ができる人との距離間は、こもれびの里の魅力のひとつかもしれません。
災害復興支援と人の自立支援は、それぞれまったく違うジャンルかと思いましたが、特産品の竹が共通点として生かされていることにおどろきました。特産品を使った社会貢献を今後も応援していきたいと思います。
仕事の体験や見学などは随時受け付けているので、気になるかたはぜひこもれびの里に直接足を運んでみてください。
特定非営利活動法人こもれびの里のデータ

団体名 | 特定非営利活動法人こもれびの里 |
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業種 | 障がい福祉 |
代表者名 | 理事長 薬師寺正志 |
設立年 | 2020年3月13日 |
住所 | 岡山県総社市刑部154番地 |
電話番号 | 050-8884-6822 |
営業時間 | 基本営業日は月曜日から金曜日。 午前8時から午後5時まで。 |
休業日 | 日 |
ホームページ | 特定非営利活動法人こもれびの里 |