インタビュー
倉敷国際ホテル 営業サポートチームの白岩良(しらいわ りょう)さんにインタビューしました。
インタビューは2021年10月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

館内にアート作品が多いですね
白岩
そうですね、間近で見られます。
大原美術館のコレクションの基礎となる作品を集めた児島虎次郎(こじま とらじろう)の作品と、そのひ孫である児島慎太郎(しんたろう)さんの作品が、同じロビーにあります。

偶然ですが、製作年がちょうど100年違いの作品なんですよ。

2019年のリニューアル時より、入口には北城貴子(ほうじょう たかこ)さんの『Guardian god – Takahashigawa』を展示しています。
倉敷国際ホテルのために制作された、倉敷市を流れる高梁川を描いた油絵です。
北城貴子さんは、大原美術館によるアーティスト・イン・レジデンス・プログラム(アーティストの滞在制作を支援する事業)の招へい作家です。
「平成31年春の有隣荘特別公開 緑御殿的美緑」の記事でも、彼女の作品を紹介しています。

宿泊エリアには、バーナード・リーチに師事した舩木研兒(ふなき けんじ)さんの陶板作品や、その子どもの舩木伸児(しんじ)さんの作品などもあります。

大原美術館とのつながりは深いのでしょうか?
白岩
倉敷国際ホテルと大原美術館は別組織ではありますが、大原家のつながりもありますし、今でも関係は深いです。
大原美術館の作品をテーマにした特別なランチをつくったり、大原美術館でのウエディングを倉敷国際ホテルが手掛けたり、コラボレーションもしていますね。
2021年9月には、モネのモーニングプランを提供していました。
特別解説員による大原美術館貸切モーニングツアーでモネの『睡蓮』などを鑑賞したのちに、レシピ集「モネの食卓」のレシピを再現したスペシャルモーニングをホテルで楽しめるプランです。
また、宿泊されるかた向けに、大原美術館前売券を通常1,500円のところ1,300円にて販売しています。
ミュージアムグッズの一部も取り扱っていますね。

倉敷の産業に触れてもらう工夫はありますか?
白岩
倉敷の経済的基盤を作ったのが、繊維産業です。
その代表製品である帆布・畳縁・真田紐・デニムを材料とするタペストリーを、各階段の踊り場に掲げています。
それぞれの繊維製品に敬意を表すと共に、地域と共に生きてゆく当社の意思を示しているんです。

お客様の信頼に応えるために、気をつけているポイントを教えてください。
白岩
お客様にくつろいでいただけるサービスを心がけています。
接客レベルを保つため、しっかり研鑽(けんさん)をしております。
また、サービススタッフの英会話のレベルアップを図るために、月に2回は外部の講師を呼んで、英会話の勉強を行なっていて。
今(2021年9月)はコロナ禍なので需要もないんですけれど、それでも継続しています。
社内に資格取得のための補助があるので、英会話以外でも勉強したい人はできる雰囲気がありますね。
ホテルの建物で白岩さんが個人的に好きなところはどこですか?
白岩
いろいろな所に、ホテルのロゴの六角形があしらわれているんです。

階段やレストランの入口や、ほかにも。

初めは気が付かなかったんですけど、建物に関心のあるお客様に教えていただきました。
2019年には、開業以来初の全館休業をして長寿命化工事を行いましたよね。どのような工事だったのでしょうか?
白岩
「100年続くホテル」を目指すための工事です。
メインは耐震工事でした。
その他にも、表からは見えないところですが、老朽化していた配管を大幅に置き換えるなどしています。
また、全館空調から個別空調になったことで、お客様がエアコンの温度を自由に変えられるようになりました。
「新しくすることもできたけれど、あえて残した」部分もあります。
ヨーロッパでは、築何百年という建物が残っていて使われていますよね。
倉敷国際ホテルでも、あまり古臭くならずに、歴史ある建物を楽しんでいただけるように、と願っています。

建物以外で、創業時から変わっていないものはありますか?
白岩
レストランのグランドメニューにも、変わっていないものがあります。
歴史ばかりは、お金でどうにかなるものではないので。

新型コロナウイルス感染症の影響でホテルは厳しい状況にあるかと思いますが、どのようなことをされていますか?
白岩
ホテルの中で絶対に感染拡大させないよう、消毒や換気などに徹底的に気をつけています。
また、レストランでは、テイクアウト&デリバリー用にお弁当をつくりました。
デリバリーは5個以上から倉敷近郊のみですが、イベントなどでご利用いただいています。
営業面では非常に苦しいんですけれど、諸先輩がたが築いてきた伝統がありますので、絶やさないように。
来ていただいたお客様に本当に満足していただけるように、スタッフ一同頑張っております。
倉敷と共に歩むホテルで過ごそう

国際的な視点を持ちながら、地域に溶け込みその良さを伝えている、倉敷国際ホテル。
「倉敷と共に歩む心豊かなおもてなし」をスローガンに掲げ、人々を出迎えています。
ホテルは観光の窓口。
信頼できる格調あるホテルが倉敷美観地区の入口にあることで、一市民としても、より自信を持って「倉敷に来てね」と言えるのだと思いました。

ロビーでは、穏やかなBGMとともに、いくつもの絵画が出迎えてくれます。
階段を上がるだけでも、名建築の曲線の美しさに心を奪われました。
木のぬくもりを感じられる客室で宿泊したり、フレンチに舌鼓を打ったり。
倉敷国際ホテルで、心豊かな時間を過ごしてください。