写真展は、写真好きな人だけが見る特別なものでしょうか?
そんなことはありません!
倉敷の商店街では、毎年秋に大型布にプリントした写真が飾られ、道行く人々が気軽に写真を見られる企画展が行われています。
それが「倉敷フォトミュラル」。
2019年の商店街展示期間は、10月25日(金)~11月13日(水)です。
展示期間中には、観光客や地元の人が「きれい」「なんかおもしろいね!」なんて言い合いながら、わいわい写真を鑑賞している姿をよく見かけます。
商店街を華やかに彩る、倉敷フォトミュラルを紹介します。
記載されている内容は、2019年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
倉敷フォトミュラルのデータ
名前 | 倉敷フォトミュラル |
---|---|
期日 | 商店街展示&「うちとこの“もんげェ~”もん」 :10月25日(金)~11月13日(水) PHOTO STADIUMグランプリ作品展示:11月2日(土)~11月11日(月) 午前10時~午後7時 |
場所 | 倉敷駅前アーケード |
参加費用(税込) | 無料 |
ホームページ | 倉敷フォトミュラル |
倉敷フォトミュラルは写真を身近に感じる企画展
倉敷フォトミュラルとは
「倉敷フォトミュラル」は、大型布にプリントされた写真を倉敷の商店街アーケードに飾る、写真公募企画展です。
全国から応募された写真の中より、ディレクターによって選出された作品が飾られます。
2004年にはじまり、2019年で16回目を迎えました。
ディレクターは、写真評論家の飯沢耕太郎(いいざわ こうたろう)さん。
写真家の登竜門といわれる「写真新世紀」「写真1_WALL展」など、多くの公募写真展の審査員を務めている、日本を代表する写真評論家のひとりです。
主催は、倉敷フォトミュラル実行委員会・倉敷市・倉敷商工会議所くらしきTMO・岡山県立大学・倉敷市文化振興財団。
岡山県立大学デザイン学部の有志グループ「SAKURA Project」が企画運営を行っています。
2019年の倉敷フォトミュラル
2019年は、以下の展示が行われます。
すべて入場無料です。
企画名 | 日時 | 場所 |
---|---|---|
商店街展示 | 10月25日(金)~11月13日(水) | 倉敷駅前アーケード |
商店街企画「うちとこの“もんげェ~”もん」 | 10月25日(金)~11月13日(水) | 倉敷駅前商店街各店舗 |
PHOTO STADIUMグランプリ作品展示 | 11月2日(土)~11月11日(月) | 天満屋倉敷店2F |
講評会・懇親会 | 11月3日(日) | 倉敷市芸文館 202・203会議室 |
また、展示に先駆けて以下のワークショップも行われました。
- PHOTO STADIUM
- 親子ワークショップ
商店街展示は、毎年テーマが設けられています。
2019年のテーマは「艶(つや)」。
これまでには「華」「輝」「風」「彩」「新」などのテーマがありました。
テーマに沿って応募され、ひとりのディレクターが作品を選びます。
なので、複数人の作品の集合でありながらも、統一感がある展示になるんです。
2019年は、応募者数254名・973点より、57点が選ばれました。
幅広い年齢の人が応募していて、最年少は5歳、最高齢は86歳だそうです。
倉敷フォトミュラルの魅力
商店街で見る、開かれた展示
倉敷フォトミュラルの魅力のひとつは、なんといっても「商店街で展示されるから、たくさんの人が気軽に楽しめること」でしょう。
写真展を含む美術展の多くは、作品保護などの理由から室内空間で行われます。
しかし閉ざされた空間での展示は、どうしても「鑑賞するために訪れた人」以外に見てもらいにくくなってしまうんです。
倉敷フォトミュラルは、商店街のアーケードに飾られる展示。
写真を見に来た人はもちろん、買い物に来た人、倉敷美観地区へと向かう観光客、たまたま通った人、たくさんの人が作品を目にします。
改まった場所ではないので、とっても気軽。
「写真の魅力を多くの人に身近に感じてもらいたい」と考えて企画されているんです。
ユーモラスな写真を見て子供が「お母さん見て!変なの!」と話しかける姿も見かけました。
大型布プリントの迫力
普段目にする写真の大きさって、どれくらいですか?
倉敷フォトミュラルの展示作品サイズは、大型(2.9メートル×3.7メートル)と小型(1.9メートル×2.0メートル)の2種類。
SNSやWebサイトで写真を見る機会は多いですが、これだけ大きな写真はなかなか見ないのではないでしょうか?
大型布を実際に目にすると、迫力がありますよ。
商店街の魅力を引き出す
倉敷駅から倉敷美観地区へと続く、アーケード商店街。
著者は初めて倉敷フォトミュラルを見たとき、次々と現れる写真が「ようこそ」といってくれているようで、商店街を歩くのって楽しいなあと感動しました。
後ほど紹介する関連企画も、商店街をより楽しむための工夫となっています。
商店街を歩こう
商店街展示の作品を、一部紹介しましょう。
中国銀行そばのセンター街入口から入って最初に出会うのは、レモンを青空に投げている作品。
とっても爽やかですね。
思いどおりの写真を撮るため、何回も何回もチャレンジしたそうです。
猫を真上から撮った作品。
「ベストアングル、ベストショット」と飯沢先生も大絶賛でした。
倉敷フォトミュラルを企画運営している「SAKURA Project」OGの作品。
新生児独特のかわいさがたまりません。
懇親会会場にモデルの赤ちゃんも来ていましたよ。
雲がきれいな、選出者最年少の11歳の作品です。
著者の写真も選ばれました。
うさぎのおしりって、かわいいですよね。
インタビューに答えてくれた渡邉さんの作品。
印象的な影と、色バランスがかっこいいです。
PHOTO STADIUMグランプリ作品展示
「PHOTO STADIUM」は、高校生を対象にしたワークショップです。
2日間かけて、組写真作品と「倉敷フォトミュラル」商店街展示部門に応募する単写真作品をプロの指導のもと、制作しました。
制作された作品の中から、グランプリと佳作が選ばれ、グランプリ作品は天満屋倉敷店2Fで展示されます。
今年のグランプリは、坂出商業高等学校1年の湯之前杏樹(ゆのまえ あんじゅ)さん。
迷いや不安から希望を掴む、ストーリー性を感じる作品です。
うちとこの“もんげェ~”もん
商店街の店舗の、「もんげェ〜もん(倉敷の言葉で「すごいもの」の意味)」を紹介する企画です。
お店の人が考える、自分のお店のイチオシを紹介しています。
新しいお店の魅力を発見できて、店員さんとの会話が弾むかもしれません。
講評会・懇親会
11月3日には、ディレクターの飯沢耕太郎さんが選出作品についてコメントする講評会と、ざっくばらんに話ができる懇親会が開催されました。
応募したかどうか、選出されたかどうかに関わらず、無料で誰でも参加できます。
自分の作品を飯沢先生に見てもらって、コメントをもらえるチャンス。
たとえば、これまでにこんなコメントが出ていました。
- あなたはもっとスナップを撮るとよいですよ。
- 写真は良いものが撮れているけど、まとめかたがバラバラに見えちゃっているので、ベースとなる流れを作って、枝葉をつけていくようにまとめるといいですよ。
- すごく良いから、もっと見てもらってください。
SAKURA Projectの渡邉千鶴(わたなべ ちづる)さんにお話を聞きました。
渡邉
どうしたらもっと知ってもらえるだろう、どういう人に向けるべきかということはメンバーともよく話し合っていました。
「写真新世紀」のような写真家の登竜門としての公募展もありますが、倉敷フォトミュラルはもっと気軽なものでありたいです。
みんなに応募してもらいたいので、堅苦しくなく、「写真を大型布にしてみませんか?」というひとつの提案ができたらと思います。
渡邉
撮影から組写真を作るまで、2日間プロに密に見てもらって意見をもらえる機会は貴重です。
また、写真が好きな高校生同士で集まれるのも良い機会になります。
応募は年々増えてきました。
渡邉
親チームと子チームに分かれて、写真を撮りながら歩きます。
1日カメラを借りて使えるので、カメラを触ったことがない人がカメラを触ってみる場としても、いいかもしれません。
「こんなのが撮れた」と、写真を通じて親子のコニュニケーションが生まれているのを見ると嬉しいですね。
渡邉
知らなかったお店もありましたし、たとえば、一見アメリカン雑貨屋さんだけど、イチオシは美味しいケーキというお店がありました。
2019年は、お店のかたの直筆メッセージを載せているので、より雰囲気が伝わるはずです。
お店の宣伝になればいいなあと思っています。
渡邉
テーマを考えながら見てもいいですし、何も考えなくてもいいと思うんですよ。
共通点を見つけたり、お気に入りを見つけたり。
関連企画と合わせて、写真を楽しみながら商店街も見てもらいたいです。
いろいろな角度で写真を楽しんでもらえたらなと思っています。
話しながら気軽に見てください!
SAKURA ProjectのOGにも話を聞きました。
平松
通りすがりの人が見て笑ったり楽しんだりしてくれているのが嬉しかったです。
SAKURAの活動は大変だったけれど、得たものがいっぱいありました。
活動してよかったです。
講評会でプロデューサーの北山先生が、以下のように話していました。
北山
文化は根付いていくものです。
倉敷フォトミュラルは16年目を迎えました。
「PHOTO STADIUM」受賞者が全員1年生だったので、彼女たちが生まれたときにはじまった、と感慨深いものがあります。
倉敷フォトミュラルでは、写真をみなさんと大いに楽しみたいと思っています。
昨年も今年も、水害により大変な被害がありました。
しかし大変なときだからこそ、写真という文化の力で、気持ちの中に明るいものをつくっていきたいと願っています。
また来年、楽しい明るい写真をご応募いただけたら幸いです。
お気に入りの作品を見つけよう
写真が好きな人も、特別好きなわけではない人も、誰もが気軽に写真鑑賞を楽しめる「倉敷フォトミュラル」。
ぜひ実際に商店街を歩きながら、写真を見上げてお気に入りを見つけてください。
2020年のテーマは「躍(おどる)」。
例年8月ごろに作品募集があるので、ぜひ応募してみてはいかがでしょう。
2020年にはあなたの写真が大型布になって、倉敷の商店街を彩っているかもしれません!
倉敷フォトミュラルのデータ
名前 | 倉敷フォトミュラル |
---|---|
期日 | 商店街展示&「うちとこの“もんげェ~”もん」 :10月25日(金)~11月13日(水) PHOTO STADIUMグランプリ作品展示:11月2日(土)~11月11日(月) 午前10時~午後7時 |
場所 | 倉敷駅前アーケード |
参加費用(税込) | 無料 |
ホームページ | 倉敷フォトミュラル |