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リヨンのオーナーシェフ・清水 詩郎さんへインタビュー
美しい盛り付けと、懐かしい雰囲気、そして絶品の料理が楽しめるリヨン。
長年にわたって水島で営業している老舗レストランです。
そのリヨンのオーナーシェフ・清水 詩郎(しみず しろう)さんに開業の経緯や店のこだわり、店の特徴、今後やってみたいことなどの話を聞いてみました。
なんとなく入った西洋料理の世界だが、気付けばこの道一筋50年!
清水 (敬称略)
学校を卒業して、ずっと西洋料理の世界で働いてきました。
お店に勤める形で料理人をしていたのですが、しだいに自分の店を持ってみたいと思ってきまして。
それで独立を決心し、開業しました。
料理人をしていたら、やっぱり自分の店を持ちたくなるものなんですね。
清水
いいえ。まったく料理人なんて考えていませんでしたね。
学校を卒業してからどんな仕事をしようと考えていたとき、フッと料理の世界はおもしろそうだなと思いました。
そんな思いつきのような軽い理由で、大阪のレストランに就職したんです。
その店はけっこう大きな店で、宴会などもやったりしていて、いろいろな経験ができました。
実際に西洋料理の世界に足を踏み入れてみると、料理のおもしろさ、特に西洋料理の奥深さに取りつかれてしまったんです。
そうして料理人としてドップリと西洋料理にひたって、気付いたら50年を超えていました(笑)
独立したのも、ゆっくりと自分のペースで、自分なりの料理を研究していきたいという思いがあったからです。
清水
私が31歳のとき、1980年(昭和55年)の7月1日ですね。
5〜6年ほど大きなレストランで働いたあと、大阪にあった数店の個人経営のレストランで働かせてもらいました。
大きな店のあと、今度は小さな店も経験してみたくなったからです。
そのあと、31歳のときに出身地の水島に帰り、リヨンを開業しました。
リヨンが建っている土地は、実家の田畑だったんですよ。
しかも独立の少し前に、すぐ横へショッピングモールもできました(現在は閉鎖)。
これはラッキーだったと思います。
清水
店名の由来は、フランスの都市・リヨンです。
たまたま妻が雑誌を見ていてリヨンが載っていました。
それで妻が「リヨンがいいんじゃない?」と言いまして、それを店名に採用したんですよ。
ちなみに、リヨンへ行ったことはありません(笑)
リヨンを開業して40年。親子三代で訪れる常連も
清水
9割くらいが常連のお客様という点だと思います。
ここまで常連の比率が高い店は、なかなかないのではないでしょうか。
また、残り1割くらいのお客様も、常連さんから紹介してもらって来店したというかたが多いんですよ。
おかげさまで、リヨンは2020年(令和2年)7月(=取材時)で40周年を迎えることができました。
地域のみなさまに愛されているなぁと実感しており、独立して良かったと感じています。
今では「小さなときに親に連れて行ってもらった」というお客様が、大人になって今度は自分の子供を連れてくることもあります。
なかには、親・子・孫の三代そろっていらっしゃるお客様までいました。
あと、水島だけでなく倉敷中心部や玉島・児島などの周辺地域のお客様もいらっしゃいます。
清水
平日のランチタイムは女性が多いです。
8割近くが女性ではないでしょうか。
ご年配の女性同士で食事を楽しんだり、中年女性同士のいわゆる「ママ友の会」のようなものだったりするお客様が多いですね。
男性のお客様も来られますが、男性の場合、水島は企業が多い土地柄ですので、取引先や顧客などと会食されるかたが多いです。
なかには前任者から後任者に引き継ぎで、会食にはリヨンを使うように継承されている企業もあったりするんですよ。
気が引き締まりますね。
それに、転勤して水島を離れたかたが数年ぶりに来店され、当時を懐かしく思ってくださったりします。
遠く離れてもまた来ていただけるのは、大変ありがたいですね。
あと、ディナータイムは年配のご夫婦などが多いです。
記念日にコース料理を食べられたりされます。
水島のご年配のかたはネットワークがすごくて、けっこう紹介されてリヨンへ来たというかたが多いんですよ。
それと土日や休日には、ご家族みんなで来ていただけることも多いですね。
清水
実は、それが一番難しい質問なんです(笑)
さきほど話したとおり、当店は常連さんが多い店です。
常連のお客様ごとに、決まったお気に入りメニューがあるんですよ。
当店の常連さんは、毎回違った料理を頼んでいろいろ楽しむかたより、いつも同じ決まったメニューを注文するかたのほうが多いんです。
当店もメニューを変えたりするんですが、それぞれのメニューにファンがいるのでなかなかメニューから外したりできないんですよ。
これはこれで喜ぶべきことであると思います。
リヨンのこだわりはドミグラスソースをはじめとする自家製ソース
清水
ソースですね!
リヨンでは、特にソースにこだわっています。
一番の自慢の味はドミグラスソース(デミグラスソース)です。
当店ではドミグラスソースを約2ヶ月かけてつくります!
清水
もちろん、店や料理人によって変わります。
1週間〜10日でつくる人もいますね。
ドミグラスソースは、水にメリケン粉(小麦粉)、牛のスジ肉・クズ肉、タマネギ・ニンジン・セロリなどの野菜類をいっしょにひたすら煮込み続けていくんですよ。
そして液状になったら、それを漉して、再び同じ作業を繰り返していきます。
2ヶ月かけて作りますから、時間がかかります。
そうなれば手間も材料費も光熱費もかかってしまうんです。
でも、そのぶんうまみが凝縮されておいしくなるので、2ヶ月かけて作ることにこだわっています。
ドミグラスソースのほかに、トマトソースやベシャメルソース(白いソース)もこだわっていますね。
ですからリヨンの料理は、ドミグラス・トマト・ベシャメルの三種の自家製ソースを生かした料理といってもいいですね。
ちなみに、サラダなどにかかっているドレッシングも自家製にこだわっていますよ。
清水
ほかのこだわりは、盛り付けですね。
どうやったらおいしそうに見えるか、美しく見えるか、毎日考えています。
いろいろ試していて、日によって変わったりもしていますよ。
試行錯誤の毎日です。
長年料理人をしていますが、盛り付けは奥が深くて難しいですね。
だからこそ、おもしろいんです。
50年やっても飽きが来ない。まだまだ自分の納得のいくものはつくれていない
清水
やっぱり自分の納得いく「究極のソース」をつくりたいですね。
西洋料理の世界に入って50年。
日々ソースをつくって研究していますが、まだまだ最高のものができていないんです。
これが西洋料理の奥深いところだと感じています。
だからこそ、西洋料理に惹かれたんです。
50年やっても、いまだに飽きが来ません(笑)
これからも研究を続けて、究極のソース作りを目指したいです。
もうひとつの目標は、あと10年店を続けること。
2020年で40周年。
もう10年で50周年です。
半世紀つづけられたら、自分でもすごいことなんじゃないかと思います。
地域に愛される昔ながらの”街のレストラン” リヨン
50年も西洋料理の世界で働いているのに、まだまだ完成形ではないという清水さん。
日々料理の研究をする姿は、まるで求道者(ぐどうしゃ)のよう。
リヨンは、昔からずっと水島という地域に愛されてきた”昔懐かしい街のレストラン”です。
ぜひリヨンに訪れて、昔ながらのレストランのたたずまいのなか、清水さん自慢のドミグラスソースなどの自家製ソースを生かした料理を堪能してみてください。
リヨンのデータ
名前 | リヨン |
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住所 | 岡山県倉敷市神田二丁目6-13 |
電話番号 | 086-445-1513 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 午前11時30分〜午後2時30分、午後5時30分〜午後8時 |
定休日 | 火 金の午後 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 可 電話にて受付 |
座席 | 全22席 ・カウンター:4脚 ・4人がけテーブル席:2卓 ・2人がけテーブル席:5卓 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 和式トイレ |
子育て | ・ベビーカーでの入店可能 ・子供用食器あり ・子供用椅子なし |
バリアフリー | ・車椅子での入店可能(入口に段差あり) ・トイレは車椅子非対応 |