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倉敷市立自然史博物館 ~ 1983年の開館から40年。昆虫・植物などの資料を100万点以上収蔵する博物館

倉敷市立自然史博物館 ~ 1983年の開館から40年。昆虫・植物などの資料を100万点以上収蔵する博物館

観とこ / 2023.06.28

学芸員 奥島さんへのインタビュー

昆虫分野の学芸員である奥島雄一おくしま ゆういち)さんに、倉敷市立自然史博物館について話を聞きました。

倉敷市の自然史博物館とは?

奥島雄一さん
奥島雄一さん

自然史博物館とは、どのような場所になるのでしょう?

奥島(敬称略)

そもそも博物館について、一言でいうことはなかなか難しいですが、博物館としての役割は一番目に資料の収集

次にそれらの資料を調査・研究することにつながります。

最終的には、調査・研究した内容を利用者のかたへ還元すること。

多くのかたが認識しているとおり、一番わかりやすいのは展示して見てもらうことです。

倉敷市の博物館としての特徴は、自然史標本を対象としています。

自然史標本とは、岩石・鉱物・化石・植物・昆虫・動物(剥製や骨格標本など)、ありとあらゆる自然物の標本が対象。

「自然史博物館」自体、珍しいとお聞きしました。

奥島

博物館」であれば、法律として収集・保管するように決められています。

また、歴史系や民族系・美術系など一般のかたが広く興味をもち保管しやすいものについては、比較的小さな市町でも「郷土館」としてあります。

県立博物館の規模でさえも、「歴史・民族・自然史」を扱う総合博物館のなかの一分野としてのみ、収蔵されていることが多いです。

そのなかで倉敷市は、規模的には大きいとは言えませんが、小さいながらも「総合自然史博物館」であることが貴重です。

倉敷市の周辺で県立の自然史系博物館は、鳥取県や徳島県、兵庫県にあり、岡山県・香川県・広島県にはありません。
市では、広島県庄原市(庄原市立比和自然科学博物館)や岡山県津山市(つやま自然のふしぎ館)にあります。

そのように珍しい「自然史博物館」が、なぜ、倉敷市にできたのでしょう。

奥島

きっかけとしては、以前の倉敷市庁舎(現倉敷市立美術館)の移転に伴う、庁舎跡地の利用について要望が挙がったと聞いています。

議論のなかで「文化ゾーン」としての要望があり、地元のいくつかの市民グループから「自然史博物館にしてはどうか」との提案があったそうです。

要望したグループは次のとおりであり、自然史を構成する大きな3分野においても、かなりの資料が集められる下地がすでにありました。

  • 昆虫分野:戦後すぐに活動していた「倉敷昆虫同好会」
  • 植物分野:岡山大学農業生物研究所(現 岡山大学資源植物科学研究所)を中心としたグループ
  • 化石分野:郷土史家としても有名な山本慶一(やまもと けいいち)さん(すでに多くの化石を収集)

普段、知ることのできない学芸員の仕事について

学芸員は、どのような専門で何名が対応しているのですか。

奥島

学芸員としての関係分野として、私の昆虫分野。

昆虫分野以外の動物分野。

地学は岩石・鉱物に加えて古生物(いわゆる化石)。

植物分野の4名になります。

ナウマンゾウ骨格模型
ナウマンゾウ骨格模型(第1展示室より)

学芸員として仕事は?

奥島

倉敷市立自然史博物館の一つの役割は、市民の皆さんへのサービスです。

常設展示に出ている資料は11,000点あり全国的にも多いほうですが、収蔵標本は令和5年3月末時点で104万点になりました。

つまり簡単な計算として、所蔵標本の1%ぐらいしか展示できていません。

残る資料は、博物館としての心臓部になる収蔵庫で保管され、調査・研究され、出番を待っています。

また年に数万点の寄贈があるため、系統分類順に配架し、データベース登録管理するなど、「どの年代の何?」と調べるとすぐにわかる状態にしています。

利用者のなかでも、興味のあるかたが参加できるような観察会とか講座などの普及活動や、外部からの協力依頼などにも対応します。

開館40周年を迎えたイベントの開催予定

令和5年度で40周年とのことで、何か特別な展示を考えられているのですか?

奥島

104万点を超えた収蔵資料からの活用を考えています。

40周年を迎えたので、夏の特別展の内容を豪華にしようと考えており、博物館が所蔵している「秘蔵お宝展」を計画しています。

秘蔵お宝展 ちらし

「秘蔵お宝展の展示」楽しみです。具体的に、「お宝」とは何ですか。

奥島

それぞれの標本は工業製品と違い、すべて一点ものとなります。

自然物のため、採取した場所・日付・時間に加え、DNA組成まで考慮すると、同じものはまずありません

なかでも、珍しい突然変異であるとか、絶滅した種類であるとか、最初に採られた新種標本とか、さまざまな理由で「世界に一つしかないもの」があります。

そのように貴重な標本は、さすがに常設展示には出すことは難しいんです。

何らかの事故による破損や照明による劣化などのリスクを避けるためです。

職員のかたが学芸員を含めて12名程度と少なく思いますが、職員のかた以外にも協力者はいますか。

奥島

ボランティア博物館友の会のかたがたにより、標本作製や標本の名前調べが進められています。

また脊椎動物グループは、学芸員の指示がなくても骨格標本の製作まで可能です。

最近では、渋川マリン水族館(玉野海洋博物館)からの仲介でスナメリの提供があったのですが、ボランティアを中心に骨格標本を作製しています。

次世代を担う子ども達の育成のため

これからの倉敷市立自然史博物館に求められていることなどについて、教えてください。

倉敷市立自然史博物館 奥島学芸員

奥島

二度と入手できないような自然物をまずは集めること、収蔵することが基本だと思っています。

収蔵資料という財産を活用する一つとして、「倉敷市立自然史博物館という我々の場所で展示できる」こと自体が博物館として特有のことです。

次世代を担う子ども達の育成のため、貴重な収蔵資料と展示できる施設をこれからも大切にしていきたいと思います。

そのため自然史博物館としては、大きく二つの方向に進んでいければと考えています。

一つは、「異文化コラボ」。

折り紙で詳細に昆虫の姿を再現した昆虫展を開催してみました。

昆虫だけの展示でなく、折り紙という異文化とのコラボレーションの結果、広く市民のかたに楽しんでもらえると試みました。

例年開催している「博物館まつり」では、専門性が高くなくても誰でも楽しめるようなイベントを目指しています。

二つ目は、「興味ある子どもが大学入学までに、自然史についての学びを続けていけるような仕組み作り」。

特定の分野を深めていくスペシャリストを育てることは大学に任せればいいのですが、そこまでの興味を続けられるサポートが必要です。

私が20年間にわたり携わっている「むしむし探検隊」では、当時小中学生だった参加者が、農林水産省などの職員や環境アセスなどの調査会社に就職しています。

いまだにつながりがあることが、結果として表れていると感じています。

おわりに

収蔵庫に保存されていた昆虫標本の一例
収蔵庫に保存されていた昆虫標本の一例

奥島さんへのインタビューを通じ、倉敷市立自然史博物館の存在意義や学芸員による利用者のための積極的な取組みなどに気づけました。

自然を愛する市民から始まった倉敷市立自然史博物館が、現在の4名の学芸員を中心とした取組みを経て、次世代の子ども達の未来へとつながっていく場所として、より活用されてほしいと思います。

令和5年度に開館40年を迎えた歴史ある自然史博物館。

記念すべき年として「秘蔵お宝展の展示」も予定されています。

ぜひ、足を運んでみてください。

倉敷市立自然史博物館のデータ

倉敷市自然史博物館
名前倉敷市立自然史博物館
所在地岡山県倉敷市中央2-6-1
電話番号086-425-6037
駐車場なし
専用駐車場はないため、周辺の有料駐車場を利用
・倉敷市営中央駐車場
・倉敷市営美観地区南駐車場
・倉敷市営あちてらす倉敷駐車場
開館時間午前9時~午後5時15分(最終入館は午後4時45分)
休館日
ただし祝日または振替休日の場合は、その翌日。年末年始(12月28日~1月1日)、その他、収蔵庫くん蒸などのため、臨時休館あり
入館料(税込)一般:個人150円、団体(20人以上)100円
大学生:個人50円、団体(20人以上)30円
高校生以下: 無料
65歳以上:無料
障がい者とその付添人1名:無料
※特別展開催時の入館料は別に定める場合があり
※その他各種減免があり。要問合せ
支払い方法
  • 現金
予約について
学校園や団体でのご観覧は、あらかじめの電話(086-425ー6037)で予約可能。
電子申請(ネット申込み)とメールでの予約は現在受け付けていません。
電話の際、以下のことを知らせてください。
・学校園名または団体名
・見学者数と引率者数
・見学日
・見学開始時刻と終了時刻
・引率担当者名
・連絡先電話番号
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トイレ

子育て

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眞鍋忠義

眞鍋忠義

倉敷市在住で、2人の娘を持つアラフィフ会社員。
大学生となり、愛媛県松山市・大阪府豊中市・東京都府中市・愛知県日進市などで生活した後のUターン組です。
一度、故郷から離れて暮らしたことでも気が付くことができる、ここにしかない魅力をご紹介できるのでは?と思っています。
令和2年度 高梁川志塾(第1期)・令和3年度 高梁川流域ライター塾卒業生です。
これからも学びながら、私自身の体験などを中心に紹介したいと思います。

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倉敷市立自然史博物館 奥島学芸員

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