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大原美術館 工芸・東洋館 ~ 趣向を凝らした床や壁も必見! 工芸品・古美術の豊富なコレクション

大原美術館 工芸・東洋館 ~ 趣向を凝らした床や壁も必見! 工芸品・古美術の豊富なコレクション

観とこ / 2023.04.10

幅広く美術品を所蔵している、大原美術館

陶器や版画・染色などの工芸品や、東洋の古美術品も見ることができます。

工芸品・古美術品が展示されているのは「工芸・東洋館」。

作品はもちろんのこと、建物の工夫がとても面白く、聴覚や触覚をも楽しませてくれるんです

音が鳴る床に、不思議な手すりに、工事現場の足場板でできた扉!?

大原美術館スタッフの岡崎さんに案内してもらい、工芸・東洋館の魅力を紹介します。

大原美術館内は通常、撮影禁止です。今回は特別に撮影許可をいただいています。

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記載されている内容は、2023年4月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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大原美術館のデータ

大原美術館 工芸・東洋館
名前大原美術館
所在地岡山県倉敷市中央1-1-15
電話番号086-422-0005
駐車場なし
開館時間【12月~2月】
午前9時〜午後3時(最終入館:午後2時30分)

【3月~11月】
午前9時〜午後5時(最終入館:午後4時30分)
休館日
祝日、振替休日と重なった場合は開館
冬期休館あり
入館料(税込)【一般】
大人:2,000円
高校・中学・小学生(18歳未満のかた):500円
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・nanaco・PayPay
予約について
個人であれば予約不要(入場整理券の予約不可)
タバコ
トイレ

子育て


授乳室は工芸館にあり
オムツ替えシートは本館2階および工芸館にあり
バリアフリー


ホームページ大原美術館公式HP

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大原美術館 工芸・東洋館とは

大原美術館 工芸・東洋館 外観

1930年(昭和5年)に設立された大原美術館は、戦後に拡張し、現在は本館分館、工芸・東洋館にわかれています。

工芸・東洋館は、米や綿の貯蔵庫であった蔵を改装した展示室。

民藝(みんげい)運動を支持した作家の作品と、東洋の古美術品が展示されています。

工芸館について

大原美術館 工芸・東洋館 浜田庄司室

工芸館では、民藝運動を支持した以下の6人の作家による工芸品を、部屋ごとに展示しています

作家名ジャンル
濱田庄司(はまだ しょうじ)陶器
バーナード・リーチ陶器
富本憲吉(とみもと けんきち)陶器
河井寛次郎(かわい かんじろう)陶器
棟方志功(むなかた しこう)木版画
芹沢銈介(せりざわ けいすけ)染色
大原美術館 工芸・東洋館 バーナード・リーチ室

民藝運動とは、日常の生活道具の美しさを見出す活動です。

大原美術館の創立者である大原孫三郎(まごさぶろう)と息子の總一郎(そういちろう)は、民藝運動に共鳴し、支援していました。

東京・駒場にある「日本民藝館」の設立費用のほとんどを大原家が出資しており、民藝運動の重要人物なのです。

民藝運動については、倉敷民藝館の記事で紹介しています。倉敷民藝館では古今東西の民藝品を見ることができますので、あわせて訪れるといっそう楽しめますよ。

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東洋館について

大原美術館 工芸・東洋館

大原美術館のコレクションの基礎となる西洋絵画を集めた、児島虎次郎(こじま とらじろう)。中国・朝鮮半島・エジプトを訪問し、仏像・古美術も収集しました。

東洋館では、児島虎次郎の収集作品を中心に、古美術品が展示されています。

大原美術館 工芸・東洋館 像

紀元前の器、大きな石仏など、貴重な品がたくさんありました。

工芸・東洋館では、建物に注目!

大原美術館 工芸・東洋館

工芸・東洋館の外装・内装・展示、蔵の配置は、染色工芸家であり總一郎と親交の深かった芹沢銈介(せりざわ けいすけ)が、細かくデザインしています。

芹沢は、それまで職人が分業して行なっていた図案・型彫・染の工程を一貫して行う「型絵染(かたえぞめ)」で、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。

染色以外にも、優れた才能を発揮。

工芸・東洋館では、作品や作家に合わせて部屋をさまざまに演出しています。

建物の各所に工夫が凝らされていて、見どころたっぷりで、おもしろいんです!

注目したいポイントをご紹介しましょう。

倉敷らしい、なまこ壁の外観

大原美術館 工芸・東洋館 外観

蔵を改装してつくられている、工芸・東洋館。

白壁の蔵の一角に赤壁の蔵が際立っていて、おしゃれ!

大原美術館 工芸・東洋館と倉敷国際ホテルの壁

和風の建物の奥に見える倉敷国際ホテルには、工芸・東洋館と同じなまこ壁風のデザインが使用されています。

倉敷国際ホテルは、總一郎が建築を指示したもの。大原美術館側から見たときになじむように、計算されているのです。

入口のそばにはモネのアトリエから株分けされた睡蓮があり、春の終わりから夏の始めには可憐な花が咲きます。

大原美術館 睡蓮

こだわりのつまった床

木のレンガ
木のレンガ

濱田庄司、バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎の部屋の1階の床は、木のレンガを敷き詰めたもの。

部屋によって、敷き方が変わっています。

歩くとポコポコと小さな音がなり、レンガのデコボコが靴底から感じられました。

長年をかけてたくさんの人が歩いたことにより出てきたツヤが、きれいです。

朝鮮張りの床
朝鮮張りの床

河井寛次郎室の2階の床は、「朝鮮張り」と呼ばれる手法です。河井が興味を持っていた朝鮮にちなんでいるそう。

1枚板を浮かせる形で貼っているため、歩くと「ぎゅうぎゅう」と激しい音が鳴るのです。

歩くたびに鳴る板の音は、芹沢による音の演出

目で見るだけでなく、音を聞きながら作品を見てほしい、と考えていたんですね。

ぜひ実際に訪れて音を体感してください。

棟方志功室の床は、褐緑色の織部釉(おりべゆう)をかけて焼いた敷瓦(しきがわら)。

敷瓦
敷瓦

うわぐすりをかけて焼いているので、艶があり黒光りしています。「かっこいい」と感じました。

部屋ごとの特色豊かな壁

内壁も、作家に合わせて異なる形態をとっています。

濱田庄司室は格子状の木枠、バーナード・リーチ室はすっきりした白壁……と、部屋が変わるたびに雰囲気が変わります。

大原美術館 工芸・東洋館 倉敷ガラス

ステンドグラスの壁もありました。倉敷ガラスで知られる小谷真三(こだに しんぞう)さんの作品です。

大原美術館 工芸・東洋館 扉

石仏室の手前の扉は、工事現場で使用されている金属製の足板。思いもよらない素材を使う芹沢銈介のセンスが素敵だなあと感じました。

大原美術館 工芸・東洋館

東洋館の一部は石が縦に積まれた壁。横向きに積むよりとても高い技術がいると聞いたことがあります。

大原美術館 工芸・東洋館

中でも印象的なのは、棟方志功室ではないでしょうか。

壁に埋め込まれている丸太は、倉庫で使われる「荷ずり木」と呼ばれるものです。荷物と壁が密着しないようにするために作られ、荷物が壁でこすれず、隙間により湿気を溜まりにくくする役割があります。

実用のために生まれた壁が、美しく作品と調和して、まさに民藝の「用の美」!

棟方志功は、自らの版画を「板画」と称していました。「木版の特徴を生かした作品を制作した棟方志功へのリスペクトを込めて、荷ずり木の壁にしたのではないかな」と思われます。

窓も特徴的な形をしていて、素敵でした。

大原美術館 工芸・東洋館 棟方志功室の窓

触って違いを確かめたい手すり

大原美術館 工芸・東洋館 手すり

館内の階段に設けられている手すりも、芹沢銈介がデザインしました。

大原美術館 工芸・東洋館 手すり

この階段と手すりは、あるものを模しています。何だと思いますか?

答えは、「エスカレーター」!

触ると、丸みの帯びかたがエスカレーターの手すりのようでした。

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大原美術館 工芸・東洋館 手すり

作家の世界観がわかる作品

大原美術館 工芸・東洋館 バーナード・リーチ室

工芸館は、作家ごとに部屋が別れています。

多くの作品が集まっているため、たとえば濱田庄司は力強く大胆、バーナード・リーチは取っ手が特徴的、富本憲吉は筆使いが細やか、といった世界観や特徴がわかりやすく、比較できます。

大原家はただ作品を収集しただけではなく、民藝運動を支援し作家たちと関わりを持った上で工芸館をつくりました。

棟方志功は大原家と親交が深く、毎年のように大原家を訪れていたそうです。歌人だった大原孫三郎の妻の詠んだ歌をモチーフにした、大原家のために作られた版画も収蔵されています。

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工芸品を見るときは、こんなところに着目してみよう

大原美術館 工芸・東洋館

たくさんの工芸品が展示されていますが、どのように見たらいいのでしょう?

もちろん、鑑賞のしかたに正解はありません。

しかし、「どう見ていいかわからない」と悩んでしまったときのために、大原美術館スタッフの岡崎さんにアドバイスをもらいました。

岡崎さんのおすすめは、「工程を想像しながら見てみる」こと。

たとえば陶器だと、以下のようなところを考えながら眺めてみてください。

  • どうやって形をつくっているのか
    (ろくろを回した? 何かに押し付けて形を作った? 平面を貼り付けた?)
  • 色の付け方、描き方はどうか
  • どんな風にうわぐすりをかけているのか

なんとなく眺めたときより、作家の個性やこだわりが深く感じられるのではないでしょうか。

おわりに

大原美術館 工芸・東洋館 照明

工芸品や古美術品だけでなく、建物も楽しめる、大原美術館 工芸・東洋館。

おもしろい趣向が目白押しで、進むたびに「次はどんな部屋なのかな」とわくわくしました。

音の鳴る床、部屋によってがらっと変わる壁、照明、変わった形の手すりなど、ぜひ実際に訪れ、目・耳・手で芹沢銈介の工夫を感じてみてください。

大原美術館 工芸・東洋館

そして、大原美術館の所蔵品の幅広さと豊かさには驚くばかり。

本館も分館も工芸・東洋館も三者三様に異なる雰囲気で味わい深く、ミュージアムショップも魅力的です。

もともと大好きだった大原美術館ですが、取材を通してますますファンになりました。

大原美術館でアートと出会いませんか。

大原美術館 工芸・東洋館
取材協力

大原美術館のデータ

大原美術館 工芸・東洋館
名前大原美術館
所在地岡山県倉敷市中央1-1-15
電話番号086-422-0005
駐車場なし
開館時間【12月~2月】
午前9時〜午後3時(最終入館:午後2時30分)

【3月~11月】
午前9時〜午後5時(最終入館:午後4時30分)
休館日
祝日、振替休日と重なった場合は開館
冬期休館あり
入館料(税込)【一般】
大人:2,000円
高校・中学・小学生(18歳未満のかた):500円
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・nanaco・PayPay
予約について
個人であれば予約不要(入場整理券の予約不可)
タバコ
トイレ

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授乳室は工芸館にあり
オムツ替えシートは本館2階および工芸館にあり
バリアフリー


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吉野なこ

吉野なこ

写真と旅を愛する、倉敷そだちのデザイナー。
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大原美術館 工芸・東洋館

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