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pileのシェフ 酒井さんへインタビュー

株式会社ITONAMI 飲食部門で働く、pileのシェフでもある酒井楓さんに、pileオープンの経緯や各メニューへの思いを聞きました。
今まで以上に、地元の食材にフォーカスしたかった

以前運営していたカフェにも多くのファンがいらっしゃったなか、なぜレストランをオープンしたのですか?
酒井(敬称略)
「地元の食材にもっとフォーカスしたものをお客様に楽しんでほしいな」「海を見ながら今よりもゆっくりと過ごしてもらいたいな」などの思いがあり、形を変えてレストランとしてオープンすることにしました。
私がITONAMIの社員になったのが、約1年前(2022年頃)。
専門学校やその後の就職先で食にかかわっていたため、飲食部門を任せていただけることになりました。
ただ初めはカフェをレストランにする構想はなく、ディナーの提供から手がけることに。
ディナーでメインとして出しているのが、ラザニアなんです。
お客様からは好評で、私自身floatに合うメニューだとも思っていたので、ランチからラザニアを楽しめないかと検討を始めました。
カフェ営業時に提供していたカレーも人気だったのですが、やはり地元である瀬戸内の食材をもっと生かせるようなメニューにしたくて。
カフェをレストランに変えて、メイン料理にラザニアを採用することにしました。
ラザニアをメインに提供しているレストランは珍しいですよね。
酒井
とくに岡山では珍しいと思います。
実は、前職のレストランでも人気だったのがラザニアでした。
専門学生時代にも作る機会があり、不思議と作り続けているのがラザニアで……。
ディナーのメイン料理を考えていたとき、floatでもラザニアを作ってみたいと提案しました。
使う食材は、スタッフが出会った生産者が手がけたもの

ラザニアは、酒井さんの得意料理のひとつだったのですね。
酒井
ラザニアを提案したのは、もうひとつ理由があります。
それは一文字うどんさんの小麦を使って、メニューを考えたかったからです。
一文字うどんさんは、瀬戸内市長船町(おさふねちょう)で小麦を自家栽培し、うどん屋も営んでいるお店。
pileでは、一文字うどんさんの「ふくほのか」という品種を使わせていただいています。
一文字うどんさんとの出会いは、ITONAMI代表でもあるデニム兄弟の二人が、2018年におこなっていたキャンピングカーでの旅の途中でした。

つまり、floatができる前から交流があったんです。
「いつか、一文字うどんさんの小麦を使いたい」と島田から聞いていたので、ラザニアなら生かせそうだと思いました。
人と人とのつながりから生まれるメニュー、素敵ですね。
酒井
一文字うどんさんだけではなくて。
ビーフのラザニアで使用している「豊福牛」や、現在提供している季節のポタージュで使用している「アスパラガス」。
デザートで使用しているアイスクリーム「KIKI NATURAL ICECREAM」(キキ ナチュラル アイスクリーム)やナチュラルワインに至るまで。
pileで使用している食材のほとんどは、デニム兄弟がキャンピングカーの旅の途中で出会った人たちや、スタッフと付き合いがあった生産者さんや販売元のかたがたが手がけています。
私たちが今まで出会ってきた、思いを持った生産者さんなどが育てた食材を調理し、新たに表現しようと思いながら提供しているんです。
コンセプトは「堆積」

「pile」と名づけた理由を教えてください。
酒井
pileは英語で「堆積」「積み重ねる」などの意味があります。
生産者さんや販売元のみなさんとお話しすると、ここ瀬戸内で積み重ねてきた時間や思い、技術が脈々と受け継がれているのを感じました。
そして受け継がれてきた食材を調理することで、私たちも時間や思いを重ねていく。
お客様に生産者さんについてやこの土地のことを伝え、さらに思いを重ねていきたい。
そんな思いで「pile」と名づけました。
ラザニアも、断面を見るとよくわかるのですが積み重なってできています。
一つひとつの層が、pileのすぐ裏にある王子が岳の地層とも重ね合わせられて。
いろいろな意味で、「pile」はこの地のレストランらしい名前だなと思います。

生産者の顔が見えると、お客様との会話が生まれる
pileのオープンにあたり、印象に残っていることを教えてください。
酒井
お客様からの反応が、カフェをやっていたときよりも多く返ってきたことです。
「どこの食材使っているの?」や「どうやって作っているの?」など、質問をいただく機会が増えました。
カフェからレストランにリニューアルしたとき、正直少し不安な気持ちもあったので……。
いい反応をいただけてうれしいです。
普段の生活では、生産者がわかることってあまりないんですよ。
奈義ビーフのように、ブランドごとに作り方が決まっている場合は複数の生産者さんが手がけた食材をまとめて出荷しているので。
きっとお客様にとっても新鮮で、発見が多いのかなと思っています。
私自身、生産者さんのことを話せるのがうれしくて。
そして生産者の顔が見える食材を使うと、作っていても楽しいんです。
オープンにあたり、大変だったことはありますか?
酒井
作るのに一番苦労したのは、サイドメニューのパイルチップスです。

パイルチップスは、小麦と水だけで作っています。
最初は卵を入れるか入れないかを悩みましたし、小麦と水の配合や生地の薄さで膨らみ方がまるで違ったので、何度も試作しました。
最終的には薄くて軽い、かつほどよく膨らむ理想のチップスができたと思います。
ちなみにパイルチップスの小麦も、ラザニアと同じ一文字うどんさんの「ふくほのか」を使用しています。
ワインのおつまみとしても、ラザニアのソースに付けて食べてもおすすめ。
何よりふくほのか本来の味がわかると思うので、ぜひ食べてみてほしいです。
1日のなかに「こういう時間があってよかった」と思えるように

pileでは、お客さんにどのように楽しんでほしいですか?
酒井
お客様は、pileに時間をかけて来てくださっています。
バスや車を使ったり、店の入口までの坂を上がったりしていただかないといけないので。
なので席に座った瞬間からは、瀬戸内海の景色と食事をゆっくりと楽しんでいただきたいなと思います。
1日のなかで「こういう時間があってよかった」と思ってもらえるようなひとときを、pileで過ごせたら。
気軽にランチに来ていただいてもいいし、floatに宿泊しながらでもいいし、楽しみ方はいろいろあると思います。
そしてリフレッシュする時間のなかで、瀬戸内の地で脈々と受け継がれてきた生産者さんの思いや素材の味を感じていただけたらうれしいです。
おわりに

pileの席に着いたら、瀬戸内海を一望できる景色に思わず深呼吸したくなります。
穏やかな波紋を眺めていると、目の前にはさまざまな生産者の思いがぎゅっと詰まったラザニアが。
ナイフとフォークを使って食べるラザニアは、よりゆっくりとした時間を過ごすきっかけになるでしょう。
「どんな食材を使っているのか」、さらに気になったらスタッフに声をかけてみてください。
食を通して、瀬戸内ならではの会話が楽しめるのもpileの魅力だと思いました。
自家製麺のラザニアとナチュラルワイン「pile」のデータ

名前 | 自家製麺のラザニアとナチュラルワイン「pile」 |
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住所 | 倉敷市児島唐琴町1421‐26 |
電話番号 | 086-477-7620 |
駐車場 | あり 坂の下に40台ほど停められる無料市営駐車場あり |
営業時間 | 午前11時30分~午後9時(ラストオーダー午後8時30分) |
定休日 | 水、木 DENIM HOSTEL floatは定休日なし |
支払い方法 |
|
予約の可否 | 可 Instagram DM、電話にて |
座席 | テーブル席:12 |
タバコ | 完全禁煙(屋外に喫煙スペースあり) |
トイレ | 洋式トイレ |
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