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理学療法士・山本遼先生と健康運動指導士・田中阿由子先生インタビュー
予防医療プラザの専任の理学療法士・山本遼先生と、健康運動指導士・田中阿由子先生、運動教室の取り組みについて聞きました。
予防医療に関わるようになったきっかけ
予防医療の領域に関わるようになったきっかけは何ですか?
山本(敬称略)
もともとは倉敷中央病院のリハビリテーション部で、手術後の急性期や集中治療室などの患者さんのリハビリを担当していました。
患者さんを診ていると、生活習慣が乱れている人やメタボリックシンドロームの傾向がある人は、重症化し回復がなかなか進まないケースが多々ありました。
そのため、早いうちから健康な体づくりをして、病気を予防する取り組みが、理学療法士としてできないだろうかと思っていたんです。
2019年に健診施設が予防医療プラザとして新しくなったのを機に、医療の専門家として関わってほしいと話があり、それから予防医療領域に取り組んでいます。
「予防」は何歳から取り組むと良いのでしょうか?
山本
私の考えも含まれますが、30代になると成長のピークが過ぎるため、早いと思われるかもしれませんが、30代から予防を意識すると良いと思います。
たとえば、ロコモティブシンドローム(骨・関節・筋肉などの衰えによって、移動機能が低下した状態)のテストで、「40cmの高さの椅子から手を使わずに片足で立ち上がれるか」というのがあります。
これができない30代の人が意外と多いんです。
近年、デスクワークをしている人が増えているため、運動量や筋肉量が減る傾向にあります。なるべく早めに運動習慣を身につけることが大切です。
運動を続けるコツ
運動を続けるコツを教えてください
山本
ハードルを低く設定することです。
たとえば、「毎日30分ウォーキング」をいきなり続けられるかたは少ないと思いますが、「毎日歯磨きをするときにスクワットする」は続けられそうですよね。
日常生活でよくしている日課の時間に運動を紐付けるのが、運動を続けるポイントです。
すぐにできる運動もおすすめです。
たとえば、座っている時間が長いと腰痛のリスクが高まると言われています。デスクワークなどで長時間座っているかたは、15分から30分に一度立ち上がるだけでも効果があります。

運動教室で心がけていることはありますか?
山本
参加者の皆さんには、自分の体を知っていただきたいと思っています。たとえば、自分を真横から見た姿勢はなかなか自分ではわからないものです。猫背やスマホ首(ストレートネック)になっていても、気づきにくいですよね。
運動教室では、姿勢のセルフチェック方法をお伝えして、家に帰ったら家族にお願いして写真を撮ってみてくださいとアドバイスします。自身の写真を見ることで客観的に姿勢を知ることができます。
最近多いのは、上半身と下半身の重心がずれて、腰が反り、お腹が前に出ている立ちかたです。この姿勢は楽に感じますが、腰痛の原因になることがあります。
自分の体を知って意識することで、ここを直したほうが良いと気づくことができます。そのうえで、運動教室で私たちのアドバイスを受けると、より自分ごととして生かせるはずです。
そのため、運動教室を通じて、自分の体を知ってもらえるように心がけています。

健康体操について
担当している健康体操の内容を教えてください
田中(敬称略)
ストレッチや筋トレを取り入れた全身運動の教室なので、簡単で誰でもできる運動です。脳トレも取り入れて、頭を使いながら体を動かすこともあります。あまり型にはまらず、その日によって内容を変えています。
たとえば、季節で体操を変えているんです。
暑い時季には、熱中症対策として汗をかくことが体温調節に大切です。そのため、汗をかく習慣をつけるために、アクティブな運動を取り入れることもあります。
また、果物がおいしい時季には「果物を食べると血糖値が上がりますよね」、年始には「お餅をたくさん食べましたか?」などと声をかけて、下肢の大きな筋肉を動かし、消費カロリーを増やす運動をおこなっています。
健康体操で心がけていることはありますか?
田中
なんとなく運動するだけでは効果が出にくいため、ポイントを細かくお伝えしています。
- 生活習慣病予防になります
- 腰が痛い人に効果的です
- ここの筋力アップにつながります
このように声をかけて、どなたにも当てはまる部分があるように工夫しています。
「私、これに当てはまるわ」と意識していただけると、継続につながると思うんです。
また、「今おこなっている運動はご自宅でもできますよ」や「この筋肉は動かさないとすぐに落ちてしまうので、一緒に頑張りましょうね」とお伝えし、自宅でも教室でおこなっている運動を思い出して取り組んでいただけるよう工夫しています。

健康体操の教室をしていて印象に残っているエピソードはありますか?
田中
運動教室に来ている人で、「今まで転倒することが多かったけれど、運動教室に参加してからあまり転ばなくなったのよ」と教えてくださった人がいました。
また、スクワットがあまりできなかった人が、何回も安定してできるようになると、筋力がついて運動習慣もついてきたんだなと思い、やりがいを感じます。
参加者さん同士で交流しているようすを見るのもうれしいです。今日の運動教室は80代のかたが多かったのですが、80代で片足立ちがふらつかないのは本当にすごいと思います。
日々の運動の積み重ねが大切だということを、参加者の皆さんから学ばせていただいています。
参加を検討しているかたにメッセージ

参加してみたいなと思うかたにメッセージをお願いします
田中
行こうかどうしようか迷っているかたは、ぜひ一度足を運んでみてください。激しい運動ではないので、初めてのかたでも安心してご参加いただけます。
もしこの運動が難しいと感じられる場合は、しっかりサポートいたします。まずは一度、ぜひお越しください。体を動かすのは楽しいですよ。
山本
運動が続かないかたや、一人で続けるのは難しいと感じているかたなど、さまざまなかたにご参加いただきたいです。役に立つ運動教室を提供できていると思いますので、ぜひお越しください。
男性のかたにもぜひご参加いただきたいです。最近は男性の更年期も話題になるようになってきました。更年期症状の緩和にも、運動は効果的だと思います。
運動教室を通じて、運動習慣を身につけ、病気の予防につなげていただけたらうれしいです。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
おわりに
今回の取材では、予防医療プラザの運動教室、運動を習慣化するためのコツを詳しく聞きました。
出不精で運動不足の私にとっては耳の痛い話でしたが、先生の話を聞いて、改めて健康と運動の大切さを感じました。もし運動しなかったら1年後、5年後の自分はどうなっているのだろうと危機感を覚えています。
また、参加者のかたにお話を聞いたときに、表情がいきいきしていて、楽しそうに語ってくださったのが印象的でした。
運動習慣がなかなか身につかないかたや、運動しなければいけないと気になっているかたは、これからも長く健康でいるために、ぜひ予防医療プラザの運動教室を体験してみてはいかがでしょうか。
プラザ運動教室のデータ

名前 | プラザ運動教室 |
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期日 | 月曜日:午前11時〜11時45分 金曜日:午後1時30分〜2時15分 |
場所 | 岡山県倉敷市鶴形1丁目11−11 |
参加費用(税込) | 1セット5枚綴り 3,000円(税込) 有効期限は購入月から6ヶ月 |
ホームページ | 倉敷中央病院付属予防医療プラザ 運動教室 |