2016年に営業を終了した、元中国銀行の建物を美術館に再生し、2022年4月にオープン予定の「児島虎次郎館(新児島館)」(仮称)。
建築を行う大原美術館の記者発表が2020年1月に行われました。
その後新型コロナウイルス感染症拡大のため、2020年4月から全国で緊急事態宣言が発令され、大原美術館も2020年8月24日まで臨時休館となります。
記者発表時とは状況が大きく変わっているものの、2020年7月時点では予定通り工事は進んでおり、2020年7月30日に地鎮祭が執り行われました。
この記事では、「大原美術館(仮称)新児島館プロジェクト 地鎮祭神事」のようすをレポートします。
記載されている内容は、2020年8月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
児島虎次郎館(新児島館)とは
地鎮祭が執り行われたのは、倉敷美観地区にあり2016年に営業を終了した、元中国銀行の建物です。
ルネサンス調の円柱やステンドグラスを持つ建物で、2016年に中国銀行より大原美術館へ譲渡されました。
その後、倉敷市指定重要文化財となり、外観についての基本方針が策定され、「児島虎次郎館(新児島館)」(仮称)として2022年4月にオープンすることが決まります。
住所 | 岡山県倉敷市本町3-1 |
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構造 | 保存棟:混構造(一部鉄筋コンクリート造)および木造 新設棟:鉄筋コンクリート造 |
延べ床面積 | 961.38平方メートル |
2020年1月の記者発表以後、「建物南側鉄骨造棟」の解体工事が行われ完了。
- 倉敷市指定重要文化財の保存棟改修
- 新設棟増築工事
これらの工事開始に伴う地鎮祭です。
地鎮祭神事の流れ
地鎮祭神事は2020年7月30日 午後1時より開始。
- 建築主の公益財団法人 大原美術館 理事長 大原あかねさんをはじめ、大原美術館の関係者
- 施工者の株式会社 藤木公務店 代表取締役 藤木玄三さんをはじめ、藤木工務店の関係者
以上を中心に「21名」および報道関係者含めて、全員マスク着用で出席していました。
祭主は阿智神社の新井俊亮 宮司です。
地鎮祭神事は以下の流れで開催されました。
- 開式の辞
- 修祓(しゅばつ)
- 降神の儀(こうしんのぎ)
- 献饌(けんせん)
- 祝詞奏上(のりとそうじょう)
- 清祓の儀(きよはらいのぎ)
- 鍬入の儀(くわいれのぎ)
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
- 撤饌(てっせん)
- 昇神の儀(しょうしんのぎ)
- 閉式の儀
当日はうだるような暑さのなかでしたが、地鎮祭神事は粛々と行われ、約45分で無事終了。
終了後に行われた質疑応答で、副館長の森川正典さんに以下のような質問が多く寄せられます。
- 工事は予定通り進んでいるのか
- 新児島館は予定通り2022年4月に開館できるのか
- 感染症対策など、新たな取り組みは行うのか
「ほぼ予定通り進んでおり、2020年度中に建物は完成予定」と回答していましたが、その表情は厳しいものでした。
おわりに
当日(2020年7月30日)も大原美術館は臨時休館中。
入館料収入がメインの私立美術館としては、外部環境の変化を含めて厳しい状況が続いています。
さらに、児島虎次郎館(新児島館)は「百年愛された銀行建築を児島虎次郎館へ再生するプロジェクト」として、広く寄付を募りながら作られる予定でしたが、寄付を募りにくい世相となり二重苦の状況です。
「コロナ禍の現在、地元から新児島館の取り組みはもちろん、美術館そのものを支援することが重要ではないか」と、大原美術館ファンの一人として筆者は感じました。