戸田レーシング 〜 モータースポーツとともに半世紀。矢掛町から世界へ挑む夢工場

戸田社長

戸田社長インタビュー

代表取締役社長の戸田憲吾(とだ けんご)さんに、戸田レーシングの今までとこれからについてお話を聞きました。

株式会社戸田レーシング 代表取締役社長 戸田憲吾さん
株式会社戸田レーシング 代表取締役社長 戸田憲吾さん

創業地である玉島から矢掛町へ新社屋を移転したのには、どのような事情があったのでしょうか。

戸田(敬称略)

2000年代に入り、玉島の本社工場が手狭になってきたため新工場建設の計画が出てきました。

当初は(創業地である)倉敷市内で新しい工場を建てたいという希望を持っていましたが、当時の社会情勢や地域の状況から、倉敷市内に工場を建設すること自体が非常に難しい状況にありました。

移転先を検討するなかで、矢掛町が工場建設に対して非常に好意的に迎えてくれたことが、移転の大きなきっかけとなりました。

矢掛町はもともとの拠点であった玉島から近いこともあり、2007年に現在の場所への工場移転が実現し、以来矢掛社屋を拠点としています。

自社製パーツが組み込まれたコンプリートエンジンの数々
自社製パーツが組み込まれたコンプリートエンジンの数々

アフターマーケット向け事業について教えてください

戸田

弊社では長年にわたりスポーツカー向けの競技用部品(サーキット走行などのモータースポーツ向け部品)を製作してきました。

販売終了から年月が経過した車については、メーカーの純正部品が手に入らなくなったこともあり、近年補修用部品としての需要も高まっています。

高性能な工作機械を用いて製造されるピストン、コンロッド、フライホイールなど一連のアフターパーツは、弊社のものづくりの基礎となる製品群です。

これらの部品は国内のみならず海外でも高く評価されていて、代理店を通じて広く流通しています。なかには、アメリカから弊社にエンジンを送ってきて、パーツの組み込みを依頼するかたもおられました。

高性能な工作機械により加工される部品(画像提供:戸田レーシング)
高性能な工作機械により加工される部品(画像提供:戸田レーシング)

近年、電気自動車(EV)開発にも取り組んでいると聞いています

戸田

岡山県産業振興財団の主導による「おかやま次世代自動車技術研究開発センター(略称:OVEC(オーベック))」に、2011年の設立当初から参加していました。

これは岡山県と県内の自動車関連企業によるEV開発プロジェクトで、各社が連携し「インホイールモーター」と「インバーター」を共同開発。実際に試験車両に搭載し、走行させるところまで実証がおこなわれました。

インホイールモーター
車輪のなかに組み込むモーターのこと。

インバーター
モーターを駆動させるための制御装置。身近なものではエアコンにも使われている。

6年間にわたるプロジェクトが終了し、OVECは解散しましたが、その後も弊社ではインホイールモーターの薄型化やさらなるコンパクト化を目指し、継続的な改良開発をおこなっています。

また、これまでのアフターパーツ販売の実績を生かし、開発したEV部品の販売窓口も担っています。

現在も開発を継続しているインホイールモーター
現在も開発を継続しているインホイールモーター

モータースポーツ活動の現況について教えてください

戸田

1971年の創業以来、現在に至るまで継続しているモータースポーツ活動は、会社のアイデンティティの核となっています。

ショールームに飾られたトロフィーの数々
ショールームに飾られたトロフィーの数々

長年にわたり、若手ドライバーの登竜門であるF3(現在のスーパーフォーミュラ・ライツ:SFL)に自社製エンジンを搭載して参戦し、実績を積み重ねてきました

現在参戦しているSFLに加え、2026年からは国内最高峰のレースである「スーパーフォーミュラ」にも挑戦します。これは、例えるならサッカーで「J2からJ1へ昇格」するような大きなステップアップです。

また、レーシングカーの製作で用いられるカーボン成形技術や、前述のEV開発で得たモーターの技術を融合し、「空飛ぶ車」やドローン用のカーボン製プロペラの開発を進めています。

カーボン加工技術を生かして開発したプロペラ
カーボン加工技術を生かして開発したプロペラ

そのほかにもレース活動を通して、プロを目指すドライバーを育成し、メーカーや他チームに送り出すという、日本のモータースポーツ文化を支える役割も担っています。

エンジンに加え、近年は変速機も自社で開発しました
エンジンに加え、近年は変速機も自社で開発しました

最後に、読者へのメッセージをお願いします

戸田

車好きのかたには知名度があるものの、まだ戸田レーシングを知らないかたにも、「岡山にこのようなものづくり企業がある」ということをまず知っていただきたいと思っています。

特に最近は、車好きのお父様の影響で車に興味を持ったお子さんが「戸田レーシングで働きたい」と訪ねてくるケースも増えています。

また、若い世代のかたにも、私たちの存在を知っていただくことで将来を担う人材との出会いにもつながれば、大変心強いです。

岡山から世界に向けて挑戦している」ことを誇りに思い、これからも情熱を持って歩み続けていきます。この記事を通じて、私たちの「ものづくり」への想いが一人でも多くのかたに届くことを願っています。

ショールーム

おわりに

戸田社長のお話を聞くなかで、意図的に事業内容を拡げていったというよりは、核となるレース活動から派生してさまざまな製品やサービスが生まれていった印象を受けました。

戸田レーシングにとってモータースポーツとは、技術の限界を突破し、そこで得たノウハウを製品や試験装置、さらにはEVや空飛ぶ車といった次世代技術へと還元するためのいわば「究極の実験場」です。

現在も多くのファンがいるトヨタの名車、AE86に搭載されるコンプリートエンジン「4A-G」

現在、自動車はエンジンから電動へと、まさに時代の転換点にあります。
老舗として今まで積み上げてきた技術をもとに、変化の波を乗り越えながら、これからも挑戦という名のサーキットを走り続けていくことを期待しています。

株式会社戸田レーシングのデータ

フォーミュラカー
団体名株式会社戸田レーシング
業種レース用エンジン及び部品の研究開発・製造・販売
自動車用部品の研究開発・製造・販売
試作車両の研究開発・製造・販売
エンジン燃焼効率・低燃費・低排ガスの研究開発
各種テストスタンドの製造・販売
インホイールモータ / オンボードモータ/e-Axleの研究開発・製造・販売
航空機部品の製造 / 産業機械の製造
代表者名戸田憲吾
設立年1971年
住所岡山県小田郡矢掛町中640-1
電話番号0866-83-1202
ホームページ戸田レーシング

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