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冨來屋本舗 〜 タカキビを使ったオリジナル麺「きびそば」をはじめ倉敷ならではの郷土の味にこだわった店

冨來屋本舗 〜 タカキビを使ったオリジナル麺「きびそば」をはじめ倉敷ならではの郷土の味にこだわった店

食べとこ / 2020.08.20

冨來屋本舗の代表取締役・楠戸 登美夫さんにインタビュー

冨來屋本舗:楠戸 登美夫さん

岡山県内産タカキビを使ったオリジナルのきびそばや、郷土料理など、倉敷市あるいは岡山県ならではの食にこだわる冨來屋本舗。

冨來屋本舗を運営している株式会社 TRY(トライ)の代表取締役・楠戸 登美夫(くすど とみお)さんに、開業の経緯や店の特徴・コンセプト、きびそば開発秘話、今後の抱負などについて話を聞きました。

観光客は倉敷という地域ならではのものを求めている

冨來屋本舗:楠戸 登美夫さん
開業の経緯は?

楠戸 (敬称略)
冨來屋本舗を運営している株式会社 TRYは、もともと飲食業とはまったく違った業種をおこなう会社です。

やがて、うどん店などの飲食店も運営するようになりました。

美観地区にもうどん店を出すことになりまして、場所は現在の店舗の3軒北側です。

でも、倉敷はすぐ近くに讃岐うどんの本場の香川県がありますし、倉敷にうどん店自体もすごく多いですよね。

単にうどんをだすだけでは、競争に勝てないと思っていました。

倉敷は観光地。
国内外の各地から観光客がたくさんやってきます。

多くの観光客は、やっぱりその土地ならではの食べ物を食べたいはずです。
自分の家の近くで食べられるものを食べても、観光に来た意味がありませんから。

倉敷らしさがないですよね。

自分たちが観光客の気持ちになって考えた場合、倉敷という土地、岡山県という地域ならではの食べ物を提供しないとダメだと考えました。

そんなとき現在の建物が空くということを知人から紹介され、現在地へ移転することになったんです。
移転は、2010年(平成22年)ごろでした。

試行錯誤の末、タカキビを使ったオリジナル麺「きびそば」が誕生

冨來屋本舗:楠戸 登美夫さん
現在の看板メニュー「きびそば」は、どのように誕生した?

楠戸
新メニューは移転する前からいろいろ考えていました。

あるとき、岡山県といえばやっぱり「きびだんご」「吉備国」をイメージする人が多いので、キビ(黍)は使えないかと思いついたんです。

昔の岡山県ではキビを栽培し、食べられていました。

しかも食べやすい麺にしようと思い、キビを使った麺料理に挑戦をはじめたんです。

しかし、これがなかなかうまくいきませんでした。

最初は、キビといってまっさきに思いつく「モチキビ(餅黍)」を使っていました。

いろいろ調べてみると、キビにはモチキビとは別の種類の「タカキビ(高黍:モロコシとも)」というのがあるのを知りました。

タカキビは非常に栄養価が高く、タカキビのほうが麺に向いていると思ったんです。

それに、昔のきびだんごもタカキビを使っていたんですよ。

こうしてタカキビの麺づくりが始まりました。

タカキビの麺づくりはうまくいった?

楠戸
タカキビの麺づくりも試行錯誤しましたね。
だいたい2年くらいかかったでしょうか…。

タカキビってすごく固形にしにくいんですよ。
固めてもすぐバラバラになって麺の形状にならない。

かといってツナギで小麦粉を入れすぎると、タカキビの風味がなくなるので、意味がなくなってしまいます。

このタカキビと小麦粉のバランスを取るのが、とても大変でした。

やっとの思いで完成し、しかもとてもおいしくて独特の麺だったので「これだ!」と喜びましたね。

そばでもうどんでもない、独自の麺なので、タカキビを使った麺という意味で「たかきびめん」と命名しました。

現在は、お客さんにもわかりやすいように「きびそば」に改称しています。
「そば」という名前を付けましたが、そばはいっさい入っていません

きびそばは、全国どこにもない冨來屋本舗のオリジナル麺です!

きびそば完成後、きびそばを看板メニューとし、きびそば+αのメニューという構成に変えました。

栄養価の高さと一度食べたらクセになる独特の食感・風味が きびそばの魅力

冨來屋本舗:楠戸 登美夫さん
きびそばの特徴は?

楠戸
タカキビを使っているので、やっぱり栄養価の高さが特徴ですね!

カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄などのミネラルをバランスよく含んでいて、食物繊維も豊富ですよ。

タカキビは別名「畑のハンバーグ」とも呼ばれています。

あとは麺の食感です。
モッチリとした弾力のある食感は、クセになります。

そばやうどんなど、ほかの麺類にはない独特の味わいで、お客さんからも「ここでしか食べられない味」「ハマりそう」「食べやすい」など、好評です。

きびそば以外も地元食材・料理にこだわる

冨來屋本舗:楠戸 登美夫さん
タカキビの産地は?

楠戸
タカキビは、岡山県内産です。

実は、岡山県でもタカキビを栽培しているんですよ。
おもな産地は、玉野市高梁市新見(にいみ)市

当店では、その3市のものを使っています。

それにタカキビ以外にも、地元の食材や郷土料理にこだわっているんです。

きび膳」に付く料理もママカリ下津井のタコ千屋牛など。
またお酒も地酒をたくさん取りそろえました。

お客さんから、おいしいので買って帰りたいという要望も多かったので、きびそばの乾麺を開発し、店で販売もしています。
生麺も開発中です。

きびそばと同じようにタカキビを使った餅「たかきび餅」も好評です。

地酒の酒粕を使った「甘酒ジャム」もおすすめですよ!

当店に来れば、倉敷や岡山県ならではの食べ物を楽しめるのがアピールポイントです。

観光やビジネスで倉敷に来られたかたに、ぜひ地元ならではの味を楽しんでもらえればと思います。

今後の目標は冨來屋本舗のファンづくり

冨來屋本舗:楠戸 登美夫さん
今後の抱負ややってみたいことは?

楠戸
ひとつは、地元のかたにも喜んでいただき、足を運んでいただくこと。

新型コロナウイルス感染症が流行したとき、観光客のかたも大事ですが、地元のお客さんも大事だなと改めて考えさせられました。

地元にも愛される店を目指していきたいですね。

もうひとつは、遠くからのお客さんにもリピーターになってもらうように「ファミリー会員」のようなお客さんを増やしたいです。

今までは一見(いちげん)さんが多かったので、もっとお店のファンを増やしたいと思います。

遠くでなかなか当店に来られなくても、うちの商品を送って自宅で楽しめるようにできたらいいなと考えているんです。

おわりに

冨來屋本舗の名物・きびそばは、冨來屋本舗でなければ味わえません。

全国でもここだけの、独特の味わいを楽しんでみてください。

栄養価の高さも魅力です。

また、ままかり・千屋牛・下津井のタコなどの地元の食材も合わせて楽しんでみてください。

冨來屋本舗 (とらいや ほんぽ)のデータ

冨來屋本舗:外観
名前冨來屋本舗 (とらいや ほんぽ)
住所岡山県倉敷市本町6-21
電話番号086-427-0122
駐車場なし
営業時間午前11時〜午後8時 (午後7時 オーダーストップ)
定休日
祝日の場合は営業し、翌日に休業
支払い方法
  • 現金
  • 消費税別
予約の可否
座席全45席
・1階 4人がけテーブル席:5卓
・2階 5人がけテーブル席:5卓
タバコ
トイレ
子育てベビーカーでの入店可能
子供用食器あり
バリアフリー車椅子での入店可能(1階)
ホームページ冨來屋本舗(とらいやほんぽ) ~倉敷美観地区~
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アサノ ・ヨウスケ

アサノ ・ヨウスケ

フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。地域情報サイトも運営。
カメラ片手に街を散策。倉敷観光に深みとコクをあたえます!

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冨來屋本舗:きびそば

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