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月のうつわ 鶴形店 〜 素材にこだわった昔ながらの”手づくり感”ある「中華そば」。女性でもひとりで気軽に寄れるラーメン店

月のうつわ 鶴形店 〜 素材にこだわった昔ながらの”手づくり感”ある「中華そば」。女性でもひとりで気軽に寄れるラーメン店

食べとこ / 2022.03.09

月のうつわの店主へインタビュー

月のうつわ:看板

こだわりの詰まった中華そばや、おいしいサイドメニュー、印象的な店内など魅力がいっぱいの月のうつわ。

そんな月のうつわの店主にインタビューをし、開業の経緯や店名の由来、店や食品へのこだわり、今後の展望などを聞きました。

インタビューは2020年2月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

趣味だった「理想のラーメン作り」が評判になって店を開くことに

月のうつわ:黄金そば
写真提供:月のうつわ

店を開いた経緯は?

店主

実は、ラーメンどころか飲食店で働いた経験はいっさいないんですよ。
前は飲食店とは関係ない業界で、会社員として働いていました。

私は幼少期に福岡市に住んでいたことがあります。
福岡でラーメンを食べるとしたら、ほぼ豚骨ラーメンでした。

大きくなって岡山県に来て、醤油スープのラーメンに感動したんですよ。

気付いたら、いろいろ醤油味のラーメンを食べ歩くようになって、好みのラーメン店を探すようになりました。

しだいに自分の理想とする味を追求するようになってきて、ついには自宅で自分でラーメンをつくるようになってしまったんです!

自分の追い求める味を再現するラーメン研究ですね。

つくったラーメンは、友人を招いて食べてもらっていました。
それが好評で、みなさんにおいしいといってもらえまして…。

そのうち「ラーメン屋さんやったらいいんじゃない?」と言われるようになりました。

だんだん私もやる気になってきて、気付いたら脱サラしてラーメン屋を始めていたんです(笑)。

オープンは、2013年(平成25年)。
最初は倉敷駅の北側の住宅地のなかで、民家を利用してやっていました。

その後、知人の紹介で2018年(平成30年)に現在の鶴形に移転したんです。

昔ながらの手作り感ある「中華そば」を守っていきたい

月のうつわ:中華そば
写真提供:月のうつわ

なぜ自宅で理想のラーメン研究をするようになった?

店主

自分の理想のラーメンづくりに没頭するようになったのは、だんだん昔ながらのラーメン店の良さがなくなってきているように感じたから。

ラーメン店を食べ歩いてみて、昔ながらの個人店が減ってきて、ラーメン店が「企業化」していっている気がしたんです。

ラーメンの「手づくり感」が減っていって、業務用商品のような感覚がしたんですよね。

ちなみに福岡で過ごした私のなかでは、ラーメン=豚骨味なので、醤油味のラーメンは「中華そば」と呼んだほうがピンときます。

素材やつくり方に妥協せず味を一番に考えた、手づくり感のある「中華そば」を食べたいと考えるようになって、だったら自分でつくっちゃおうということが始まりでした。

素材にはとことんこだわる

月のうつわ:激辛そば
写真提供:月のうつわ

お店の「中華そば」でこだわっていることは?

店主

自分の理想を追求した中華そばだから、素材に妥協はしたくありません

天然の食材を使って手づくりの中華そばをつくるのがコンセプトです。
業務用商品は使っていません!

たとえば、ダシに使う鶏は岡山県産親鶏(老鶏)の丸鶏を使います。
ネギは、京都産の九条ネギです。

チャーシューは自家製で、特上の豚バラ肉を使っています。

卵は地元・岡山県(笠岡市)の采女ファームの「もみじ卵」。
純国産鶏が産んだ卵で、とても評価が高いものです。

また、豚の背脂にはランクがあるのですが、一番いいランクのものを手に入れています。

そして醤油味の中華そばで大切な醤油は、千葉県の宮醤油がつくるこだわりの醤油なんですよ。

ただ、たいへんなのはさまざまな事情で食材の価格が変わったり、入手のしやすさが変わったりすること。

自分の趣味で中華そばをつくっていたときと、お店で中華そばをつくっているときの一番大きな違いを感じました。

お客さんにおいしさを届けるために少しずつ変化を

月のうつわ:宴会のようす
写真提供:月のうつわ

ほかに工夫やこだわりは?

店主

少しずつ変化すること」は意識しています。

お客さんにおいしさを届けるためには、ずっと同じだったらだめだなと思いますね。

新しいものを取り入れたり、工夫をして試行錯誤したりするのが大事なんですよ。

だからメニューも少しずつ変わっています。
以前は、和食も出していたこともありしました。

あと、当店の中華そばに盛り付けられているネギも変化していますね。
開店当初は、普通の輪切りにした刻みネギでした。

今、月のうつわに盛り付けているネギは、広島風つけ麺をヒントにしたネギの切り方なんです。

私は、あるとき激辛の広島風つけ麺が好きになって、広島風つけ麺ばかり食べ歩いていた時期があります。

そのとき、広島風つけ麺に盛り付けられていたネギを食べて「これを月のうつわでもやってみよう」と思い、取り入れたんですよ。

ちなみに、夏の裏メニューに広島風つけ麺があるのも、私が広島風つけ麺が好きだからですね(笑)。

月のうつわは女性でも一人で気軽に立ち寄れるラーメン店

月のうつわ:入口の案内

月のうつわの強みや特徴は?

店主

当店は、女性でも気軽に立ち寄れることが強みだと思います。

日本人はラーメンが大好きですよね。
それは、女性だって同じ。

でも、ラーメン店って女性ひとりでフラッと入って、気軽にラーメンを食べやすい店って少ないと思っています。

当店は、こだわりを持ってラーメンをつくっています。
ですから、老若男女なるべく多くのかたに食べてもらいたいんです。

当店の雰囲気も女性に親しみやすいですし、メニューや盛り付けなどもそう。
ラーメンの味も、女性に人気の塩味や激辛のものもそろっているのも、ポイントですね。

ラーメン好きな女性は、ぜひ一度来店してみてほしいと思います。

店名の由来は思い出の喫茶店の名

月のうつわ:赤提灯

店名がユニークだが、由来は?

店主

「月のうつわ」という店名は、福岡にあった喫茶店の名前からいただいています。

幼少期に福岡に住んでいたと話しましたが、家の近くにあった喫茶店でした。
そこのマスターがすごく個性的で、とても印象に残っています。

ルックスもインパクトある風貌で、キャラクターもおもしろかったですね。
和製サミー・デイビス・ジュニア(米国の歌手)みたいな感じで(笑)。

それでいて、つくる料理がおしかったんですよ。

店内もおしゃれで、ジャズのレコードがたくさん並んでいて、ジャズがずっと流れている店でした。

喫茶「月のうつわ」は、私が食に興味を持ち始めたきっかけの店なんです。
だから、お店を始めるときにそこの喫茶店の名前をいただいたんです。

もちろん、マスターの許可は得ていますよ(笑)。

私が小さいころ、マスターに「自分も将来飲食店をやりたい」と話したことがあって、マスターも、そのときに「月のうつわの名前を使ってもいいよ」と会話をしたこともありましたね。

ただ残念ながら、もうお店は閉めてしまいました。
廃業の話を聞いて、私も福岡まで駆けつけたんです。

そしたら、ジャズのレコードの一部を譲っていただきました。
今、うちの店で流れるジャズは、そのとき譲っていただいたものがほとんどですよ。

店内の雰囲気は「ジャパニーズ・モダン」がテーマ

月のうつわ:店内の装飾

店内の雰囲気は独特だが、きっかけは?

店主

実は、最初は家にあるものばかりだったんです。
日ノ出町の店は民家を店としていました。

だから、少しでも個性を出そうと考えたんです。
そこで家に眠っていたものをいろいろ飾ってみました。

評判がいいものを残していった結果が、今のような店内。

甲冑のインパクトがあるといわれますが、これは「普通は飲食店にこんなもの置かないだろう」と思うでしょうが、あえて裏をかいて置いてみました。

音楽は、さきほどの喫茶店のジャズを流していました。

その結果、店内のテーマを「ジャパニーズ・モダン」とすることを思いついたんです。
これは鶴形に移っても継承しています。

海外からの観光客も多い土地なんで、結果としてジャパニーズ・モダンの店内は、海外のかたでも興味が持ちやすくて良かったんじゃないかな。

地元のラーメン店同士で助け合いたい

月のうつわへの行き方:えびす通りの案内

今後の目標ややってみたいことは?

店主

お店を始めてから、同じラーメン店を中心に、お店の店主さんと知り合うことが多くなりました。

そこで、いろいろな相談を受けてアドバイスをしたり、逆に私が相談してもらったりすることもあります。

個人でもお店をやっていると、たいへんなことや困ったことがたくさんあるんです。
そんなときに、お店同士が互いに助け合えるような繋がりがあればいいなと思うようになりました。

もともと、個人店の良さを残していきたいと思ったことが、月のうつわを始めたきっかけ。
だから困ったことがあれば、お店同士で協力し合えればいいなぁと思います。

おわりに

月のうつわ:店頭
写真提供:月のうつわ

月のうつわは個性的な店内も印象的ですが、中華そばへのこだわりと情熱も印象的です。

店主の中華そばにかけるこだわりは、まるで研究者のよう。

そして、手づくり感を大事にした中華そばを食べると、どこか懐かしいような味わいを感じました。

月のうつわの中華そばは、何度も食べたくなるような中華そばだと思います。

ぜひ、一度月のうつわの中華そばを味わってみてください。

月のうつわ 鶴形店のデータ

月のうつわ:外観
名前月のうつわ 鶴形店
住所岡山県倉敷市鶴形2丁目1-11
電話番号086-424-2135
駐車場なし
営業時間午前10時30分〜午後3時
午後6時〜午後9時
定休日火、木
支払い方法
  • 現金
予約の可否不可
座席10席
・テーブルと座敷あり
・席数変更可能
タバコ
トイレ
子育て車椅子での入店可能
バリアフリー・子供用食器あり
・ベビーカーの入店は不可
ホームページ月のうつわ 公式Twitter
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アサノ

フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。

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月のうつわ:黄金そば

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