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由加神社本宮の権禰宜・下澤 尚志さんへインタビュー
長い歴史があり、多くの参拝客が訪れる由加神社本宮。
権禰宜(ごんねぎ)の下澤尚志さんに、話題の「美禅守」が生まれた背景などについて話を聞きました。
地元デザイナーや伝統工芸とコラボしたお守り「美禅守」
「美禅守」が人気だそうだが、美禅守が生まれた経緯を知りたい。
下澤(敬称略)
美禅守の授与を始めたのは、令和3年(2021年)の12月からです。
由加神社本宮と岡山市のデザインユニット「dolt(ドルト)」さん、備前市の備前焼窯元さんとコラボレーションして生まれました。
備前焼という岡山県を代表する伝統工芸を使ったお守りなので、地元のよさを感じられるお守りに仕上がっていると思います。
実は、以前にdoltの代表のかたと由加神社本宮でコラボレーションしたお守りを制作したことがありました。
その後doltさんと備前焼の窯元さんがコラボレーションするということで、過去にdoltさんと由加神社本宮が協力したご縁で、お声がけいただいたしだいです。
また由加神社本宮といえば備前焼の鳥居と獅子が有名なので、備前焼つながりという理由もありますね。
実際に美禅守の授与を始めて、参拝客からの評判はどうか。
下澤
美禅守は大変好評でして、最初のころはすぐになくなってしまい、お待たせすることもありました。
備前焼でつくられているという特性上、すぐにご用意するのが難しかったのですが、その後はある程度余裕をもって授与できるようにしています。
ただ、状況によってはすぐに授与できないこともありますので、そのあたりはご理解いただけると幸いです。
美禅守には、災難除けの御利益があります。
令和2年より新型コロナウイルス感染症が流行していますので、美禅守の力で早期のコロナ禍終息を願い、明るくなっていただければと思いますね。
ほかにコラボレーションしたり、おもしろい試みはあった?
下澤
地元の伝統工芸である真田紐(さなだひも)を使った、縁結びのお守りも好評です。
あと現在は授与していないのですが、かつて由加神社本宮にあるタコ神様にちなんで、合格祈願のオクトパスお守りというのがあり、好評でした。
タコは英語でオクトパス(Octopus)。
それと「(机の上に)置くとパス(合格)」の語呂合わせです(笑)。
江戸時代の「両まいり」によって「厄除け総本山」に
由加神社本宮は「厄除け総本山」と呼ばれているが、そうなった経緯は?
下澤
由加神社本宮は、手置帆負命と彦狭知命が主祭神です。
手置帆負命と彦狭知命は、建築や技能を司る「匠(たくみ)」の神様になります。
しかし江戸時代に由加山と金刀比羅宮の「両まいり」が盛んになると、旅の安全を祈願するために神直日命・大直日命が勧請(かんじょう=神を呼び寄せ、向かえ入れる)されました。
神直日命・大直日命は、災難除けの神様だからです。
それ以降、由加神社本宮は災難除けと、そこから発展して厄除け祈願のために参拝する人が多くなり、「厄除け総本山」とも呼ばれるようになったのです。
由加神社本宮は全国に52の分社がある
由加神社本宮は「本宮」とあるが、分社はどれくらいある?
下澤
文献などを調査しながら分社を確認できたのは、今のところ全国で52社です。
ほかにも文献で関連性が確認できないものもありますので、もしかしたらそれより多い可能性もあります。
分社があるのは西日本、とくに中国・四国・近畿・九州北部が多いですね。
もっとも西は長崎県の島原、東は奈良県奈良市に分社があります。
群馬県にも由加神社があるのですが、こちらはまだ確認が取れていません。
近場では市内水島の東塚、児島の下津井、児島沖の竪場島(たてばじま、通称:クジラ島)に分社の由加神社があります。
コロナ禍以前では、全国の分社をお参りする「由加神社めぐり」というのをおこなっていました。
各地の由加神社をお参りして、由加神社同士のご縁をつないでいこうと企画したものです。
瀬戸大橋の開通で両まいりがふたたび身近に
最後にメッセージがあれば、どうぞ。
下澤
江戸時代に盛んだった両まいりですが、一時下火になったこともあります。
しかし瀬戸大橋の開通で、本州と四国のあいだの行き来がしやすくなったので、ふたたび両まいりをされるかたが増えました。
広島県や愛知県など、遠方から毎年両まいりをされる個人や企業のかたもおられます。
由加神社本宮には厄除けや災難除けをはじめ、合格祈願や子授けなど、さまざまな願いをもって参拝されると思います。
せっかく由加山という山の上までお参りに来られたので、しっかりと御利益をいただいて帰ってもらいたいですね。
固くならず、ぜひ気軽な気持ちで参拝してください。
由加山は国立公園の一部でもありますので、自然が豊かです。
春には桜、秋には紅葉も楽しめます。
ぜひ由加神社本宮にお参りして、心身ともにリフレッシュしていただけたら幸いです。
厄除け総本山・由加神社本宮で「両まいり」を
長い歴史があり、江戸時代には金比羅宮との「両まいり」で栄えた由加山。
倉敷美観地区から由加山までは、南東方面へ約13キロメートルです。
倉敷観光に訪れたとき、ぜひ由加神社本宮まで足をのばし、参拝してみてはいかがでしょうか。
また倉敷らしい御朱印帳や、備前焼を使ったお守り・美禅守もぜひいただいてみてください。
由加神社本宮のデータ
名称 | 由加神社本宮 |
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別名 | 瑜伽大権現 |
鎮座地 | 岡山県倉敷市児島由加山2852 |
電話番号 | 086-477-3001 |
駐車場 | あり 第1駐車場と第2駐車場がある |
御祭神 | 手置帆負命(たおきほおいのみこと) 彦狭知命(ひこさしりのみこと) 神直日命(かむなおひのみこと) 大直日命(おおなおひのみこと) 本地仏:阿弥陀如来(あみだにょらい) 、薬師如来(やくしにょらい) |
御利益 | 厄除け 災難除け 交通安全 建築・土木安全 家内安全 技芸上達 金運上昇 商売繁盛 縁結び・恋愛成就 子授け・子孫繁栄 合格祈願 ほか |
御朱印(初穂料) | あり(300円) |
拝観時間 | 随時 |
受付時間 | 午前9時〜午後4時 |
休観日 | なし |
拝観料 | なし |
拝観料・初穂料の納め方 |
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トイレ | 洋式トイレ |