倉敷市総合療育相談センター「ゆめぱる」〜 障がいがあったり発達が気になったりする子を育てる保護者に寄り添う公的機関

窓口の前に立つ赤木さん

ゆめぱる職員へのインタビュー

ゆめぱるで所長を務める赤木紀公子(あかぎ きくこ)さんに、ゆめぱるとはどのようなところなのか、市民にどのように利用してほしいのかなどについてインタビューしました。

赤木紀公子(あかぎ きくこ)さん
赤木紀公子(あかぎ きくこ)さん

保護者の声から生まれた全国でも珍しい「保護者のための」公的相談機関

倉敷市にゆめぱるが設置された経緯について教えてください

赤木(敬称略)

ゆめぱるは、2008年(平成20年)に保護者の声から生まれた保護者に寄り添う相談センターです。

障がいのある子や発達が気になる子と福祉サービスをつなぐ役割を果たす機関は、全国各地にありますが、そのような子どもたちを育てる保護者の大変さに寄り添うことを目的とした機関は、全国でもまだ数が少ないのが現状です。

倉敷市には、障がいまたはその疑いのあるお子さんを育てる保護者の支援を目的とした団体があります。そのような保護者のかたからの要望も受けて、気軽に相談できる公的相談機関として「ゆめぱる」が設置されました。

開所日に土曜日もあるのは、うれしいですね

赤木

土曜日は仕事をされている保護者も来所しやすい日です。混み合うため、予約が必要です。

また駐車場も広いので、車での来所も可能です。

子どもと一緒に入れる相談室
子どもと一緒に入れる相談室

倉敷市総合療育相談センターではなく愛称の「ゆめぱる」で親しまれていますよね。愛称の由来を知りたいです。

赤木

「ゆめ」にはdream(ドリーム)の「夢」という意味が、「ぱる」にはpal(パル)の「仲間」という意味が込められていて、それらをつなぎ合わせて「ゆめぱる」となりました。

愛称は公募で決まったものです。

ゆめぱるの利用対象者を教えてください

赤木

18歳未満のお子さんの保護者や家族が対象になります。

現在各種障がい者手帳や「児童発達支援」や「放課後等デイサービス」の受給者証を所持していなくても、子育てに大変さを感じていれば、気軽に相談に来てください。

必要に応じてそのほかの福祉サービスや行政サービスなどの情報提供もおこないます。

行政とも民間福祉サービスともスムーズな連携

公的機関ならではの役割には、どのようなことがあるのでしょうか

赤木

福祉サービスを利用するための受給者証の申請手続きができる、市役所の窓口のような役割も果たしています。

また、障がい児の保護者をサポートする団体である「認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷ」さんの協力を得て、保護者が感じる子どもの成長や学びのようすを綴っていく「かがやき手帳」を書く会をおこなっています。
こちらも、保護者の要望を受けて倉敷市・倉敷市教育委員会とともに書式を作成しました。

直近では、2025年11月に倉敷市立美術館でゆめぱる利用家庭を対象とした貸切鑑賞イベントも開催しました。

親子でアート!ゆめぱるデイのようす
親子でアート!ゆめぱるデイのようす

このように、保護者の要望に寄り添いつつ公的な機関とも連携できるところが行政機関ならではの役割です。

一方で、ゆめぱるでは子どもの障がい認定はおこなっていません。専門の医師のいる病院で診断を受けていただきます。

ただし心理士が常駐しているので、お子さんの得意なところやこれから伸ばしたいところを多角的に分析し、子育てのポイントをともに考えることは可能です。相談室内にはプレイルームもあるので、お子様を連れての来所もできます。

親子でアート!ゆめぱるデイ(2025年11月4日開催)〜 療育を必要とする親子が、倉敷市立美術館で「やべみつのりと矢部太郎〜『ぼくのお父さん』のふるさと・倉敷」を貸切鑑賞しました

障がいのある子や発達の気になる子の「保護者」を支援対象とする理由を教えてください

赤木

障がいのある子や発達の気になる子とともに生活する保護者の心が安定することが、そのような子どもたちの生活の安定につながると考えるからです。

子どもとの関わりかたのヒントを得たり、子育てを伴走してくれる機関とつながったりすることで、保護者のかたが一人で抱え込まず、地域で子どもを育てていける社会を目指しています。

また、子どもたちのことは連携先の療育機関や教育機関が真摯に向き合い、保護者支援を担ってくれているところもありますが、ゆめぱるにもお手伝いさせていただきたいと思います。

障がいの有無にかかわらず、子育てに「困った」と思ったらいつでも相談可能

どのようなタイミングが「相談しどき」なのかわからずに、なかなか相談に行けないかたもいるのではないでしょうか

赤木

どんなタイミングでも構いません。
お子さんの育ちが気になったとき、子育てに困ったとき、いつでもご相談ください。

ゆめぱるが設置された2008年頃は、小学校就学のタイミングでの新規来所が多くありましたが、今はもう少し早い時期からの相談も増えているんですよ。

来所されるかたの子どもの年齢が前倒しになっているのは、それだけ倉敷市内で療育への興味・関心が高まっているということではないでしょうか。ゆめぱるへ相談に行ってみようと来所してくださるかたが年々増えているのは、ゆめぱるがみなさまにとって身近な相談機関と認識していただけていることとありがたく感じています。

書架に並ぶ専門書

もちろん18歳までのお子さんが対象なので、成長に伴って生じた大変さであっても相談可能です。

大きいお子さんだと、不登校や嘘をついてしまうことが多いお子さんの保護者からの相談が多いです。また、一度ゆめぱるの利用が途切れてしまっても、成長に伴って進学やお友達関係など新たな悩みが出てきたタイミングで再来所されるかたもいます。

来所者もご両親だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんが相談にいらっしゃることもありますよ。

相談には、必ずお子さんを連れていく必要がありますか

赤木

受給者証の申請などの場合には、本人確認のためお子さんを連れてきていただく必要がありますが、それ以外の場合はご家庭の判断にお任せしています。

お子さんと一緒に来所された際に、お子さんが遊べるスペースもあります。

また、来所が難しい場合はオンラインでの相談も受け付けておりますので、予約の際にご相談ください。

一緒に来た子どもが遊べるスペース
一緒に来た子どもが遊べるスペース

相談内容によっては、職員も辛い気持ちになってしまうこともありませんか?

赤木

ゆめぱるでは、日々職員同士で受けた相談内容について共有するようにしています。相談内容を共有するだけでなく、「次はこんなふうに言ってみたら?」など、互いに気づいたことを気軽に言い合える雰囲気があります。
受けた相談は個人が抱えるのではなく、次に誰がお受けしても対応できるようにしています。

また、定期的な専門研修の機会も大事にしていますよ。

障がいがあったり発達が気になったりする子と親が参加できる子育て支援も充実

ゆめぱるでは、相談支援以外にもオリジナルイベントも開催されていますよね。過去に開催して好評だったイベントを教えてください。

赤木

秋に開催しているデイキャンプの「かるがもキャンプ」は、毎年好評です。

参加者からは「子ども会などの地域の集団には遠慮して入れないけれども、かるがもキャンプならば子どもが走りまわったりパニックになったりしても気兼ねしなくて良いので、安心して来られる」と感想をいただいています。

同じような余暇支援としては、ピッチの芝生を見学できる「ファジアーノ岡山ニアザピッチ」も人気です。特にファジアーノ岡山がJ1に昇格してからは、抽選が必要なほどの人気イベントになりました。

こちらも、参加者が支援の必要な子ども同士だからこそ参加しやすいようです。

プラザまつりのナントナティックウエイトリフティング(写真提供:ゆめぱる)
プラザまつりのナントナティックウエイトリフティング(写真提供:ゆめぱる)

そのほかにも、療育が必要だけれども待機している親子を対象とした「すきっぷたいむ」は、実際に地域の療育スタッフも参加するので有意義な時間となっているようです。

また、ゆめぱるを利用される保護者にとって、地域の子育て支援センターなどでの子育て講座は自分の子育ての参考になりにくい場合もあります。そのような保護者を対象とした「子育て安心シリーズ講座」は、毎回多くのかたに参加していただいている講座です。

必要とする人に必要なタイミングでとどく支援をしていきたい

今後の展望を教えてください

赤木

ゆめぱるの存在を、必要としている市民のかたがたに周知していきたいです。

年々来所者数は増えていますが、特に保育所や幼稚園に通っていない乳幼児のいるご家庭では、どこに相談したら良いのかわからないかたもいらっしゃると思います。

今後も、さまざまなかたにゆめぱるを知っていただけるよう周知していきたいと思います。

読者へメッセージをお願いします

赤木

子育てって、何があってもなくても大変なものですよね。だからこそ一人で悩まず、気軽に相談にいらしてください。

私たちはいつでも、保護者のみなさんの味方です。

おわりに

私には、生まれつき聴覚障がいがあります。
幼少期の私は聞こえにくい自分が当たり前で、聴こえる人と比べることがなかったので、当時は「きこえ」による困難をあまり感じていませんでした。しかし、私の両親は我が子に障がいがあるというのは、大きな衝撃だったでしょうし、私の将来について大きな不安を抱えていたと言います。

実際私には補聴器の使いかたや手話を教えてくれる学校がありましたが、両親は聴こえない子の子育ては未知で手探り状態でした。

ゆめぱるのような保護者の思いに寄り添うサービスは、子どもが低年齢であればあるほど必要なものだと考えます。

今後も必要とする人にゆめぱるの存在が周知され、一人で子育ての悩みや不安を抱える保護者が一人でも減ることが、未来の子どもたちの笑顔につながることでしょう。

倉敷市総合療育相談センターゆめぱるのデータ

窓口のようす
名前倉敷市総合療育相談センターゆめぱる
住所岡山県倉敷市笹沖180番地 くらしき健康福祉プラザ1階7番窓口
電話番号086-434-9882
ホームページ倉敷市総合療育相談センター

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高石真梨子
高石真梨子
東北→九州→近畿→関東を経て、2023年12月に倉敷市地域おこし協力隊になりました。

音の世界と音のない世界の狭間に住んでいる、手話と日本語のバイリンガルです。障がいの有無にかかわらず、倉敷を旅して倉敷に住み続けたくなるような情報を発信していきます。

こんにちは、地域おこし協力隊です

県外から倉敷市への移住をより一層進めるため、Webを通じた生活者目線での情報発信や、移住関連イベントへの協力をミッションに活動しています。

倉敷市地域おこし協力隊

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