井上家住宅 ~ 築300年以上。約10年におよぶ保存修理工事を経て公開された、倉敷美観地区に現存する最古の町家

外観

倉敷美観地区でもっとも古い町家を知っていますか?

それは、国の重要文化財に指定されている井上家住宅です。
部材の仕上げ具合や文書などから、享保6年(1721年)に大規模改修され、現在残っている住宅の基礎が築かれたことがわかっています。

平成24年(2012年)度~令和4年(2022年)度まで、10年にもわたって全解体して調査が進められた保存修理を経て、2023年3月から一般公開されている、井上家住宅の見どころにせまります。

記載されている内容は、2025年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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国指定重要文化財 井上家住宅のデータ

外観
名前国指定重要文化財 井上家住宅
所在地岡山県倉敷市本町1-36
電話番号086-422-0714
駐車場なし
開館時間午前10時~午後5時(最終入館午後4時30分)
休館日
年末年始 ( 12/28~1/3 )
(祝日の月曜日は開館、翌日休館)
入館料(税込)大人一般 500円(400円)
小中学生 300円(200円)
未就学児 無料
※( )内は、団体20名以上
支払い方法
  • 現金
予約について
英語による案内を希望する場合は、電話での確認が必要
団体への案内も、予約が必要(30分~60分)
タバコ
トイレ
子育ていきいきパスポート指定施設
バリアフリー杖カバーをすれば、杖の持ち込み可能
マスクを外しての案内可能
触って楽しめる展示多数あり
ホームページ国指定重要文化財 井上家住宅

井上家住宅について

井上家住宅は、古くから倉敷美観地区の中心通りである本町通に面して建つ町屋建築です。

2002年に、以下の建物や資料が国の重要文化財に指定されました

  • 主屋
  • 三階蔵
  • 井戸蔵
  • 土塀
  • 家相図
  • 敷地

しかし、建物の老朽化が進み修理が必要な状態だったため、2012年から約10年におよぶ保存修理工事をしました。そして、2023年3月から一般公開を始めました。

当時を再現した町家建築はもちろん、職人たちの精魂込めた技や、先人たちの工夫が感じられる空間となっています。

日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」の構成文化財にも指定されています。

井上家とは

土間から眺めた室内

井上家の先祖は十六世紀の終わりに倉敷に土着し、鶴形山の麓(ふもと)に居を構え、阿知潟と呼ばれた周辺の干潟の開墾(かいこん)に従事しました。

古くから村役人となる資格を持つ「古禄 (ころく)」と呼ばれる十三軒のうちの一軒で、江戸時代は年寄り役や百姓代など、他家と交代で務めていたそうです。

網代天井

現存する井上家の基礎は、六代目当主の安兵衛(やすべえ)が、享保6年(1721年)に大規模な改築を施したものです。

以後、現在に至るまで増改築を重ねてきました。
平成9年(1997年)までは実際に居宅として使われていましたが、敷地内に新宅ができてからは仕事場や応接スペースとして活用されていたそうです。そして、2012年の改修まで井上家の人々が使い続けてきました。

現在は、十代目当主の三郎右衛門(さぶろううえもん)が活躍した、天保年間当時の井上家を復元した姿になっています。

商家の名残が垣間見える建築の特徴

開けた状態の蔀戸(しとみど)と摺揚戸(すりあげど)

新田開発に従事し、享保年間(1716年〜1736年)には、酒屋・地主を兼ねた特権的な商人に成長した井上家の歴史は、建築からも垣間見えます。

防火用土扉

通りに面した倉敷窓には、倉敷美観地区で唯一の防火用土扉が設けられています。

蔀戸と摺揚戸の開閉実演

これらの窓は、蔀戸(しとみど)と摺揚戸(すりあげど)になっており、上下に分かれた板戸で、上の戸は上部が吊られており、はね上げて開けられる仕組み。

来客用の小窓

その横には来客用の小窓も設けられており、庄屋として栄えた名残がうかがえます。

居住空間の見どころ

太鼓橋

お客様用の空間である通り側の建物と、家族の空間を区切るのが太鼓橋です。

坪庭

太鼓橋を越えた来客用スペースで、特に目を引くのは雪見灯籠(ゆきみとうろう)のある坪庭

鶴の掛け軸

第十代当主の三郎右衛門は鶴が好きで、ここで飼っていた鶴の絵を描いたと言い伝えられています。

備前焼の水甕

台所には、ずっしりとした備前焼の水甕(みずがめ)が置かれています。

これは、本能寺の変の翌年、天正11年(1583年)の銘が刻んである倉敷市指定文化財です。
井上家住宅の蔵で発見されてからしばらくは倉敷市が保管していましたが、2012年から始まった保存修理工事の過程で、使用されていた場所が特定され、一般公開に合わせて井上家に戻されました。

スタッフによる実演付きの案内

スタッフの実演

2023年12月から倉敷市の地域おこし協力隊として活動する筆者は、倉敷市外で活動する地域おこし協力隊や関東で暮らしていた頃の友人や家族と一緒に、倉敷美観地区を観光する機会があります。

そのようなときに、必ず訪れるのが、この井上家住宅。なぜなら、入館料を支払うだけで、スタッフが実演付きで井上家住宅を案内してくれるからです。

蔀戸(しとみど)と摺揚戸(すりあげど)が跳ね上げられるようすや、雨戸を開閉する動作を、グループごとに見せてくれます。

スタッフの実演

2012年から10年にわたっておこなわれた保存修理工事の過程で発掘された資料を基に、倉敷美観地区の歴史についても説明があります。

倉敷の街を古くから見守り続けてきた井上家ならではの視点で語られる歴史は、この街の歴史そのものと言っても過言ではありません。井上家住宅をひととおり楽しんだ後の散策も、友人たちに大変好評です。

井上家住宅を訪れた際には、ぜひスタッフに案内をお願いしてみてください。

お土産に、オリジナルグッズはいかが?

井上家住宅では、数々のオリジナルグッズも販売中です。
訪問の記念や、楽しい実演付き案内のお礼、井上家住宅への応援として、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

現在販売しているオリジナルグッズは、以下のとおりです。

  • Tシャツ(家紋、似顔絵)
  • 缶バッジ(家紋、似顔絵、「宮崎屋」屋号、火消車マーク)
オリジナルグッズ

井上家第十六代当主の井上典彦(いのうえ ふみひこ)さんに、10年におよんだ保存修理工事のエピソードや実演付きの案内で工夫していることなどについて、インタビューしました。

国指定重要文化財 井上家住宅のデータ

外観
名前国指定重要文化財 井上家住宅
所在地岡山県倉敷市本町1-36
電話番号086-422-0714
駐車場なし
開館時間午前10時~午後5時(最終入館午後4時30分)
休館日
年末年始 ( 12/28~1/3 )
(祝日の月曜日は開館、翌日休館)
入館料(税込)大人一般 500円(400円)
小中学生 300円(200円)
未就学児 無料
※( )内は、団体20名以上
支払い方法
  • 現金
予約について
英語による案内を希望する場合は、電話での確認が必要
団体への案内も、予約が必要(30分~60分)
タバコ
トイレ
子育ていきいきパスポート指定施設
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高石真梨子
高石真梨子
東北→九州→近畿→関東を経て、2023年12月に倉敷市地域おこし協力隊になりました。 音の世界と音のない世界の狭間に住んでいる、手話と日本語のバイリンガルです。障がいの有無にかかわらず、倉敷を旅して倉敷に住み続けたくなるような情報を発信していきます。

こんにちは、地域おこし協力隊です

県外から倉敷市への移住をより一層進めるため、Webを通じた生活者目線での情報発信や、移住関連イベントへの協力をミッションに活動しています。

倉敷市地域おこし協力隊

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