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倉敷REDBOX ~ 音楽文化を担うライブハウスから、広く必要とされる場所に

倉敷REDBOX ~ 音楽文化を担うライブハウスから、広く必要とされる場所に

遊んどこ / 2020.06.18

新型コロナウイルス感染症により、多くのお店や施設が影響を受けました。
なかでもライブハウスは、大変な苦境に陥(おちい)っています。

ライブハウスは、音楽を奏でる人々に発表の場を、オーディエンスには音楽との出会いや生演奏を聴く喜びを提供し、音楽文化を支えてきた場所です。

筆者はライブが「生きがい」といえるほど大好き。
CDやDVDでは味わえない、ライブならではの高揚感は格別です。

倉敷市では数少ない本格的なライブハウスが、「倉敷REDBOX」

多くの課題を抱えながら、新型コロナウイルス感染症に負けないよう頑張っています。

ライブハウスを応援したい!
2020年6月9日、倉敷REDBOX店長の(株)Stageperson代表取締役「上野純(うえの じゅん)さん」に話を聞きました。

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記載されている内容は、2020年6月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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倉敷REDBOXのデータ

倉敷REDBOX
名前倉敷REDBOX
所在地倉敷市老松町5丁目1-15 2F
電話番号086-421-3929
駐車場あり
店舗下の共通駐車場に停められない場合は、近隣コインパーキングを利用。
駐車券提示で、スタジオの利用時間×100円を割引。
開館時間平日:午後5時~午前0時
土日祝:午前10時~午前0時
※当日午後9時の段階で予約がない場合は午後10時で閉店
休館日なし
入館料(税込)【レンタルスタジオ】
一般:2,100円/1時間 ~
個人練習:600円/1時間 ~

【ステージ利用】
6時間パック:105,000円~
時間貸し 4時間以上~:20,000円/1時間~

※オペレーター料金含む
支払い方法
  • 現金
  • 配信ライブの閲覧URLのメール購入時は、PayPayにも対応
予約について
タバコ
トイレ
子育て
バリアフリー
ホームページ岡山のライブハウス&スタジオ 倉敷REDBOX

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倉敷REDBOXとは

倉敷REDBOX

倉敷REDBOXは、倉敷駅から西へ約1キロメートルの場所にある、ライブハウス兼スタジオです。
2004年にオープンしました。

ライブができる大ホールのキャパシティは、岡山県内最大規模の400人

プロ仕様の音響・照明設備で、ステージも高さが70センチメートルあるため、後方からも見やすい会場です。

インディーズバンドを中心に、幅広い音楽ジャンルのライブを開催しています。

高校生の利用者も多いそうです。

充実したドリンクカウンターも好評のよう。

倉敷REDBOX

ステージ

バンド練習ができるスタジオは4ルームあり、目的や編成に合わせて選べます。

もっとも広いスタジオは25畳。
ライブ前の練習にも使え、JAZZのフルバンドでも利用可能です。

倉敷REDBOX スタジオZ

もっとも広いスタジオ

休憩スペースは、練習後に一息つきやすい広さがあります。

倉敷REDBOX

休憩スペース

 

上野純さんインタビュー

倉敷REDBOX

お客さまが納得できる形を探って

最近はどのような状況ですか?

上野
ほとんどのイベントがキャンセルになり、存続の危機を迎えています

消毒など対策しながら営業を続けていこうとやってきたんですけれども、お客さまが来られない状況で。

ある学生は学校から「ライブハウスで活動した場合、処分を与える」と言われたそうです。

社会人も、家でギターを弾いているだけで「まだやっているのか」と言われ、3密になっていなくても、音楽活動をすること自体を批判されることもあります。

またREDBOXには、近隣の人から「お前営業しとんか!この時期に何を考えとるんか!」と何度か電話がありました。

無観客でYouTubeを使った配信ライブの収録をしていても、音が聞こえただけで「イベントしている」と判断され、通報されて警察が来たこともあります。

倉敷REDBOX ステージ

それは辛いですね。

上野
ライブ映像配信にも取り組んでいますが、音楽に限らず人と人との直接のやり取りって大事じゃないですか。表情が見えたりとか。

たとえば無観客で撮影・配信して収益が上がるシステムが作れたとしても、「それは違う」って思う人も多いです。

生のライブにしかないものってありますよね。ライブ好きなので、よくわかります。その空間だからこそのステージと客席の相乗効果は、他には代えられません。

上野
そうなんです。

照明を担当してくれている人も、イベントがなくなれば収入がゼロになってしまうんですよね。

僕らもライブをやりたいですし、バンドさんもやりたいと言ってくれていますが、「お客さまが納得してくれた上で来てくれる」形を作らなければいけません。

お客さま同士の距離が取れるように、椅子を並べてみました。
柱などを考慮して「ちゃんと見える」ように並べてみると、オールスタンディングでは400人のキャパシティがあっても、34席しか作れません

倉敷REDBOX 椅子を並べたところ

それでもこの形で、2020年7月からやって行こうかなと思っています。

人数制限して、椅子の前から動かないようにしてもらって、消毒などの感染対策もしっかりして。

ただ同じ30人が入るにしても、客席前方に集まって30人が見ているのと、椅子の場所で見ているのとでは、熱量が違うんですよね。

ビニール幕をつける案もあります。しかし、ステージとの間に壁を感じてしまう。

新しい形を、考えています。

倉敷REDBOX

ライブやイベントはどんなジャンルが多いですか?

上野
割合としてはバンドが多いのですが、絶対数は減っています。
アイドルさんは増えました。後はダンスが増えたり減ったり。

いっときはクラブイベントもありましたが、なかなか倉敷に根付きません。
倉敷では午前3~4時にイベントが終わっても、それから始発まで待つ場所がないので。

新幹線が停まる駅付近であればプロのニーズもあったんですけど、倉敷にはそれもないですしね。

倉敷REDBOX

活動の入口である高校生を大切に

高校生は多いですか?

上野
倉敷市内の高校生は、移動手段が自転車のみでREDBOXにしか来られないこともあり、だいたいうちを利用してくれます。

学校の先生からも、文化祭などで声がかかりますね。

倉敷REDBOX 初心者応援プロジェクト&スキルアップ応援プロジェクト

「入口を1番大事にしたい」がオーナーの理念なんです。

学生はバンド練習のスタジオ代を1時間あたり1,000円割引き、リーズナブルに使えるように工夫しています。

それは学生にとっては嬉しいですね。

上野
昔は、学校に行かずに、家にも居場所がなくて、ずっとREDBOXに来ている子もいました。
それ自体は良いこととは言えないんですけど。

もちろん、絶対に学生にタバコは吸わせませんし、お酒も禁止しています。

こちらから「サボりたかったら来ていいよ」とは言いません。
「学校に行けば?」と声もかけるし、親御さんから電話があれば「ここにいますよ」って伝えます。

そうやって最低限のルールは設けた上で、行き場がない子たちの居場所になっていました

サードプレイスというか、貴重な場所だったんですね。

上野
そういう場所だったから、ここまで来たんだと思います。

ただ、もし将来、国が「ライブハウスにどんどん行っていい」って言ってくれたとしても、このまま「元通りになる」ことはないと思っています。

「1年の流れ」っていうのがあるので。

倉敷REDBOX

積み重ねてきた「流れ」がリセットされてしまった

「1年の流れ」とは、具体的にはどういうものですか?

上野
たとえば高校生対象だと、REDBOXでは、高校生向けに春・夏・冬のイベントを開催してきました。

春の新入生歓迎ライブでは、新入生はドリンク代も入場料も無料。
そこでライブハウスを体験してもらいます。

夏休みのイベント「バトルハイスクール」では、くじ引きでスタッフと高校生が組んで10個くらいのバンドを作り、約2か月一緒に練習し競い合うんですよ。

そこで高校生とスタッフの距離がすごく縮まります。

そして相談に乗ったり、バンドメンバーを探している人同士を紹介したりしやすくなるんです。

倉敷REDBOX スタジオ

従来では、新入生歓迎ライブのときに「こういうイベントが夏にあるよ」と告知をしなきゃいけません。新入生歓迎ライブができなかったので、夏のイベントもできないですよね。

1月には「赤箱祭」というイベントで、高校生が朝から晩までライブをやるんです。REDBOXの通称が「赤箱」なので、「赤箱祭」。

赤箱祭の出演者は、REDBOXに来ている高校生に声をかけます。
赤箱祭に出たいから、REDBOXに来る学生が増える。

春と夏のイベントってすごく大切で、これができなかった以上、繋がりができないので例年通りにはならないですよね。

2018年から同じようなことを大学生でもやっていて、増えてはいますけど、やっぱり高校生の歴史がある感じにはなっていません。

倉敷REDBOX

高校生に向けて長年積み重ねてきたものがあるからこそ、なんですね。

上野
今年イベントができなかったことで、「1年生の時に先輩を見に来た人が、バンド始めます」というパターンもなくなっちゃう。
一回途切れちゃうんです。

文化祭などで出張音響PA(音響機材を貸し出して会場音声の調整を行うこと)も、卒業ライブも、これまでは先輩が次の世代を紹介してくれていましたが、なくなってしまいました。

こちらも誰に声をかけていいのかわからないですし、学生も先輩が誰にどう電話していたのかわからないんです。

倉敷REDBOX

「営業できなかった数か月のダメージ」だけではないんですね。

上野
僕らは人間関係で仕事しています

売っているものも目に見えないし、「ライブハウスは怖い」というイメージがあるかもしれません。
それを払拭して使ってもらうため、長年活動してきていました。

なので、人間関係がリセットされるのはきついですね。

新型コロナウイルス感染症の影響でイベントができなくなったのが学年が変わる時期だったのは、最悪のタイミングでした。

倉敷REDBOX

そんななか、2020年6月26日まで、クラウドファンディングを実施されています。

倉敷REDBOX存続支援プロジェクト – CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

上野
正直こんなに応援の連絡がもらえるとは思っていませんでした。

ある程度まだ必要とされているのかな、応援してくれている人がいるんだな、とわかりましたね。

もうちょっと利用してくれる人もいるかもしれないし、新たな気づきもあったんです。

REDBOXのアルバイトの人たちも、毎週1回、「この場所を守りたい」と無給でも有志で集まって、ミーティングに来てくれています。

新型コロナウイルス感染症のショックはありますけど、このまましぼんでいくよりは、ここで新しい形で取り組むチャンスにしていかなきゃいけないと。

倉敷REDBOX

ライブハウスに馴染みがない人に、メッセージはありますか?

上野
10年くらい前のライブハウスは、受付ではタバコを吸っていて、お客さんに対してタメ口も当たり前という風潮があったんです。

しかし僕は変えたいと思いましたし、他のライブハウスも考えを改めて、良い接客ができないライブハウスは潰れるようになってきました。

実は、今のライブハウスは、よその場所に比べたらすごく安全なんですね。

酔ってぐったりした人がいたらスタッフが絶対に介抱するし、必要があれば病院に行く。
ほとんどないんですけど、もし喧嘩があればすぐ止めます。すごく健全。

ライブハウスに良くないイメージを持つ人もいるので、接客は人一倍気をつけています。

REDBOXは、髪型はモヒカンでもいいし、ピアスも自由。
だけど、「人として普通の人以上にちゃんとしてください」と、スタッフに言っています

倉敷REDBOX

今後のありかたを模索して

今後の展望について、どのようなことを考えていますか?

上野
今までは、「この場所の使用料金はいくら」と一律で考えていました。

でも、たとえばステージを使わないヨガ教室であれば、エアコン代と電気代くらいでいいでしょう。

広い用途で使ってもらえば、その利用者が新たにイベントでステージを使ってくれるかもしれません。

倉敷REDBOX

ライブハウスって、バンドマンだけのものではないんですよね。
漫才師さんや芸人さんがライブするのにも、ライブハウスを使います。

多目的ホールくらいな気持ちで利用していただけるのであれば、ニーズに合わせて、臨機応変に料金体系やサービスを考えていくつもりです。

今後は、距離を確保したライブと、新業態の模索ですね。

上野
世の中のライブハウスに対する見かたを見極めながら、ですけど。

僕らが悪者になるのはいいんですけど、演者さんが悪者になっちゃうのは避けたいので。

倉敷REDBOX

ライブハウスも気軽に使ってもらえる場所に変わってきています。
1回来て見てもらって感じてもらえたら。

利用のしかたはみなさん次第です。

照明もあるし、フラットなフロアもあります。
ライブだけじゃなくて、たとえばカラオケとかで使ってもらえたら。

倉敷REDBOX 機材

これだけの音響設備で、照明を浴びながらのカラオケは気持ちいいでしょうね。

上野
音響としてカラオケイベントの手伝いをすることもありますが、外部イベントに持っていける機材は限られていますから。
どうせだったら、ここまで来てもらってステージで歌ってもらえたらいいのになあと思っています。

BMXの自転車のイベントや、ファッションショーをしたこともあるんですよ。

ライブ以外でも盛り上がることがあると思うので、気軽に使ってほしいですね。

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クラウドファンディングは6月26日まで

倉敷REDBOX

リターンのNOHEROES×REDBOXコラボTシャツ(イメージ)

倉敷REDBOXは、家賃他設備維持費・配信設備などの設備投資として、クラウドファンディングで支援を求めています。

期間は2020年6月26日中まで

Tシャツや日本酒などのリターンもあります。

音楽を育む場所を

倉敷REDBOX ステージ

倉敷にある本格的なライブハウスはREDBOXだけ。
バンドマンたちの活動の場は、限られているのが現状です。

音楽活動の場を守るため、REDBOXをインディーズ時代に使用していたプロバンドや、岡山県総社市市長なども、クラウドファンディングに応援メッセージを寄せています。

たとえば、クラブン株式会社 代表取締役社長 伊澤正信さん(愛称:ジョージ伊澤)は、以下のメッセージを寄せています。

文化とは、人間の生き様でありその伝承です。音楽は人類が発生してから今まで続いてきた文化です。

その火は倉敷においても消してはなりません。

倉敷REDBOX存続支援プロジェクト – CAMPFIRE (キャンプファイヤー)

倉敷REDBOX

「そのときその場でしか味わえないライブは、人生に潤いを与えてくれる。」筆者はそう思っています。
事実、苦しかったときにも何度もライブに心を救われました。

わたしたちがライブを楽しめるのは、音楽を奏でる人がいて、ライブをする場所があり、その場所を運営・設営している人たちがいるから。

倉敷REDBOX

REDBOXは倉敷の音楽文化を支えてきました。

バンドにソロにアイドルに、ダンスやショー、さまざまな表現の場として使われてきたライブハウスが、倉敷でも続きますように。

倉敷REDBOXのデータ

倉敷REDBOX
名前倉敷REDBOX
所在地倉敷市老松町5丁目1-15 2F
電話番号086-421-3929
駐車場あり
店舗下の共通駐車場に停められない場合は、近隣コインパーキングを利用。
駐車券提示で、スタジオの利用時間×100円を割引。
開館時間平日:午後5時~午前0時
土日祝:午前10時~午前0時
※当日午後9時の段階で予約がない場合は午後10時で閉店
休館日なし
入館料(税込)【レンタルスタジオ】
一般:2,100円/1時間 ~
個人練習:600円/1時間 ~

【ステージ利用】
6時間パック:105,000円~
時間貸し 4時間以上~:20,000円/1時間~

※オペレーター料金含む
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写真と旅を愛する、倉敷そだちのデザイナー。
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