日常生活に欠かせない「紙」。
今は製紙工場で作られたものを手軽に購入できますが、工業化以前は日本各地で手すき和紙が作られていました。
中国山地の谷間に位置する新見市神郷地区にも「奥備中神代(おくびっちゅうこうじろ)和紙」の歴史が残ります。
日本一大きな親子孫水車がシンボルの「夢すき公園 紙の館」(以下、紙の館)では、奥備中神代和紙の歴史に触れながらオリジナルの手すき和紙づくりを体験できます。
一度は途絶えた和紙づくりの技術を復興し、継承に取り組む「神代和紙保存会」のかたのお話も聞きました。
記載されている内容は、2021年4月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
夢すき公園 紙の館のデータ
名前 | 夢すき公園 紙の館 |
---|---|
所在地 | 岡山県新見市神郷下神代1977-1 |
電話番号 | 0867-92-6577 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 午前9時~午後5時(紙すき体験は午後4時半まで) |
定休日 | 水 |
利用料(税込) | ◆体験料(1組あたり) ・1~15名:税込1,500円(別途材料費が必要) ・16名以上:税込2,500円(別途材料費が必要) ◆材料費(1枚あたり) ・うちわ(税込600円) ・色紙(税込500円) ・はがき(税込300円) |
支払い方法 |
|
予約の可否 | 可 体験は事前予約制。2名以上から受け付け。1名の場合は2コース以上から受け付け。 体験内容の変更は当日も可。 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | |
バリアフリー | |
ホームページ | 夢すき公園|新見市観光協会 |
国道182号を鳥取方面に北上すると、右手に親子孫水車が見えてきます。
親水車側の道を挟んで北側が駐車場となります。
夢すき公園 紙の館と奥備中神代和紙
憩いの場 夢すき公園
新見市神郷地区、神代(こうじろ)川沿いにある「夢すき公園」。
直径13.6メートル、6メートル、4.5メートルの水車は「親子孫水車」と呼ばれ、3基が並ぶ水車としては日本最大です。
川や広場で遊べるよう整備されており、自然を満喫しながら休日を過ごすのにぴったりの場所。
昭和中期まで精米・製粉の動力として活躍していた水車を復元し、奥備中神代和紙の歴史を伝え地域活性につなげるため、1991年に開館しました。
館内には紙すき体験ができる「紙の館」と、2020年7月にオープンしたレストラン「キッチン神代」があります。
施設を運営する株式会社いろりカンパニーは、牧場で独自ブランド牛「千屋花見牛」を育てており、レストランには美味しい和牛メニューが充実しています。
今回は紙の館で、新見市在住の中石(なかいし) いつかさんと一緒に紙すきを体験してきました。
奥備中神代和紙について
紙の館の館内には、和紙をつくるための機械や道具がずらりと並んでいます。
奥備中神代和紙に関する展示も充実。
昔は原材料の植物を近くの山で採取するところから行なっていました。
岡山県ではミツマタ(三椏)のみを使う和紙の産地が多いなか、奥備中神代和紙はコウゾ(楮)をメインに、ミツマタも併せて使っているのが特徴です。
ミツマタもコウゾも落葉低木で繊維の強さが特徴で、ミツマタはきめ細やかな繊維です。
一方、コウゾは繊維が太く、仕上がった紙に筆を入れたとき、予想外のにじみが出るおもしろさがあるのだとか。
奥備中神代和紙は丈夫さから、番傘や障子にも使われてきた歴史があるそうです。
コウゾもミツマタも、そのままではもちろん紙にはなりません。多くの工程を経て、紙すきにまでたどり着くのです。
- 蒸して、皮をはぐ
- 水にひたしてやわらかくする
- やわらかく煮る「煮熟(しゃじゅく)」
- チリを取り除く「ちりより」
- 漂白する
- 水にさらす
- 繊維状にバラバラにする「叩解(こうかい)」
- 糊の役目を果たすトロロアオイと混ぜ合わせる
そのほか、トロロアオイの根から粘液を採取する工程などもあります。
トロロアオイは、気温が高いとすぐに粘りけがなくなってしまうのだとか。
そのため、昔ながらの紙すきは11月~3月、寒い時期に行なわれています。
新見の冬は雪が積もりとても寒く、そんな時期の冷たい水の中に素手を入れ和紙づくりが行われていたのです。
紙の館で体験する紙すきの材料は、コウゾは使われておらずミツマタのみが使われているため、子供でも均一の厚さに紙をすきやすいです。
また、トロロアオイの代わりに化学ネリを使っているため、年間を通して紙すきを体験することができます。
紙すき体験メニュー
紙すき体験は2名以上、1名の場合は2コース以上から受け付けています。
事前に予約しましょう。体験内容の変更は当日でも大丈夫とのことです。
- 1~15名:税込1,500円(別途材料費が必要)
- 16名以上:税込2,500円(別途材料費が必要)
- うちわ(税込600円)
- 色紙(税込500円)
- はがき(税込300円)
それぞれ、作品にもみじを飾り、色づけをすることもできます。オンリーワンの仕上がりになりますよ。
紙すき体験
紙の館を運営する株式会社いろりカンパニーの忠田 清香(ちゅうた きよか)さんに教えてもらいながら、手すき和紙でうちわとはがきをつくりました。
体験は、以下のような工程です。
- 紙すき
- 飾り・色づけ
- 機械で乾燥させる
- 形を整える
- 完成
1.紙すき
紙の館には、うちわ、色紙、はがきを作るための木枠が準備されています。
うちわは表・裏と貼り合わせるため、一度に2枚分の紙すきができるようになっていました。
ミツマタの繊維が混ざったとろりとした液体に木枠を入れ、厚さが均一になるようにすくいあげます。
うちわの場合は上のほうをすくって薄めに、はがきの場合は下のほうからたっぷりすくって厚めに仕上げるのが上手につくるコツなのだそう。
水がひんやり、とろりとして気持ちがいいです。
木枠を上下、左右に動かし、厚さが均一になるようにします。
紙の仕上がりを決める大切な工程ですが、緊張しなくて大丈夫。この段階では何度でもやり直しがききます。
2.飾り・色づけ
次に、サンプルを参考にしながら、もみじの押し花を飾っていきます。
大小、色合いもさまざまなもみじのなかからお気に入りをチョイス。
そして、液体の染料をお玉ですくい、色づけ。オリジナリティが出るポイントです。
色は赤、黄、青、ピンク、紫、緑から選ぶことができます。いくつ色を使ってもOKです。
中石さんはピンク、黄、緑を選んで色づけ。予想外の部分に色が落ちるハプニングがありましたが、結果オーライです。
色づけが終わったら、もみじが浮かないように、最後に繊維が混ざった液体で表面をうっすらコーティングしていきます。
この作業は忠田さんがしてくれました。
3.機械で乾燥させる
いよいよ、乾かしていきます。乾燥は2つの機械を使いました。
まずは木枠を置くと、下から水分を吸引してくれる機械です。
ゆっくりと動かして、全面を乾かしていきます。
まだ半渇きの状態なので、慎重に型から外しましょう。
湿り気のある和紙がちぎれるのではないかと、緊張する瞬間でした。
次に使う機械は、平らな鉄板。ヒーターを搭載しており、触ると熱いので注意してください。
しわがつかないよう、ていねいに貼り付けます。
気温や湿度にもよりますが、5分~10分程度でしっかり乾きます。
4.形を整える
しっかり乾いたら、竹の棒でひっかくようにしてペリペリとはがしていきます。
ピタッとくっついているので、そーっと引っ張りながらはがしていきましょう。
ごわごわとした和紙ならではのさわり心地に感動!
うちわは、骨の両面に和紙をのり付けしていきます。
最後にはさみで形を整えていきます。
はがきはまわりのふわふわとした縁を残しても、手すきの風合いが出ておしゃれ。
どうするか悩みましたが、今回はまわりを少し切って仕上げてみました。
5.完成
手すき和紙でつくるオリジナルのうちわとはがきが完成しました。
初めてでもコツを教えてもらいながら、思ったよりも簡単にチャレンジすることができました。
紙すきは、厚さが均一になっているかどうか気にしながらやってみてください。
モデルとして体験した中石さんに今回の飾りと色づけのポイントを聞くと「春なので淡い色合いに仕上げました。色をぼかすのが思い通りにならなくて難しかったです」とのこと。
どんな色を使おうか、仕上がりを想像する時間もまた楽しめます。
紙の館にはポストがあり、はがきを投函することもできます。
今回体験したのは、初めてチャレンジする人でも上手に仕上げることができる紙すき体験でした。
体験版と違い、本来の和紙づくりは「最初の一年は数枚しか和紙をすけないくらい、技術習得に時間がかかりました」というほど、技術が必要といいます。
神郷地区に伝わる和紙づくりを復興・継承する「神代和紙保存会」の仲田 紗らさ(なかだ さらさ)さん、土屋 俊介(つちや しゅんすけ)さんにお話を聞きました。
夢すき公園 紙の館のデータ
名前 | 夢すき公園 紙の館 |
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所在地 | 岡山県新見市神郷下神代1977-1 |
電話番号 | 0867-92-6577 |
駐車場 | あり |
営業時間 | 午前9時~午後5時(紙すき体験は午後4時半まで) |
定休日 | 水 |
利用料(税込) | ◆体験料(1組あたり) ・1~15名:税込1,500円(別途材料費が必要) ・16名以上:税込2,500円(別途材料費が必要) ◆材料費(1枚あたり) ・うちわ(税込600円) ・色紙(税込500円) ・はがき(税込300円) |
支払い方法 |
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予約の可否 | 可 体験は事前予約制。2名以上から受け付け。1名の場合は2コース以上から受け付け。 体験内容の変更は当日も可。 |
トイレ | 洋式トイレ |
子育て | |
バリアフリー | |
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