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災害時の不安について、地域防災推進課に質問

防災リュックがもし持ち出せなかった場合、どうなる?
災害時、防災リュックを持てないまま避難する人も多いと思います。もし手ぶらで避難した場合、避難先で支援を受けられますか?
三宅
指定緊急避難場所には、防災備蓄倉庫が設置されています。
防災備蓄倉庫には、アルファ化米などの非常食や飲料水、毛布、マット、タオルなど、50人が2日分を過ごすための備蓄品が用意されているので、そちらを受け取ることが可能です。
しかし、災害時の状況によっては、50名以上が避難所に集まる可能性も十分ありえます。そうなると備蓄品が不足する事態も考えられるので、まずは自分たちの分だけでも備えがあると安心です。

数に限りがあることを考えると、防災リュックがあるだけで避難先での安心感が違いますね。
三宅
そうですね。備蓄倉庫にあるものは、身ひとつで避難するしかなかった人のためのものとして考えていただけると良いのかなと思います。

ちなみに、避難する際は、車と徒歩どちらが良いのでしょうか?
三宅
特に推奨している移動方法はなく、災害の種類や家族の状況によって、避難の仕方が変わってくるかと思います。たとえば、平成30年7月豪雨災害の真備町では、ご家族で車に乗って避難所に来られるかたが多かったです。
地震の際に車で避難した場合、道路の破損や液状化、渋滞などで、車を途中で置いていかざるをえない状況も出てくると思います。元気なかたは、徒歩での避難をおすすめします。
また、保険に加入して資産を守ることも、防災の備えの一つとして考えていただければと思います。
災害が起きた時、どのタイミングで避難すればよいのか

避難指示が出されたことは、すぐに分かりますか?
白神
緊急速報メールとして、スマートフォンに避難情報が配信されます。そのほかに、緊急告知FMラジオ、NHKのデータ放送(dボタン)、倉敷防災ポータル等で避難情報を確認することもできるので、災害時はぜひチェックしてください。
また、2025年10月からくらしき緊急告知アプリの運用が始まります。スマートフォンにアプリをインストールし、郵便番号を登録すれば、アプリを起動していなくても、緊急放送がスマートフォンから流れます。
三宅
自分がいる場所には、どのような災害リスクがあるのかを知っておくことも大切です。
たとえば、自分の家の所在地は、洪水の危険性がある地域なのか、浸水したらどれくらい家が浸かるのか……など、ハザードマップで事前に調べておくと良いですよ。
災害時の避難するタイミングについて教えてください。
白神
先ほどの話につながりますが、自分のいる場所のハザードを正しく把握しておくことは大切です。そして避難とは、小中学校や公民館に行くことだけが避難ではありません。安全な親戚・知人宅に行くことも避難ですし、ハザードマップを確認した上で、屋内で安全確保することも避難の一つです。
倉敷市からは、警戒レベル3、4、5のそれぞれのタイミングで避難情報を発令します。
レベル3の「高齢者等避難」は、安全に避難できる段階で発令されます。高齢者や障害のあるかたなど、避難に時間のかかるかたは、このタイミングで避難を開始してください。
レベル4は、「避難指示」です。被害が予想される該当エリアの方は、避難してください。
レベル5の「緊急安全確保」が発令されると、もうすでに災害が発生しており、危険が迫っている状況です。「緊急安全確保」が発令された場合は、その場で身の安全を守る行動をとってください。避難するとかえって危ない可能性もあります。

頭では分かっていても、いざ避難する時はなかなか判断ができない気がします。
三宅
たしかに、周りが避難していないと「まだ大丈夫」と思ってなかなか避難する決断ができないかもしれません。
しかし、災害時には正常性バイアスにとらわれず、避難指示に従って命を守る行動をとっていただきたいと心から思います。
ハザードマップは数年に一度更新されるので、最新版は倉敷市ホームページから確認してください。また、近くの避難場所を把握していても、災害の種類によっては開設されない場合もあるので、災害ごとの避難場所もチェックもしていただけたらと思います。

防災リュック以外に備えておきたいこと
高齢者など避難が難しいかたは、災害時、特に不安だと思います。なにか備えられることはありますか?
白神
町内会のような組織で、積極的に助け合いができればそれに越したことはないですが、個人間レベルの助け合いでもできることはあると思います。
たとえば、近所におじいさんおばあさんが住んでいたら、避難する際に声を掛けてみる。日本語が苦手そうな海外のかたに声を掛けてみる。手の届く範囲で気に掛けるだけでも十分です。
日頃から、周囲に少し関心を持っていただくことで、災害時の助け合いにつながると思います。

防災リュックの準備以外に、備えておきたい対策はありますか?
三宅
個別避難計画の作成をおすすめします。避難時のサポートが必要なかただけでなく、老若男女問わず多くのかたに作成していただきたいです。
災害はいつ起こるか分かりません。たとえば、家族がそれぞれ職場や学校で被災した場合、連絡が取れずに会えない時間は非常に不安になると思います。
あらかじめ非常時の連絡方法や集合場所を決めておくことで、災害時の不安を減らせると思いますので、ぜひ話し合ってみてください。

おわりに
初めての防災リュック作り。筆者は不安から、つい多くのものを詰め込んでしまいましたが、「避難のしやすさ」を第一に考えて準備することが大切だと実感しました。
帰宅後に防災リュックを見直し、重さを測り直してみたところ、約11kgから約8kgに軽くなり、ほっとしています。
また、備蓄をしておくことで、数日分の備えが家にあると、万が一体調不良などで外出できない場合にも役立つため、その点でも心強く感じます。
市販の防災リュックもあるので、市販品をベースに自分用にカスタマイズするのも良いかもしれません。
災害時に少しでも安心できるよう、日頃から防災の備えをしておきましょう。
本記事に関する倉敷市の防災情報は、以下のリンクからチェックできます。