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プロデュースした大本眞基子さんにインタビュー
倉敷美観地区内にあるCafe Cascadeは、倉敷駅から徒歩圏内でアクセス抜群。
観光客も地元客も利用しやすい店です。
藤の花で彩られた店Cascadeのプロデューサー、大本眞基子さんに話を聞きました。
店を構えた経緯
なぜ新店舗を構えたのですか?
大本(敬称略)
倉敷市船倉町にあったCafe LINESが移転のため休業することになりました。
結婚式場でもあったCafe LINESが、2022年9月に新しくオープン予定の新会場「シャトー・ドゥ・フェリシオン」として生まれ変わるまでの間、姉妹店としてCascadeを構えました。
新店舗ができてもCascadeの営業は続けます。
なぜこの場所に店舗を構えたのですか?
大本
社長が倉敷ならではの場所を、と探していたところ、倉敷を代表する観光地・美観地区にとても雰囲気のある蔵屋敷の建物を見つけまして、すごく素敵な物件だったのでここにしようと。
そこで私がプロデュースすることになりました。
最初はカフェをする予定ではなくて、お土産などのセレクトショップになる可能性があったんです。
でもせっかく近くに美術館やバスストップもある良い場所だし「華やかなカフェにしてアフタヌーンティーを出したら?」と提案しました。
倉敷では倉敷アフタヌーンティーがひとつのコンテンツとして成長していることも理由の一つでした。地元のかたも観光客のかたにも楽しんでいただけるかなあと。
休業した「Cafe LINES」において、倉敷アフタヌーンティーを提供していました。
店は倉敷駅からとても近くてアクセスがいいですし、近くにバスの駐車場があるんですよ。
駐車場を利用するかたがたが、Cascadeと倉敷国際ホテルの間の空き地に集合するんですね。
バス待ちのかたや駅に向かうかたが次の電車を待つつなぎとして、ここを「電源カフェ」として使ってもらえたらいいなぁと思って。
電源カフェとは?
大本
全席にコンセントがあるんです。
旅行者のかたがたが「スマホの電池がなくなっちゃった」というときに、すぐ充電できるっていう。
充電しながらスイーツを食べて旅の思い出を語る場所になればいいなと思って。
私自身がいつも電源カフェを探しているので、これはあったほうがいいと思って設置しました。
カフェをするにあたって、「なにか特徴があるものを」とずっと考えていました。
阿智神社には樹齢500年をこえる藤があり、倉敷の市花が藤になっています。
大通りにも藤の花を表すシンボルが至るところにあるのを見て、「そうだ!藤の花でいっぱいのカフェを作ろう!」と思ったんです。
最近都市部でボタニカルカフェが話題になっていてSNSでも映えていたので、ボタニカルなフラワーカフェにしようと。
藤をいっぱい店内に飾り付けると、花の房が上から流れ落ちる滝のように見えることから、名前をCascade(和訳:滝)にしたんです。花の滝という意味でCascade(キャスケード)ですね。
錦屋グループはブライダルが主なのですが、ウェディングドレスで花嫁さんが持つ縦長のブーケのことを「キャスケード」と呼ぶんです。
業界用語ですが「花」の意味があるので、「キャスケード」をそのまま店名にしようと思いました。
私は倉敷で育ちましたが、阿知の藤は今までに1、2回しか見ていないんですよね。
花には時期があるので、見逃してしまうんです。
でもここでは1年中お花が咲いているので、いつでも「お花見」しながらランチやお茶を楽しんでいただけます。
藤のコンセプトはとても倉敷らしいし、新しい倉敷のスポットになるんではないかなぁって。
LINESの遺伝子を引き継ぐCascade
店内にはLINESの遺伝子も残っているんです。
この傘のシャンデリアはLINESのロビーにあったもので、イスはチャペルで使っていたものです。
お花の色を引き立たせるように店内は白とグレーに抑えています。
藤はパープル、ラベンダー、ピンク、ミックス、とそれぞれエリアごとに色を変えてディスプレイしています。
あと、これは想定外だったのですが「鬼滅の刃ですか?」とお客様によく聞かれるみたいです(笑)。
漫画「鬼滅の刃」に出てくる「鬼」は、藤の花を嫌う
店内は「どこに座っても映えスポット」をテーマに、1年中花が咲き乱れる癒しの空間を演出しています。
外観は蔵屋敷でレトロじゃないですか。
きれいにしすぎるとせっかくの雰囲気が消えてしまうので、レトロ感をあえて活かして、小枝などを打ち付けてお花のゲートを作ってボタニカルな感じに。
大本さんの好きとこだわりが詰まったメニュー
店の名物メニューを教えてください。
大本
フレンチトーストやリコッタチーズパンケーキです。
もともとこの2つは倉敷アフタヌーンティーのメニューのひとつでしたが、人気だったのでグランドメニューになりました。
人気だったからメニューにされたのですね。そもそもなぜこれらのメニューをアフタヌーンティーに取り入れたのですか。
大本
私が東京で友だちとお茶する時に、よく食べていて好きだからです。
アフタヌーンティーの内容は、ほとんど私が食べたい!と思うものを盛っています。
味も見た目もすべて私が監修しています。
アフタヌーンティーは見ただけで楽しくなるようなかわいらしさを心がけていますが、見た目だけなく本当に美味しくなければいけないと思っていて。
いつもはウェディングケーキや引菓子を作っているブライダルパティシエとみっちり相談しながらデザインしています。
食べていても飽きないように、3段ケーキスタンドのスイーツをそれぞれ違う甘さで楽しんでいただけるように。
なぜヴィーガンカレーを提供しているのですか?
大本
いま全世界的にヴィーガンがブームになっています。
岡山にカフェ シードオブライフという店を出していて、そこでヴィーガンカレーやブッダボウルを提供しています。
ブッダボウルは、いろいろな味付けや調理法で野菜を楽しむヴィーガン料理です。ボウルにこんもり盛った野菜がブッダのおなかのように見えたことからこの名前がついたとか。
カフェシードオブライフでヴィーガン料理に反響があったので、Cascadeでもヴィーガンカレーを提供することに。
お肉、魚、動物性のものを使わず10種類以上の野菜のブイヨンで作ったルーにスパイスを効かせて味付けしています。
私の本業は声優なんですが、あるとき、食べるものによって意識が少し変わるっていうことに気が付いたんです。
アグレッシブになったり、穏やかな気持ちになったり。テンションも変わります。
考えてみたら食べものって自分の中に別の命をいただいているわけで、体に入れたものが自分の意識に影響を与えても不思議ではないなと。
役を演じるときはニュートラルな状態、自分が限りなくゼロの状態に近づいたときに、役の魂がすっと降りてきてくれるんです。個人的な雑念があると深く入れないんですね。
自分が集中して最高のパフォーマンスを出せたときって何を食べただろう?と考えたら、野菜を大量に食べた後だった、ということに気が付いたんです。
食べものによっては不安感が押し寄せて視野が狭くなった体験もあって。
そのような体験から、「ヴィーガン」にたどり着きました。
お肉を食べたりもしますが、演じるお仕事の前はニュートラルになるために野菜料理を食べます。
「どうせならおいしく野菜を食べたい!」と思って、カフェでも自分が食べたいものでメニュー開発して、提供するようにしたんです。
お肉料理やお魚ランチもありますよ。
年中咲き乱れる藤
大本
私は自然の中に入ったり、お花を見ることがすごく好きです。
花って、「花の気」っていうのかな。外に開いていく開放的なパワーがあると思いませんか?
色にも心理的な効果があって、明るくて華やかな色を見ていると、気持ちがオープンになったり晴れ晴れとしてポジティブになれたり。
自然に触れると、中心軸が整う感じがします。
メンタルが落ちるとよいパフォーマンスができないのは、役者もビジネスマンも同じですよね。
そんなときにお花見をすると、気持ちはすぐに晴れやかに、明るくなれるんです。
Cascadeも花見をしているような、晴れやかな気持ちになれる場所になれたらなと。
癒し効果もありますし、映え要素も楽しんでいただけると思います。
今後について
お客さんにどのように過ごしてもらいたいですか?
大本
外国に藤の花でいっぱいの町があるんです。玄関も窓も藤の花で覆われてとても美しくて。
毎日こんなところで過ごせたら最高だなと、そこからも着想を得ました。
仕事で疲れがたまっているときや大切な人と会うとき、お花見をしに来るような気分で、満開の花を見ながら、おいしいランチやスイーツを食べて楽しい癒しの時間を過ごしてほしいですね。
藤って着物にも合うんですよ。
店内のどこからでも映えるようになっているので、お気に入りのアングルを見つけて写真を撮っていただきたいです。
今後の目標を教えてください。
大本
もう少しメニューを増やしたいですね。軽いスイーツや軽食も増やそうと思っています。
もっと花も増やす予定です。
2022年の秋には、新会場「シャトー・ドゥ・フェリシオン」がオープンします。
結婚式のないときは、カフェでランチやアフタヌーンティーの提供をする予定です。
Cascadeもシャトー・ドゥ・フェリシオンも、多くのかたに楽しんでいただきたいですね。
私の本業的には、今年(2022年)は星のカービィ30周年で、2022年3月25日に新作「星のカービィ ディスカバリー」が発売します。夏にはフェスもありますので、こちらのほうもみなさまに楽しんでいただけるよう、がんばりたいと思います!
大本さんは「星のカービィ」シリーズの「カービィ」の声優
おわりに
藤の花で彩られた倉敷らしさを感じるCascadeは、オーナーの大本さんのこだわりと好きなものが詰まっていました。
料理もスイーツも店内もすべて写真に収めたくなります。
観光の合間の休憩や大切なかたと過ごす、スマートフォンの充電など使いかたはさまざま。
どこを撮っても写真映えする店で、おいしいものを食べながらゆったりと癒されませんか?