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店主の木村直貴さんへインタビュー
間借り営業を経て、古民家を改装した店舗を構えた774。
店主のなおきむさんに移転の経緯や今後の展望などを聞きました。
実店舗を構えたきっかけ
新型コロナウイルス感染症の影響で飲食業が厳しい環境ですが、なぜこのタイミングで独立を?
木村(敬称略)
30歳までには独立したくて。
独立を目指していたのは16、17歳からです。
コロナ禍では飲食に影響があって、シンプルに収入は減るから大変とは思っていたんですけど、自分のなかで関係はありませんでした。
実店舗を構えたきっかけは、物件のタイミングがよかったからです。
自分にとって物件はすごく大事で。
この店のあたり(倉敷市船倉町)は前から気になっていました。

この店の物件は不動産にあがっていませんでした。
たまたま間借り時代にお客様に「あの物件気になっているんですよね」と話したときに、「あれ、私の物件なのよね。一回見てみる?」と言われて見に行きました。
それがコロナ真っ盛りの2020年。
実際に見に行った段階で決意しました。
「ここだ!やってみたい」って。
これが独立したきっかけです。

間借り時代から引き継がれたものと新たに生まれた想い
道具は新たにそろえたのですか?
木村
調理機材は一式そろえました。
皿は間借り時代から自分のものを使用していて、それを今も使っています。
中華鍋も間借り時代から自分のものです。
今日も中華鍋を使いましたよ。
キーマカレーなど水分を飛ばしながら作るカレーは、鉄鍋がいいんですよ。

メニューは週1で変わります。
レシピを考えるのは楽しいです。
「これ、前のメニューと一緒じゃね?」と息詰まることもありますが。

間借りの時に好評だったから今回もカレーを提供しているのですか?
木村
そうですね。
でも昼のカレーだけではなく、夜の営業も始めました。
実はカレー屋をずっとやりたいわけでもなくて。
もともとは定食屋をやりたかったんです。

間借りのときは、ひとりで効率よく回せるのがカレーということで始めました。
ずっとひとりでやっていると、どんどん効率が良くなってくるんですよ。
そうすると余裕ができて、違うことがしたくなるんです。
今はこれをやってみようかと、これに慣れてきたら昼に一品つくって、効率よく回せるかもしれない。
だからカレーだけじゃなくてもいいなと。
今はカレーが流行っているだけで、すぐ廃れていくから、ずっとカレーだけをやっていくのは自分的にも気持ち的にもしんどくて。

もっと本質的なことを行なって、倉敷に根付く店にしていかないと意味がないんです。
店をやりたいだけだったら誰でもできるんですけど、町に対して何ができるかとか、そこにちゃんと意味を持たせないと。
最近は町の未来に対して何ができるかを考えています。
今はまだ力がないから、何もできないのが現状ですけど。
倉敷の町に対してやりたいこと
町の未来に対して、思い描いていることはあるんですか?
木村
倉敷で食文化のレベルを上げることをしたくって。
おいしい料理を食べるためにちゃんとお金を使ったり、もっと地球のことを考えて食べたりするべきだと、飲食業の仲間と話すことがあります。
結構簡単に食べられるし、安く手に入るものもあるし。
今はそれを消費している状態じゃないですか。
そうではなくて、命を大切にして食べることや一汁一菜など、昔から日本人が大事にしているものを大切にしたいんです。
いろいろ勉強して、自分のレベルを上げないといけないし、一緒に周りのレベルも上がったらいいなって思っています。
倉敷の食文化自体のレベルが上がれば、みんながもっと幸せになるんじゃないかなって。
幸せになるひとつの選択として774があればいいなと思います。
それが仕事をしている意味につながるかなと思うんです。

でもこの考えって独立後に思ったんです。
独立前は、自分の店をやりたいだけだったんです。
目標があって、夢があって、自分の店を構えることを実現させたい。
目標を達成したら幸せになれるんだろうと思っていました。
でも目標の、店を構えても全然幸せにならなかったですね。
問題は起こるわ、自分の無力さを知るわ。
いろいろ考え事をしていくなかで、このような考えに至ったんです。
日々のお客様に接するなか、考えが変わってきたんですよ。
間借り店舗の木村ではなくて、774を経営している木村として見たときにこのままじゃだめだなと。
間借りのときと比べて、気持ちに違いがありますか?
全然違います。空気感、雰囲気が。
間借りのときは言葉のとおり、借りているんですよ。
それが結構気持ちの逃げ道で。「まだ間借りだし」って言えちゃうんですよね。
でも店を構えたら、もう1ミリもそんなこと言えないんですよ。
言ったら負けだし、その時点でお客様が来てくれなくなってしまうから。
責任感が全然違います。

楽しさは独立してからのほうが楽しいです。
しんどいこともあるけど、お客様と毎日ダイレクトに接して、反応いただくとうれしいし、頑張る原動力になります。
その分働く時間は増えるんですけどね。
休みの日も仕込みをしています。
今後の展望
新たにはじめた夜メニューについて教えてください。
木村
食材は地物を多く扱っていて、ワインは自然派です。
おすすめはジビエですね。
ジビエを扱うのは地球のためでもあるけど、害獣といわれているお肉もおいしいよと知ってほしいから。
いまイノシシや鹿が増えすぎて駆除しきれなくなっているそうですからね。

害獣だけど駆除して捨てるのではなく、ちゃんと流通があって店にお肉が届いてほしい。
そしてジビエっておいしいのだと一人でも伝えられればうれしいです。
夜の営業はまだ知られていないので、まずは知っていただきたいです。
夜のメニューは昼とまったく違うので、来ていただきたいですね。
おわりに
間借り時代の人気はそのまま、しかし常に変化と進化をしている774カレー。
カレー屋の枠を超えてスイーツや肉料理などにも力を入れる店です。
かつての目標だった店を構えることが実現した今、新たな夢への達成に向けて動き出しています。
今後のなおきむさんと774の進化から目が離せませんね。
カレーとコーヒーのお店 774のデータ

名前 | カレーとコーヒーのお店 774 |
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住所 | 岡山県倉敷市船倉町1226 |
電話番号 | 070-8583-0774 |
駐車場 | なし |
営業時間 | 午前11時~午後6時、金・土・日曜日は午後5時30分~午後10時も営業 |
定休日 | 不定休 |
支払い方法 |
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予約の可否 | 可 電話かInstagramのDMより予約を受け付け |
座席 | 12席 4人掛けテーブル:2、2人掛けテーブル:2 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ |
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ホームページ | 公式Instagram |