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日本郷土玩具館 ~ 伝統的郷土玩具と工芸品が共生する空間

日本郷土玩具館 ~ 伝統的郷土玩具と工芸品が共生する空間

観とこ / 2023.01.13

伝統的な郷土玩具と新しい時代を紡ぐ

日本郷土玩具館のこれまでと魅力、今後への思いについて、館長・大賀紀美子さんと、館長補佐の・小野暢久さんにインタビューしました。

開館までの経緯 ~ 倉敷のまちづくり

日本郷土玩具館 入口
日本郷土玩具館 入口

日本郷土玩具館として開館された経緯を教えてください。

大賀(敬称略)

私が倉敷市に移り住んだのは昭和36年(1961年)ですが、郷土玩具の世界にのめり込むきっかけをつくってくださったのが、外村吉之助(とのむら きちのすけ)先生です。

外村吉之助(とのむら きちのすけ)

倉敷民藝館の初代館長。
民藝の普及に尽力しただけでなく、「町並みを守る」意識が一般的ではなかった時代に、白壁と張り瓦、本瓦葺きの屋根の連なる風景の美しさに民藝の精神「用の美」を見出し、現在の倉敷美観地区の景観保護にも貢献した。

倉敷の町並みに大きな関心を持っていらした大原總一郎(おおはら そういちろう)さんが、戦後すぐに後の倉敷民藝館館長 外村先生を倉敷に招きました。

私の義父・大賀政章も外村先生の思想の共鳴者の一人で、私たちは先祖から伝わる米倉を何かに活かせないかと相談したんです。

すると、外村先生は「郷土玩具の展示館にしてはどうか」と提案してくださいました。

外村先生は、ご自分の収集品を見せながら、全国各地に伝わる郷土玩具のすばらしさを、まぶたに浮かぶように話してくださいました。

昭和41年春のことです。

郷土玩具の知識などは、もともとお持ちだったんでしょうか。

大賀

義父と私には、昭和41年当時まだ郷土玩具に対する知識はまったくありませんでした。

義父は、能と謡(うたい)とお茶が趣味。

私は郷土玩具の収集家・吉永義光さんのお嬢さんと同級生で、おうちにお邪魔したときに収集品を見せてもらうことがあったくらいの接点です。

開館までの1年間は、義父と一緒に全国の収集家のかたを訪ねて回り、その後も、外村先生から紹介していただいた玩具のつくり手さんを訪ね、収集を続けました

昭和42年の開館には、外村先生の目で集められた郷土玩具を譲り受け、質の高い展示になりました。

開館時の展示スペースは、手前の蔵ひとつだけでしたが、とても好評で全国からたくさんのかたが来てくださいました。

当時は郷土玩具は収集家が手元で楽しむのが常だったこともあってか、玩具館として展示が楽しめることもよかったのかもしれません。

手前の蔵にかかる看板は外村吉之助の書
手前の蔵にかかる看板は外村吉之助の書

+1GALLERYやサイドテラスについて教えてください。

大賀

伝統的建造物群保存地区として定められた建物を活かすなかで、ギャラリーをつくったのが最初です。

私自身が工芸に携わることもあって、倉敷ガラスの小谷真三(こだに しんぞう)さん染色の柚木沙弥郎(ゆのき さみろう)さんとご縁がありました。

倉敷ガラス、染色、さらに酒津焼を加えた企画展の開催を続け、今に至ります。

現在は、小谷栄次(こだに えいじ)さん倉敷芸術科学大学教授・磯谷晴弘(いそがい あきひろ)さんの作品を展示しています。

さらに、磯谷さんからのご縁で、倉敷芸術科学大学を卒業後、作家活動をしている作家さんたちの作品を取り上げた、あかりとドリンキンググラス展を開催することができました。

サイドテラス、+1GALLERYとしてつくりかえたのは、1999年。

もとは茶室だったところを現在のようにつくりかえました。

庭に面した明るいつくりを気に入ってくださるかたも多いです。

自由に入って楽しんでいただけたらと思います。

日本郷土玩具館のロゴについて教えてください。桃のデザインを選ばれたのは、桃太郎を意識されてのことでしょうか。

日本郷土玩具館のロゴ

大賀

日本郷土玩具館のロゴの由来は、家紋です。

義父と二人で選んで、桃の家紋にしました。

実は、桃の家紋を選んだのは、桃太郎伝説を意識したわけではないんです。

今でこそ岡山県といえば桃太郎というイメージがありますが、開館当時はそこまでではありませんでした。

むしろ、子どものおもちゃ、人形ですから、金太郎のほうが多かったんです。

岡山といえば白桃、と代表されていましたから、岡山と桃が切りはなせずに残っていたのかもしれませんね。

ロゴを含めた大切な包装紙は柚木沙弥郎さんにデザインをお願いしました。開館以降50年、変更せず使い続けています。

倉敷の町並みを支えるために

最後に、今後の抱負について教えてください。

大賀

開館から50年以上経ち、保管しているものも含めてたくさんの郷土玩具が集まってきました。

お店が手狭になってきたこともひとつですが、見せ方に課題を感じています。

並べているだけではいけないのではないか、と。

美術品の展覧会でも同じ課題があると思っています。

また、これまで郷土玩具は代々伝統的なつくり方が受け継がれてきたものなんですが、最近では跡継ぎのかたが新しいやり方を取り入れたりされていると聞きました。

今まで、これはちょっと郷土玩具とは違うのではないか、と感じて拒否してきたようなところがありましたが、それではいけないな、と。

館長補佐も含め、若い人たちが話しているのを聞いていて思います。

館長補佐・小野暢久さん お気に入りの郷土玩具は山口土人形の三角だるま
館長補佐・小野暢久さん。お気に入りの郷土玩具は新潟県山口土人形の三角だるま

小野(敬称略)

私は東京生まれ、東京育ちなんですが、母親の地元である倉敷には以前から魅力を感じていました。

美術系の大学を卒業し、学芸員の資格を取る際には大原美術館でお世話になった経緯があります。

日本郷土玩具館も含めて、これからの美術品もそうですが、新しいことに挑戦してつくっている人たちもたくさんいます

できれば、古いものを持っている人がそういう人たちを応援してくれるといいんじゃないかと思います。

古い町並みを残す取り組みにも通じることですが、仮に外側だけを残しても、倉敷マインドが残るわけではないと思っていて。

いちばん残すべきは、その精神的な部分だと思っています。

大賀

精神的な部分を残すということは、本当にそのとおりです。

町並みに関していうと、私たちだけではなく建築に関わる人たちも倉敷マインドを残すという考えの人でないと、外は残っても、まったく違うものになってしまいかねないんです。

小野

そういう意味で、町並み保存も課題はあると感じます。

今後については、大学からの縁もあって、作家のつながりも多少あるので、今のうちにいろいろできたらと思っています。

ただ、倉敷マインドを具体的にどうするかということになると、とても難しいことなんですが。

新しいものを取り入れていくことを考えるとき、先人の遺産は強いなぁとも感じます。

日本郷土玩具館は、新しいものを取り入れつつ、古いものもそこにある、そこをすごくいいなぁと思っています。

2017年 ほおずき土鈴展 蔵の土鈴に小野さんと友人が新しく絵付けをして生まれかわらせたもの 伝統玩具に新しい息吹を吹き込んだ
2017年 ほおずき土鈴50展 蔵の土鈴に小野さんと友人が新しく絵付けをして生まれかわらせたもの 伝統玩具に新しい息吹を吹き込んだ

おわりに

開館から50年超を歩んできた日本郷土玩具館。

当時新しかった取り組みやものごとが、時を経て重厚な歴史になりつつあります。

館長と館長補佐の話から、郷土玩具と新しい美術や価値観との調和が模索されていることを感じました。

二人の話からは、容易な道ではないことを感じましたが、時の流れのなかで調和していくようすをぜひ見たいとも思います。

直接ものづくりに携わらない筆者ですが、玩具や作品からつくり手の思いを受け取り、大切な人に伝えていきたいと感じた、日本郷土玩具館でした。

日本郷土玩具館では定期的に郷土玩具の展示替えがあります。

一度では味わい切れない魅力を、展示替えや企画展ごとに訪れて味わいたいと思います。

日本郷土玩具館のデータ

名前日本郷土玩具館
所在地岡山県倉敷市中央1-4-16
電話番号 086-422-8058
駐車場なし
最寄りの駐車場を利用。
※芸文館または中央図書館の駐車場が便利。
開館時間玩具の博物館、ショップ、+1ギャラリー、サイドテラス、フラット:午前10時〜午後5時
※+1ギャラリーは最終日午後4時まで)

【新型コロナウイルス感染症拡大対策期間の営業】
営業時間を短縮する場合あり。現在の営業時間は公式ホームページを確認。
休館日不定休
1月1日
不定期に休業日あり
WEBサイトのお知らせ欄にて要確認
入館料(税込)博物館のみ有料。ショップレジで支払いを。
大人:500円(300円)
中〜大学生:300円(200円)
小学生以下:無料
※()内料金は団体10名以上、障害者手帳を所持しているひと。
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・nanaco・WAON・PayPay・LINE Pay・メルペイ・d払い・au PAY・楽天Edy
予約について
タバコ
トイレ
子育てももっこカード協賛店舗
入館料の割引(大人500円→300円、中~大学生300円→200円、小学生以下無料)
バリアフリー
ホームページ日本郷土玩具館
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あおましいろ

あおましいろ

倉敷市在住、三姉妹(あお・まし・いろ)のアラフォーかあさん。なんでもかんでも活かしてみたくて、DIY、ハンドメイド、家庭菜園などなどにチャレンジ中。倉敷市の魅力がより活きるような情報を発信します。

米蔵の天井高くに展示されている大凧

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