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橘香堂 〜 倉敷の伝統銘菓「むらすゞめ」発祥の店。倉敷初のバームクーヘンやむらすゞめ手焼き体験もおすすめ

橘香堂 〜 倉敷の伝統銘菓「むらすゞめ」発祥の店。倉敷初のバームクーヘンやむらすゞめ手焼き体験もおすすめ

買っとこ / 2024.05.22

橘香堂の取締役・営業部長の田野 秀樹さんにインタビュー

橘香堂:本店の外観

株式会社 橘香堂の取締役で営業部長の田野 秀樹(たの ひでき)さんに、橘香堂やむらすゞめの歴史、こだわり、倉敷への思いなどを聞きました。

インタビューは2020年2月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

むらすゞめは初代が「倉敷の地に名物を」との思いから生まれた

橘香堂:美観地区店の喫茶コーナー 抹茶とむらすゞめのセット

倉敷銘菓「むらすゞめ」が生まれたきっかけは?

田野(敬称略)

むらすゞめは、橘香堂の創業者である吉本 代吉(よしもと だいきち)が考えました。

明治初年に「倉敷の地に名物を作りたい!」という思いから菓子作りを始めたんです。

試行錯誤を繰り返した結果、倉敷住民の豊作祈願の踊りをする人が被っていた編み笠や稲穂の色をヒントに、むらすゞめが生まれました。

実は「むらすゞめ」の命名者は初代ではないんですよ。名付け親は、当時の倉敷町長・林 孚一(はやし ふいち)。

明治10年(1877年)に菓子店を創業するにあたって、林薬品(現 エバルス)を経営するなど実業家としても活躍した実績のある林町長に、菓子の命名を依頼したようです。

林町長は、豊作祈願の踊りの編み笠がスズメに見えることから、菓子の名前を「群雀=むらすゞめ」と命名しました。

当時は、ほかにない独自性のある新しいお菓子だったと思います。

橘香堂の名前は日本の菓子の起源・タチバナに由来

橘香堂:本店の暖簾

橘香堂という名前の由来は?

田野

実は、橘香堂という名前も林 孚一 倉敷町長の命名なんですよ。

古代の日本では、菓子は果実でした。
特にタチバナ(橘)はとてもかぐわしい香りのうえ、四季を通じて実・花・葉のいずれかが手に入るので、菓子として利用されていたんです。

タチバナは菓子の起源ともいえるでしょう。

そこで「菓子の起源であるタチバナの香りのする店=橘香堂」と命名されたんです。

橘香堂のむらすゞめの一番のこだわりは「粒あん」

橘香堂:美観地区店の看板

橘香堂のむらすゞめのこだわりやポイントは?

田野

生地ももちろんですが、一番は粒あんですね。小豆は北海道産です。

そして「あん」と、あんのなかの小豆の皮の食感のハーモニーを大切にしています。粒のほどよい食感を残した、独特の味わいなんです。

甘さも甘すぎず、ちょうどよい甘さだと好評ですよ。

あと生地ですが、むらすゞめ特有の表面のプツプツとした気泡の穴。
これは、もちろん橘香堂の初代が考えたもの。

これによってフワッとした独特の食感になります。この気泡を出すために、生地も工夫しているんですよ。

また、むらすゞめの形は橘香堂のむらすゞめが一番きれいだといわれますね。

バームクーヘンは婚礼品向けとして倉敷でいち早く製造

橘香堂:美観地区店の店内

橘香堂がバームクーヘンを倉敷で最初に販売したことについて

田野

橘香堂では、昭和38年(1963年)ごろから洋菓子を始めました。
そのころ全国的に洋菓子店はまだまだ少なく、岡山県内でも数店くらい。

バームクーヘンも日本には伝わっていましたが、扱っている店はかなりめずらしかった時代でした。

そして昭和40年(1965年)に、倉敷で最初にバームクーヘンの製造・販売を開始したんです。

バームクーヘンは、婚礼用に販売を始めました。やがて、口コミでバームクーヘンの人気が広がっていったんですよ。

今では、橘香堂を代表する洋菓子ですね。

手焼き体験は子どもや訪日客から大好評

橘香堂:美観地区店 むらすゞめ手焼き体験
写真提供:橘香堂

むらすゞめの手焼き体験について

田野

もともと、美観地区店では通りを歩く人に見てもらうために、窓際で職人が手焼きをしていました。やがて、お客さんや社員から手焼き体験をしたらおもしろいのではないかという声が出てきたんです。

そこで、2000年代後半ごろから手焼き体験を開始しました。

お子様にたいへん好評で、春休みや夏休みなどの長期休暇の時季には、子どもさんでにぎわいますよ。

あとは海外からのお客様もとても関心が高く、人気ですよ。

もちろん、大人のお客様も楽しんでおられます。

橘香堂:美観地区店の店内

倉敷という地域との関わりについてや、今後の展望は?

田野

橘香堂の初代は「倉敷に名物を」との思いで、むらすゞめを考え出しました。
そして、むらすゞめは地域のみなさまに愛されるようになり、倉敷を代表する名物になっています。

地域の人たちや、倉敷を訪れた人たちに愛されている、昔ながらの味を今後も守っていきたいですね。

そして、観光地という美観地区の特性を生かし、多くのかたに倉敷の地域伝統の味を知ってもらいたいなと。

実際に、遠方からでも橘香堂をご指名で注文されるお客さんもおられ、とてもありがたく思っています。

おわりに

橘香堂:本店の外観

倉敷に名物を作りたいという初代の思いは、今も受け継がれ、むらすゞめは倉敷を代表する銘菓・倉敷の定番の土産物に育っています。

地元では当たり前となっているお菓子に、ストーリーがあったと私は知りませんでした。

単に観光土産としてではなく、倉敷という地域にしっかりと愛されているむらすゞめ。
もっと多くの人に知ってもらえるとうれしいと思います。

また、橘香堂はむらすゞめ以外の商品を、あまり知らなかったのですが、橘香堂が倉敷で最初のバームクーヘンを作っていたと聞いて驚きました。

その倉敷バームクーヘンのピレネーは、甘く香ばしいバターの香りがたまりません。
ぜひ、倉敷バームクーヘンも食べてみてください。

株式会社 橘香堂 (美観地区店)のデータ

橘香堂:美観地区店 外観
名前株式会社 橘香堂 (美観地区店)
住所岡山県倉敷市阿知二丁目22-13
電話番号086-424-5725
駐車場なし
営業時間午前9時30分〜午後6時
・喫茶コーナー:午前10時〜午後5時30分、ラストオーダー午後5時
・手焼き体験:午前10時〜午後4時
定休日元日
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・nanaco・WAON・楽天Edy
  • PayPay
ホームページ橘香堂(きっこうどう)
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アサノ

フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。

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橘香堂:むらすゞめと抹茶

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