児島雛めぐりは、「旧野﨑家住宅別邸 迨暇堂(たいかどう)」や「旧野﨑家住宅」を中心にお雛様をめぐるイベント。
筆者は、これまでもイベントが開催されているのは知っていましたが、参加できていませんでした。
来年度から娘が中学生にあがるこのタイミングで、娘の健やかな成長を祈りつつ、思い出づくりのため参加してきたので紹介します。
記載されている内容は、2022年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
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目次
第23回児島雛めぐりのデータ
名前 | 第23回児島雛めぐり |
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期日 | 令和4年2月19日~3月6日 ・旧野﨑家住宅 別邸 迨暇堂:午前9時~午後4時 ・旧野﨑家住宅:午前9時~午後4時30分 ・児島市民交流センター:午前9時~午後10時 ・JR児島駅:午前5時~午前0時 ・ベティスミス ジーンズミュージアム&ヴィレッジ:午前10時~午後5時 ・むかし下津井回船問屋:午前9時~午後4時30分 ・FLAT児島本店:午前10時~午後3時 ・倉敷帆布本店:午前10時~午後5時 |
場所 | 旧野﨑家住宅 別邸 迨暇堂等 |
参加費用(税込) | 旧野﨑家住宅(旧野﨑家住宅 別邸 迨暇堂含) ・大人:500円、小中学生:300円、団体割引30名以上:2割引 ※小中学生および高校生は、毎週土曜日、日曜日、祝日は無料。 ※障害者手帳を持参すると入館料が2割引になる。(本人と付添者1名) |
ホームページ | 第23回児島雛めぐり |
児島雛めぐりについて
児島雛めぐりは、中心となる旧野﨑家住宅別邸 迨暇堂周辺に加え、5つのエリア(A~E)のお雛様をめぐるイベント。
主なエリア以外にも、せとうち児島ホテルや下電バスなど、数多くのお雛様をめぐれます。
雛めぐりに加えて、草月流の尾高肇江(おだか としえ)さんによる竹のモニュメントなどの展示や、お雛様づくりなどの体験もあり。
今回は、筆者がめぐった会場を中心に紹介します。
雛めぐりと一緒に児島観光も楽しもう!
雛めぐりの雛人形の種類には古くは江戸時代から現代、大小の違い、そして伝統的なデザインから奇抜なものまで多種・多様。
筆者が出会ったすべてのお雛様の紹介はできませんが、写真などからでも、雛めぐりや児島観光の雰囲気を楽しんでほしいと思います。
旧野﨑家住宅
観光地としても有名である旧野﨑家住宅は、製塩業で財を成した野﨑武左衛門の民家。
岡山藩主から拝領した「享保雛(きょうほびな)」や、江戸時代からの貴重な調度品の展示をしています。
長屋門をくぐると右手に野﨑家の繁栄を忍ばせる5つの蔵と大きな竹細工がお出迎え。
こちらから経路に従い左手に進むと表書院となります。
表書院には、雛人形と立雛などの図の2種類が展示されています。
1つ目は、大木平蔵(おおき へいぞう)作の古今雛(こきんびな)で、明治23年につくられた雛人形です。
大木平蔵は、京都・丸平大木人形店の名跡。
明治22年のパリ万国博覧会で金賞、翌年の第3回内国勧業博覧会でも有効賞を受賞した人形師です。
2つ目は、掛けられている3枚の図です。
▼左から桜の図・立雛の図・桃柳の図であり、野﨑武吉郎の娘・雪の初節句に用意された土佐光武(とさ みつたけ)作の絵です。
雛人形ではない3枚の図による初節句に、明治時代とは思えない現代に通じる新しい感覚を覚えます。
▼次は中座敷に飾られたお雛様。
この場ではお雛様に加えて、中座敷の奥行き感に驚かされると同時に、思わず笑ってしまうほどの贅沢(ぜいたく)な空間。
▼こちらは、前出した蔵の一つにある展示場です。
奥にあるのが明治5年に野﨑家が岡山藩主池田家より拝領した享保雛(きょうほうびな)。
「お顔を下から見上げるとほほえんでみえます」と説明があります。
▼どうでしょう?確かにほほえんでみえます。大きさのせいか、かなりの存在感もありますね。
▼明治天皇雛(めいじてんのうびな)も明治23年作成で大木平蔵作です。野﨑家で番頭をつとめた徳永荘太郎ゆかりの品。
大礼服に身にまとい椅子に座った明治天皇と昭憲皇太后を模した雛人形です。
筆者は椅子に座っている雛人形を初めてみました。
周りに飾られている細かい調度品である将棋・五目板、裁縫道具なども素晴らしいでき栄えです。
色とりどりの調度品。櫛やはさみ、生地など、細かくていねいな仕事振りに目を見張ります。
▼旧野﨑家住宅では、江戸末期にできた枯山水の庭園を散策するのもお薦めです。
ぜひ、庭にある待合などで休みながらゆっくりと時間をかけてめぐってみてください。
特に手入れの行き届いた苔の緑に目を奪われます。
旧野﨑家住宅別邸 迨暇堂(たいかどう)
迨暇堂の迨暇とは、「暇をとらえる」もしくは「暇を楽しむ」の意味。
明治29年に野﨑武吉郎により接待、宿泊、集会の場として造られました。
平成12年2月に国の文化財建造物に登録されています。
筆者のなかでも、「児島雛めぐりと言えば迨暇堂」と感じるほど。
100畳敷の大広間に勢ぞろいする数々の雛人形は圧巻の一言です。
一番奥に、第23回児島雛めぐりオープニングセレモニーで、伊東倉敷市長が着用(予定)であった衣装も飾られています。
▼伊東倉敷市長が着用予定であった衣装です。
シルク混デニム着物や3種類の素材(たたみべり・デニム・真田ひも)を組み合わせた「児島帯」でつくられています。
残念ながら新型コロナウイルス感染症流行の影響により、オープニングセレモニーは中止となってしまいました。
このようなイベントが当たり前に開催される日常が、一日も早く戻ってきてほしいと願うばかりです。
▼迨暇堂の入口には、色とりどりのつるし雛が左右に飾られています。
古くは、裕福ではない一般家庭では雛人形が高価なため買えませんでした。
そのため、みんなで少しずつ小さな人形を作り、持ち寄りつるし雛がつくられたそうです。
1つ1つの人形がカラフルなうえに、子供が喜びそうないろいろなものが吊るされています。
大人が見ていても飽きませんね。
迨暇堂に入るためには、旧野﨑家住宅の入館券が必要となり要注意です。
直接、迨暇堂に向かうのではなく、まずは旧野﨑家住宅に寄ってみてください。
味野商店街「児島ジーンズストリート」児島駅前エリア~Aエリア
Aエリアでは児島市民交流センターへ。
展示スペースにある地元の学校や企業による第7回産業お雛様展、2階の第9回児島っ子ようちえん作品展をめぐりました。
▼1階の展示スペースにあるお雛様です。
床にあるジーンズ生地で作られたお雛様が目を惹きます。一見の価値ありです。
▼説明は不要ですね。個性的な雛人形です。
▼一見するだけでは、お雛様とは気づかないくらい男らしい個性的なお雛様。
三人男が土管に座っているのも新しく、思わず笑ってしまいます。
▼2階にあがり、ようちえん作品展のなかの一角にも素敵な雛人形を発見しました。
親目線でみていると、ただただ幸せな気分にさせてもらえます。
児島市民交流センターを訪れたときには、ぜひ天井絵も見てください。
▼中世の巫や踊る女、大工など、橋の下をキーワードとした人々が描かれています。当時の人の職業などを垣間見える貴重な絵です。
ジーンズミュージアムエリア~Bエリア
Bエリアでは、ベティスミス・ジーンズミュージアムに行き、入口の大きなベティジーンズのお雛様を目指します。
筆者はなぜか、雛人形といえば小さくかわいらしい展示だと思い込みがあり、ひと回りしてからやっと見つけられました。
下津井・鷲羽山エリア~Cエリア
Cエリアでは、むかし下津井回船問屋に飾られている下津井地域住民のかたのお雛様を拝見。
明治時代の回船問屋の建物に溶け込んだ、家庭的な雛人形を落ち着いた気持でめぐれます。
唐琴・畳縁エリア~Dエリア
Dエリアでは、FLAT児島本店にある畳縁と真田紐のお雛様をめぐりました。
一見すると、とても畳縁でつくられたとは思えないほどの精巧な着物です。
畳縁の可能性を広げ、チャレンジしている会社であるのを改めて感じさせてくれます。
▼畳縁とは思えないほどの美しい十二単ですね。
帆布エリア(倉敷市曽原) ~Eエリア
最後のEエリアでは、倉敷帆布本店にある帆布によるお雛様をめぐりました。
お話を聞いたところ、岡山県和気郡にある「徳永こいのぼり」に作成を依頼。
着物は帆布の元となる1本1本の糸を染めて作っています。
淡い青系と赤系の着物の美しさに加えて、一針ひと針で細かな模様を表現している職人技に驚嘆!
お内裏様とお雛様の、品がある穏やかな顔立ちが魅力です。
倉敷帆布本店では、倉敷帆布のコースターのプレゼント(数量限定)もあり、かわいらしいコースターを頂きました。
▼素朴な帆布に可愛らしいお雛様がプリント。娘も非常に喜んでいました。
おわりに
筆者の故郷である児島で、児島雛めぐりを娘と一緒に楽しみました。
ずっと気になっていた故郷でのイベント。
娘の成長を祈る気持ちや筆者の思い出づくりの側面もありますが、児島地域のことを少しでも紹介していきたいと思い書きました。
すべての会場をめぐることはできないと思いますので、紹介した写真などからお気にいりを見つけてもらい、1つでもめぐってもらえればと思います。
1体1体のお雛様のそれぞれに、我が子の健やかな成長を願う親と娘の物語があるのだろうと想像。
展示されているお雛様のさまざまな表情や衣装を眺めながら、穏やかな気持で雛めぐりができました。
新型コロナウイルス感染症の流行が不透明ななかで、ぜひ行ってみてくださいとは言いにくいです。
しかし、これまで23回も続いている人気のイベント。
来年(2023年)や再来年(2024年)にでも行けるときに、行ってみたいなと思ってもらえればうれしいです。
そのときには、児島地域の観光も楽しんでください。
筆者が訪れた際には、残念ながら一部の会場の閉館(児島学生服資料館、三冠酒造)もありました。
もし行く場合には、気になっているエリアの関係各所に連絡のうえで、開館状況などを確認しておくことをおすすめします。