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真備緊急治水対策プロジェクト ~ 平成30年よりは安全になるが「まずは逃げる」。小田川合流点付替え工事の今を紹介

真備緊急治水対策プロジェクト ~ 平成30年よりは安全になるが「まずは逃げる」。小田川合流点付替え工事の今を紹介

知っとこ / 2022.03.05

平成30年7月豪雨において、小田川と支流の高馬川などの堤防が決壊、広範囲が浸水し大きな被害を受けた倉敷市真備町。

災害から3年半ほど経過した2022年2月、街には明かりやにぎわいが戻って来ています。

しかし、平日の真備町は今でも大型のダンプカーなどが頻繁(ひんぱん)に走り、「防災」に向けた工事が進んでいるのです。

「真備緊急治水対策プロジェクト」と名付けられ、国・岡山県・倉敷市が取り組む大規模な工事は、2024年3月(令和5年度末)の完成を目指しています

この記事では「真備緊急治水対策プロジェクト」の概要と2022年2月時点の工事進捗を、高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所・事務所長の濱田靖彦(はまだ やすひこ)さんのインタビューなどを通じて紹介します。

記載されている内容は、2022年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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「真備緊急治水対策プロジェクト」とは

高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所

「真備緊急治水対策プロジェクト」は、平成30年7月豪雨の発災を受けて実施しているハード・ソフト対策の総称です。

主に以下の事業を行なっています。

  • 小田川堤防復旧工事(令和元年6月14日完了)
  • 河道堀削工事(令和3年6月10日完了)
  • 堤防強化工事
  • 小田川合流点付替え工事

国・岡山県・倉敷市が連携しながら集中的に整備を進めており、とくに小田川合流点付替え工事は「河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)」により、当初2028年度までの工期を2023年度までに短縮して実施しています

河川工事のため「ハード対策」が中心にみられますが、逃げ遅れゼロを目指すソフト対策も実施していることも特徴です

小田川堤防復旧工事(令和元年6月14日完了)

仮の堤防
仮の堤防
写真提供:高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所

平成30年7月豪雨で決壊した堤防は、土嚢(どのう)を積み上げるなど、仮の堤防が作られていました。

これを一度撤去し、土を盛り直し堤防を復旧させる工事です。

この工事は2019年(令和元年)6月14日に完了しています。

完成した堤防
復旧した堤防
写真提供:高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所

河道堀削工事(令和3年6月10日完了)

河川の掘削工事
写真提供:高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所

小田川で水が流れる面積を大きくするために、河道を掘削(くっさく)する工事です。

この工事は2021年(令和3年)6月10日に完了しています。

堤防強化工事

堤防強化工事

真備町を横断する小田川の堤防を、強化・拡幅する工事です。

  • 天端幅(堤防の一番高いところの幅。道路であることが多い)を、約5メートルから7メートルに拡幅
  • 堤防の勾配を緩傾斜に(約3割勾配)
  • 必要に応じてドレーン(排水設備)を配置し浸透水を速やかに排水

もっともわかりやすいのは、堤防の拡幅でしょう。

小田川の堤防には道路が元々ありましたが、拡幅前は車がすれ違うのがやっと。拡幅後は、楽にすれ違うことができるほど堤防が太くなりました

手前:拡幅後の堤防 奥:拡幅前の堤防
手前:拡幅後の堤防 奥:拡幅中の堤防

ちなみに、河道堀削工事で生まれた大量の土砂(308,000立方メートル)は、高梁川の土と混ぜて、堤防強化にも利用されているそうです。

ある意味「地産地消」といえるかもしれません。

小田川合流点付替え

左:工事前 右:工事完了後
左:工事前 右:工事完了後
イメージ図
左:工事前 右:工事完了後

「真備緊急治水対策プロジェクト」の目玉といえるのが、小田川合流点付替えです。

平成30年7月豪雨の小田川氾濫は、高梁川が小田川の流れをせき止める「バックウォーター現象」が原因のひとつとされています。

高梁川への合流点を下流に変更し、傾斜をつけて水の流れをよくすることを目的に実施されている壮大な工事。

取材をした2022年2月時点でも、2024年3月(令和5年度末)の完成を目指して工事が進んでいますが、完成後のイメージが徐々に見えてきました。

付替え工事の起点といえる「真備町の南山橋」から「船穂町柳井原の倉敷大橋」付近までのようすを、写真で紹介します

2022年2月下旬に撮影したものです

真備町の南山橋
真備町の南山橋
南山橋から真備町を望む
南山橋から真備町を望む
南山橋からは新たな堤防が建築中
南山橋からは新たな堤防が建設中
小田川は高梁川に合流する
小田川は高梁川に合流する
2022年2月現在の合流地点
2022年2月現在の合流地点
掘削された南山。ここが新たな小田川となる
掘削された南山。ここが新たな小田川となる
柳井原貯水池周辺も掘削が進んでいる
柳井原貯水池周辺も掘削が進んでいる
柳井原貯水池
以前は川で約100年前に実施された高梁川の工事で貯水池となったが、付替え工事完了後は再び川となる
柳井原貯水池
以前は川で約100年前に実施された高梁川の工事で貯水池となったが、付替え工事完了後は再び川となる
河川防災ステーションの設置予定地(写真右側の盛り土)。
平時は公園となるが、備蓄資材を保管するなど、緊急時は水防センターとなり陣頭指揮がとれる機能も有する予定とのこと
河川防災ステーションの整備予定地(写真右側の盛り土)。
平時は公園となるが、備蓄資材を保管するなど、緊急時は水防センターとなり陣頭指揮がとれる機能も有する予定とのこと
柳井原貯水池の南側の新幹線高架下
柳井原貯水池の南側の新幹線高架下
柳井原貯水池の南側より。こちらも掘削工事が進んでいる
柳井原貯水池の南側より。こちらも掘削工事が進んでいる
道路(堤防)の横に橋が建築中
道路(堤防)の横に橋が建設中
建築中の橋と現在の道路(写真右側)
小田川の水が流れてくるため、道路は最終的に取り壊されその代わりに橋が架かる
建設中の橋と現在の道路(写真右側)
小田川の水が流れてくるため、道路は最終的に取り除きその代わりに橋が架かる。
建造中の橋
建設中の橋
現在の道路から高梁川および倉敷大橋を望む。ここが小田川の新たな合流ポイントとなる
現在の道路から高梁川および倉敷大橋を望む。ここが小田川の新たな合流点となる
工事はまだ進行中
工事はまだ進行中

ソフト事業

小田川合流点付替えのように、全国的にも珍しい大規模な河川工事が行われています。

「これだけの対策が行われれば、もう安全だ」

そのように思うかたもいるかもしれません。

事実、設計思想としては「平成30年7月豪雨と同等の雨量でも大丈夫」といえる状態を目指しているそうです。

濱田所長
濱田所長

「『絶対安全』を求められているし、これで安全ですと言いたい気持ちは山々ですが、近年の災害は施設能力を超えた結果発生するものが多く、絶対安全とは言えないんですよね」

高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所・事務所長の濱田靖彦(はまだ やすひこ)さんは語ります。

平成30年よりは安全になるが「まずは逃げる」

というメッセージを明確に発信し、住民向けの説明会を開催するのはもちろん、高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所として ていねいに説明を行なっています。

もっともわかりやすいものは、住民自身が作成する「マイ・ハザードマップ」や「マイ・タイムライン」の作成支援・普及促進活動で、これらの活動を「ソフト事業」と名付け、堤防工事などの「ハード事業」と並行して実施しています。

しかし、本来10年かかる予定であった工事を、5年で完成させることは簡単なことではありません。

記事の後半では、工事を主管する国土交通省 中国地方整備局 高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所 事務所長の濱田靖彦さんに、工事の状況などの話を聞きました。

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戸井健吾

戸井健吾

1979年生まれ、倉敷市在住
2児の父親

システムエンジニアの仕事に携わりながら、ブログ・イベント運営など様々な仕事を行っています。

現在は当メディアを運営する一般社団法人はれとこの代表理事を務めつつ、フリーランスとしても活動中。

自分自身が美観地区を楽しみながら、「行ってみたい」と思える情報を発信することをモットーにしています。

信頼できるWEBメディアになれるように、メンバーが一丸となって運営しています。

真備緊急治水対策プロジェクト

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