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くらしき支援LABO 〜 福祉と社会をつなぐ人たち。障がいを超えてすべての人が楽しめる社会を目指して

くらしき支援LABO 〜 福祉と社会をつなぐ人たち。障がいを超えてすべての人が楽しめる社会を目指して

知っとこ / 2023.09.19

娯楽や恋愛を楽しみながら人生を充実させたいという想いは、誰もが持っている願望です。

障がいを超えて、すべての人が幸せになれる社会は理想ですが、現状の社会には障がいを持つ人たちが平等な立場で参加できるイベントは多くありません

こうした問題を解決するために、くらしき支援LABOでは、障がいの有無にかかわらず誰でも楽しめるイベントを企画してきました。

支援という特別な対応をするのではなく、区別を取り払ったイベントが日常的に開催されるような地域社会を目指しています。

くらしき支援LABOの発起人の一人 佐藤将一さとう まさかず)さんに、どのような想いや工夫によって障がいの有無にかかわらず楽しめるイベントを実現してきたかを聞いてきました。

佐藤さんが目指す理想の社会のあり方について紹介します。

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記載されている内容は、2023年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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くらしき支援LABOとは?

障がいの有無にかかわらず誰でも楽しめるイベントを企画しているくらしき支援LABO。

これまでにない新しい福祉を提供する、くらしき支援LABOについて紹介します。

くらしき支援LABO_イベント風景2
写真提供:くらしき支援LABO

くらしき支援LABOの概要

くらしき支援LABOは、障がいを持つ人たちが地域社会のなかで豊かな生活を送るための仕組みを作っています

公的な社会福祉制度により最低限度の生活を送ることはできますが、障がいを持つ人たちが地域社会とのかかわりを持つための生活の選択肢を増やすためには、既存の制度では補えません。

こうした現状を変えるために、くらしき支援LABOでは、障がいの有無にかかわらず参加できる形で、婚活セミナーやカフェバーでの音楽イベント、装花(花を飾るパフォーマンス)イベントなどを開催してきました。

倉敷市を中心とした社会福祉事業の関係者らが集まり、2021年8月から福祉と社会をつなぐイベントを実施しています。

くらしき支援LABOを運営する人たち

くらしき支援LABOの発起人 佐藤将一さん
くらしき支援LABOの発起人の一人 佐藤将一さん

くらしき支援LABOは、倉敷市内で障がい者の就労支援事業を営む佐藤将一さんと、同じく倉敷市内で障がい児者の保護者支援活動を行うペアレント・サポートすてっぷ安藤希代子(あんどう きよこ)さんの二人が発起人となり始まりました。

他にも、倉敷市内で社会福祉事業にかかわる人たちが有志で活動しています。

理念に賛同した人たちが一緒に企画を進めており、会員などの所属するような制度はありません。

自由な枠組みで福祉活動に取り組んでいることが、くらしき支援LABOの特徴です。

子ども食堂やフリースクールの事業者、就労支援に取り組んでいる企業の関係者、障がいを持つ子どもの保護者も、くらしき支援LABOの活動に協力しています。

また、障がいについての専門的な助言をもらうために、大学の先生も一緒に活動しています。

福祉にまつわる3つの分断

くらしき支援LABOの取り組みの根底には、福祉にまつわる3つの分断といわれている問題があります。

以下が、福祉にまつわる3つの分断です。

  1. 当事者やその家族と福祉の間にある分断(障がいで困っている家庭に福祉の情報が届かない)
  2. 社会と福祉の分断(社会で暮らす多くの人たちと、障がいを持つ人や福祉の仕組みとのかかわりが少ない)
  3. 福祉のなかにある分断(福祉事業者間での連携不足)

これら3つの分断を解消する活動に、くらしき支援LABOは取り組んでいます。

例えば、婚活セミナーや、カフェバーでの音楽イベント、装花イベントの役割は、社会と福祉、そして障がいを持つ当事者をつなぐことです。

また、福祉事業者間の分断を解消するために、くらしき支援LABOでは、障がいを持つ人たちが成人後の支援の記録を書き留めるための手帳を開発しています。

福祉にまつわる分断を解消するために

音楽イベントのようす1
写真提供:くらしき支援LABO

社会と福祉、当事者をつなぐイベント

くらしき支援LABOでは、障がいの有無にかかわらず、同じ会場で、同じ催しを楽しめる企画を提供しています。

障がいを持つ人たちへ特別な対応をするのではなく、区別することなく誰でも楽しめるイベントが当たり前のようにあることが地域社会の理想の姿

そのため、婚活や音楽のイベントでも、プロの講師を招き、参加費を支払う形式でイベントを実施してきました。

障がいのある人が、同じ空間にいたとしてもまったく問題はなく、当然のことであると感じてもらえるようなイベントを提供しています。

福祉のなかにある分断を解消するための手帳

障がいを持つ18歳以降の人は支援の記録を残しておらず、支援が必要なときに状況がつかめないことから、適切な対応ができない課題がありました。

18歳未満の子どもたちについては、倉敷市が支援する取り組みのひとつとして、成長や支援の記録を書き留めるかがやき手帳があります。

保育園や学校、医療機関にかがやき手帳を提示することで、保護者が子どもについての説明を何度も繰り返す手間を解消し、正確に情報を伝達できます。

しかしながら、かがやき手帳は18歳までの記録で終わりを迎えるため、それ以降の情報が共有できずに一貫した支援が困難でした。

その問題を解決するために、くらしき支援LABOでは、成人期版のかがやき手帳を開発しています。

かがやき手帳
くらしき支援が開発した成人版のかがやき手帳の一部
写真提供:くらしき支援LABO

報告会『くらしき支援LABOまつり〜「福祉」×「あなた」の化学反応』

2023年9月3日に、くらしき支援LABOの活動の集大成として、報告会『くらしき支援LABOまつり〜「福祉」×「あなた」の化学反応』が開催されました。

これまでくらしき支援LABOを取りまとめてきた佐藤さん・安藤さんが、婚活支援や成人期版のかがやき手帳など、これまでの取り組みについて報告。

また、テレビ放送のバラエティ番組に登場するようなひな壇で、福祉事業などにかかわるゲストが会話を繰り広げるトークイベントを開催しました。

倉敷の企業からは、株式会社クラビズの代表取締役 秋葉優一あきば ゆういち)さん、倉敷で結婚相談事業を営むLaf Mariage(ラフ・マリアージュ)の山下祐美やました ゆみ)さん、名古屋市で障がい者の雇用支援事業を営むミヤモトサンが登壇しています。

障がい者たちの仕事や生活について、当事者が実態を語るイベントや、障がい者の性に関するアンケート調査のパブリックビューイングも開催されました。

これまでにない切り口で、障がいを持つ人たちを取り上げた報告会がくらしき支援LABOによって実現しました。

くらしき支援LABO_イベント風景
報告会『くらしき支援LABOまつり〜「福祉」×「あなた」の化学反応』のようす
写真提供:くらしき支援LABO

くらしき支援LABOの発起人の佐藤将一さんと安藤さんは、どのような経緯で社会と福祉、障がいを持つ人が集まるイベントの必要性に気がついたのでしょうか?

佐藤さんへのインタビューを通じて、くらしき支援LABOの活動を伝えます。

インタビューを読む

くらしき支援LABOのデータ

名前くらしき支援LABO
期日主に倉敷市内で不定期に開催
場所岡山県倉敷市新田2463-6
参加費用(税込)イベントによって異なる
ホームページくらしき支援LABO
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ぱずう(後藤寛人)

ぱずう(後藤寛人)

87年生まれの埼玉育ち。倉敷に転勤でやってきて6年目。メーカーの研究員として働きつつ、週末はゴミ拾いボランティア団体の代表として活動しています。ひとりも知り合いもいなかった倉敷の街。ゴミ拾いを通じてたくさんの出会いがあり、倉敷の魅力を教えてもらいました。余所者から見える倉敷の景色を伝えていきたいです!

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くらしき支援LABO_イベント集合写真2

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