防災と聞くと、何かしないといけないと思うものの、何からすればいいかわからないと思うのも正直な気持ちです。
これまで、聞きかじった情報をもとに自己流で準備していましたが、ちょうどよさそうなイベントを発見したので参加してきました。
イベント全体のようすや、防災知識について紹介します。
記載されている内容は、2022年6月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
まびふれあいフェスティバルとは
こくみん共済coop岡山推進本部と岡山県労働者共済生活協同組合が主催し、楽しみながら防災への知識を高めてもらおうと開かれたのが、まびふれあいフェスティバルです。
会場は、倉敷市真備町箭田にあるマービーふれあいセンター。
屋外の駐車場スペースには、地元の飲食店が軒を連ね、残りの駐車場スペースと屋内ロビー、竹ホールでは、さまざまな体験コーナーや展示、ステージイベントが開かれていました。
たのしい!スペース
マービーふれあいセンター屋内一階にある竹ホールは、最大で1,000席近くもある広々としたホール。
ステージでは一日をとおして防災に関する出し物が用意され、可動式の座席が取り払われたホール部分では、体験ブースや展示物がたくさん並んでいました。
ステージ:ぼうさいpetit!ダンス
フェスティバルに到着すると、ぼうさいpetit!ダンスが始まっていました。
おかやまコープのマスコットキャラクターピットくんと、岡山大学ダンス部のみなさんが踊っています。
ぼうさいpetit!ダンスとは、企業であるこくみん共済coop中四国統括本部(産)、行政機関である岡山市(官)、教育機関である岡山大学(学)の産官学連携によりつくられたダンス。
地震発生時にすぐに身を守る行動がとれるようにつくられたダンスで、まずひくく、あたまをまもり、うごかない、シェイクアウトの動きがもりこまれています。
シェイクアウトは地震をふっとばせ!という意味で、アメリカで開発された地震防災訓練なのだそう。
ほかにも、となり合う人と手をつないで助け合いを象徴していたり、ゆっくり確実な動きでシェイクアウトを覚えられるようにしていたりと、それらの内容が印象的でした。
ダンボールで非常用トイレづくり
ステージに向かって右手、竹ホール入口すぐのブースでは、ダンボールとゴミ袋で非常用トイレづくりが行なわれていました。
体験してみようとのぞくたびに、小学生くらいの子どもたちが熱心に説明を聞きながらつくっています。
子どもたちの体験を邪魔しないようにのぞいていると、基本的な仕組みが見えてきました。
非常用トイレの主なパーツはふたつ。
ゴミ袋をかける部分と、腰をかけるための外側の部分です。
カッターナイフをつかう部分はありますが、子どもだけでも十分につくりあげることができていました。
実際に災害が起きたとき、簡易でもトイレがつくれる知識があるのとないのとでは気持ちの面での余裕が違いますよね。
この後、防災に関するいろいろな知識を見るにつけ、大人ぶって体験をゆずるより、筆者自身がきちんと体験させてもらった方がよかったかもしれないと思いました。
展示物
竹ホールでは、体験ブースの他に展示物がありました。
非常用グッズ、非常食などの展示のほかに気になったのが地震の時間割という展示です。
子ども防災ネットワークおかやまの展示物で、地震発生直後から三日目までを五つの時間割に分けたものでした。
それぞれの時間帯でとるべき行動が、箇条書きで、簡潔かつわかりやすくまとめてあります。
いつも「もしも」の災害イマジネーションの展示物には、子どもたちが被災体験プログラムで学ぶ内容が「もしも」と冠して質問形式でまとめられていました。
どちらの展示物も、子どもたちが実際に学ぶ防災知識を取り上げたものです。
展示内容を見ながら、子どもたちが知っていても、大人が知らないことがあるのではないか、と筆者自身を振り返って思いました。
特に行動面は、日ごろから意識して過ごせているかどうかが、実際の場面での行動につながることに改めて気づかされます。
ホール以外にも各所に展示物が置かれており、目を走らせるたびに、「へえ!」と驚くことに。
同伴してくれた中学生の長女から、さらに解説を聞くという構図は、筆者自身の知識レベルを思い知るに十分でした。
おいしい!スペース
駐車場は、中央に飲食スペースが設けられ、周りにお店が出ていました。
主には、地元真備・船穂で営業しているお店です。
たくさんのなかから、ウォールウォーレン、COFFEE HOUSE ごじとま、パティスリー ルヴェールを紹介します。
ウォールウォーレン
イラストにもあるとんがり屋根が特徴の、真備町の洋菓子店ウォールウォーレン。
二種類のパイとクッキーが、抜群の存在感でテーブルに並んでいました。
見た瞬間に心をわしづかみにされたのが、もちもち大福パイです。
洋菓子と和菓子、それぞれの代表的なお菓子が合体しています。
思わず「珍しい」と口に出してつぶやくと、お店のかたもうなずきながら、説明してくれました。
なんと、パイのてっぺんからはみ出しているのは餡子なのだそう!
洋菓子はもちろん、和菓子も大好きな筆者、一も二もなく購入です。
パイ生地には、表面から香る香ばしさを裏切らないサックサクの食感があり、あとからもちもちの大福生地の食感がやってきます。
サクサクともちもちを取り持ってくれるのが、はみ出し餡子でした。
三者のバランスが絶妙で、他のお菓子への期待が膨らみます。
ぜひお店を訪ねたくなりました。
COFFEE HOUSE ごじとま
フェスティバルへ行く前から、ぜひいただこうと思っていたのがCOFFEE HOUSE ごじとまのホットコーヒー。
45thブレンドをお願いしたところ、この日はアイスカフェオーレのみでの使用とのこと。
少し迷いましたが、45thブレンド豆を味わうことに。
ミルクの味にまったく負けない深い豆の味わい。飲んだあとにも、豆の風味や香りが鼻を抜けていきます。
薄曇りだった空に、一瞬太陽がのぞいた時間帯のこと。
汗ばみそうになるほどの日差しも手伝って、じっくり味わいたいのに、気がつくとあっという間に飲み干してしまっていました。
コーヒー豆の余韻はしっかり残っていて、ますますホットブレンドコーヒーへの期待が高まります。
この日は、お店のロゴを背負ったキッチンカーでコーヒーの提供。
被災後に導入し、活躍したキッチンカー。今はもっぱらイベントで活躍しているそうです。
キッチンカーでアイスカフェオーレを味わったので、次はやっぱりお店でゆったりとホットブレンドコーヒーをいただこうと思いました。
パティスリー ルヴェール
寄り添ってお菓子をつくるクマのイラストは、パティスリー ルヴェール。
ブースの半分を覆う看板の横には、お店からまるごと抜け出てきたように、洋菓子の数々がずらりと並んでいました。
実は、写真左手には冷蔵庫もあり、そこにたっぷりと収まっていたのは数種類のケーキ。
選ぶことを早々にあきらめて、お店のかたにオススメのお菓子を聞くことにします。
いちばんは米粉台湾カステラで、シフォンケーキも同じく人気があります、と教えてくれたお店のかた。
答える前に、う~んと少し悩んだようすに親近感を覚えてしまいました。悩みますよね!
米粉台湾カステラはしっとりで、ふんわりで、やわらかい!
ふわふわをパクパクっとほおばると、ほどよい甘さが口の中でふくらんでほどけていきます。
すぐに次のかけらを口に入れたくなるような口当たりのやさしさですが、食べ応えは十分でした。
まだ食べたいのに、おなかがいっぱいで食べられないのはなかなか贅沢(ぜいたく)な体験。
看板と同じクマのパッケージは、まさにお店の看板スイーツであるしるしだったのかと納得です。
ためになる!スペース
屋外駐車場、屋内ともに充実していたのがためになる!スペース。
民間救急車 / 一般社団法人 epo おかやま笑顔プロジェクト
駐車場の一画に、災害時に活躍する車両が並んでいました。
消防車、自衛隊仕様の三菱パジェロ、そして救急車。
一台ずつカメラにおさめていると、民間救急の文字に気がつきました。
これまでに民間救急という言葉を聞いたことがあったか考え込んでいると、筆者のようすに気がついた法人のかたが説明してくれました。
法人のかたによると、災害時にいち早く救助・医療提供を行うことを目的として民間救急を導入したのだそう。
県内のみならず、被災地には利用費用負担なしでどこへでも出動します。
こうした活動を支えるのは、活動を支持する人々からの支援のみと聞いて驚きました。
公的な救急車にくらべても遜色のない医療設備を備えた、岡山初の民間救急車。
認知度はまだ高くありませんが、平時にも活動しています(内容によって利用料金あり)。
たとえば、在宅で生活する要医療処置者の移動への対応や、イベント開催時に移動可能な医療設備車両として参加することなどです。
もらったパンフレットには、一般社団法人epoおかやま笑顔プロジェクトについて、全国で発生した災害に対して活動する、災害支援を専門とした法人と書かれていました。
災害時の直接的な支援だけでなく、災害後の被災者への物理的、精神的支援、また支援者への学習会の実施や相談を行なっています。
もし、イベントの際に民間救急車を見かけたり、一般社団法人epoおかやま笑顔プロジェクトの活動に興味がわいたりしたら、ぜひお話を聞いてみてください。
災害救助犬ショー / 特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン
車両展示場所から少し奥のスペースに、黒い毛並みがつやつやとした、元気そうな一頭のレトリバーがいました。
ハンドラー(調教師)が説明をしている間、脇にきちんと控えて座っているのですが、顔つきからはとても朗らかで人懐こそうな雰囲気があふれます。
名前はルートくん。
佇まいから愛嬌がにじみ出ているルートくんでしたが、災害現場を想定して、遭難した人を探すショーが始まると、表情は一変します。
ルートくんが見ていないところで、青い箱の中に子どもが隠れます。
あとからやってきたルートくんが、隠れた子どもが持っている臭い袋を頼りにどの箱に隠れているかを発見するというショー。
鮮やかに子どもを見つけるルートくん。
二回目には、「前の人のにおいが残っていてむずかしい…」とハンドラーが説明している途中で、子どもたちを見つけてしまったようす。
ハンドラーの合図とほぼ同時に、あっという間に子どもたちが隠れたボックスを教えてくれたのでした。
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンの活動は、必要な人々に、必要な支援をの合言葉のもと、災害支援のみならず海外人道支援など、活動は全世界、多岐にわたります。
平成30年7月豪雨災害の際も、災害発生直後から被災地・真備町への支援が開始。
現在まで、継続的かつ包括的な支援が継続されています。
煙体験ハウス / こくみん共済coop
屋外スペースの一画で存在感を放っていたのが、煙体験ハウスでした。
テントの中は水蒸気で再現された煙が入っていると説明を聞き、水蒸気なら子どもと入っても大丈夫かな、と少し安心して中に入ります。
入口から出口まではまっすぐ。
ほんの2~3メートルほどの距離です。
簡単に出られると思っていた筆者でしたが、一歩踏み込んだ途端、目の前が真っ白になってしまったことに動揺してしまいました。
出口はまっすぐ先だとわかっていても、視界が奪われたことで自分がまっすぐ進めているのか平衡感覚にも自信がなくなっていきます。
一歩の距離感もつかめません。
テントの中での滞在時間がどんどん延びていくことに焦りを感じそうになったころ、無事にテントから出られて一安心。
次の瞬間には、もしこれが本当に煙だったら…と思わず背筋がさむくなりました。
おわりに
平成30年7月豪雨によって被災した倉敷市真備町。
マービーふれあいセンターが当時3.9メートルまで浸水したことが、建物に残されていました。
浸水被害から約3年後の令和3年(2021年)6月に再開し、初めての防災イベントとなった今回のフェスティバル。
特殊なポリ袋をつかった災害時の調理方法の紹介や、気軽に楽しく、けれど少しでも身近に体験してもらうためのVR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ)体験など。
まだまだ紹介しきれないほどに、たくさんの防災知識がつまっていました。
それと同時に、たくさんの人びとの防災への思いもつまっていたように思います。
特に、各ブースでもらった冊子やパンフレット、チラシは、災害を体験した人たちの思いの集大成だと感じました。
イベントの時だけで終わらないように、知識と経験がまとめられています。
自己流の防災準備に自信が持てずにいましたが、これがあれば大丈夫!と思える安心マニュアルを手にした気がします。
とはいえ、災害はいつ何が起こるかわかりません。
だからこそ、災害の状況を日ごろからシミュレーションしたり、身近な動きとして身を守る行動を覚えておいたりすることで、日常のなかに取り入れることが大事なのだと思います。
いい意味で、気楽に気軽に、子どもたちとダンスを覚えたり、少しずつでもしっかりと意識したりしておきたいと思いました。
今回のフェスティバル以外にも、防災や減災をテーマとして講演やイベントが開かれています。
日常を振り返るきっかけとして、身近なものがあれば参加してみてはいかがでしょうか。
倉敷のイベント情報を探すなら「とことこおでかけマップ」
倉敷で開催されるイベント情報を、マップ上から確認できる「とことこ おでかけマップ」を是非ご利用ください。
まびふれあいフェスティバルのデータ
名前 | まびふれあいフェスティバル |
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期日 | 令和4年5月21日 午前10時から午後3時40分まで |
場所 | 倉敷市真備町箭田40-1 |
参加費用(税込) | |
ホームページ | マービーふれあいセンター アルスくらしき |