岡山県立倉敷まきび支援学校のパン販売 ~ 個数制限に長蛇の列と大盛況!特別支援学校の生徒が作る、焼きたてホクホクのパンはいかがでしょうか

トレイに載ったパン

倉敷市真備町にある岡山県立倉敷まきび支援学校(以下「まきび支援学校」と記載)では、地域との交流や協働活動を大切にしています。

高等部の職業コースでは、生徒らに社会で働く力を身に付けてもらおうと、2014年度(平成26年度)の開校以来、授業でパンを作り、販売しています

7月9日(水)に2025年度二度目のパン販売が、おこなわれました。

記載されている内容は、2025年8月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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岡山県立倉敷まきび支援学校とは

外観

まきび支援学校は、井原鉄道吉備真備駅から300mほどの場所に位置する、県立特別支援学校です。

知的障害部門と肢体不自由部門が設置されており、2025年度(令和7年度)4月時点で、小学部から高等部まで370名の児童・生徒が在籍しています。

小学部および中学部は通学区域が設定されていますが、高等部職業コースは岡山県全域からの通学が可能です。

まきび支援学校のパン販売

パン販売をしているのは、知的障害部門の高等部職業コースに在籍する生徒です。

高等部職業コースは、就労による社会自立を目指し、専門教科等の学習を通した職業教育に重点を置いた教育がおこなわれており、岡山県内で唯一パンの製造および販売をしています。

販売前の打ち合わせ

まきび支援学校は、平成30年7月豪雨で被災した学校のひとつ。
被災直後は2年ほどパンの製造販売を休止していた年もありましたが、2021年3月に再開して、現在も定期的にパンの製造販売がおこなわれています。

2025年度のパン販売日は、以下のとおりです。

  • 5月28日(水)
  • 7月9日(水)
  • 9月17日(水)
  • 11月5日(水)
  • 12月10日(水)
  • 1月28日(水)

パン販売再開にあたって、地元真備町のpain porte(パン ポルト)の店主が生徒たちを指導するようになりました。

製造できるパンの種類も日々増えており、プロから直接指導を受けることで味も本格的なものが販売されています。

2025年7月9日(水)パン販売のようす

7月9日(水)は、2025年度二度目のパン販売日でした。

午前11時40分の開門予定時刻とほぼ同時刻に到着しましたが、玄関の前にはすでに長蛇の列ができており、地域の人たちがワクワクとした表情で並んでいます。

午前11時40分の行列のようす
午前11時40分の行列のようす

パン販売待ちの列では、野菜や革製品も購入可能

行列へ向かって歩いていくと、行列と並行して机が並んでいます。

近づいて見て見ると、机上には野菜革製品が並んでいました。

玉ねぎ
革製品

まきび支援学校の高等部職業コースは、以下三つの分野に分かれています。

  • 流通サービス
  • フードサービス
  • 環境サービス

今回のパン販売を担うのはフードサービスの生徒で、革製品は流通サービスの生徒が作っています。

野菜を作っているのは、働く力と生活する力の獲得を目指し、作業学習や生活単元学習等を通した社会自立に重点を置いた教育を受ける、知的障害部門高等部生活コースの生徒たちです。

トレイ

校内の交通整理も、生徒たちが担当

生徒たちの活躍は、物販だけではありません。
校内を車で出入りする地域の人たちの交通整理も、生徒たちが担います。

交通整理する生徒

学校中のさまざまなコースの生徒たちが協力して、「パン販売」の一日を盛り上げていました。

開店前の生徒たちのようす

校内に続々と車が入ってきて、革製品や野菜の販売がおこなわれるなか、パン販売を担当する生徒たちは最後の確認作業をします。

パンを確認する生徒

お客さんにおすすめを聞かれたときすぐにパンの場所がわかるよう、数十種類あるパンを陳列したら、あらためてどこにどのパンがあるかチェック。

全員で接客用語の声出しをすると、それぞれの持ち場に立ってスタンバイします。

声出し練習

高揚感のなか、午後12時に最初のお客さんが入ってきました。

長蛇の列ですが、店内に入れるのは数人ずつ。
生徒たちが、落ち着いて案内や会計ができる環境です。

これは、お客さんにとってもメリットです。
一組ずつ会計を終えるごとに、新しいお客さんが入れるので、それぞれしっかりとパンを見て食べたいものを選べていました。

吟味して選んだ五種類のパンをトレイに載せて、会計へ

行列に並ぶお客さんにパンが行き渡るよう、日によって個数制限が設けられることもあります。

2025年7月9日(水)は、ひとり五つまでのパンを購入できました。

個数制限の掲示

「家族も、ここのパンを楽しみにしているんです」
「近所の人たちにも配ろうと思っています」

うれしそうなコメントとともに、自分のトレイのパンを数えながら上限いっぱいの五つ購入するお客さんばかり。

パンを購入する客

地域のかたも、卒業生や保護者も……回を重ねるごとにお客さんも増加

玄関でスリッパを案内する先生を眺めていると、時折お客さんと親し気に会話を楽しんでいます。

お客さんのなかには、昨年度までまきび支援学校に在籍していてパン販売に携わっていた卒業生や、現在まきび支援学校に子どもが通う保護者、ボランティアなどで学校に携わる地域の人たちも多く来校しているのだとか。

パンの値段は、ひと袋50円~150円
パンの値段は、ひと袋50円~150円

先生がたによると、お客さんの内訳は、卒業生や保護者など学校と普段からつながりのある人が半分、地域の人たちが半分ほど。

何人かに話を聞きましたが、ほとんどがリピーターのお客さんで、みな口をそろえて「回を重ねるごとにお客さんが増えている」と語っていました。

焼きたてホクホクのパンを、いざ実食!

もちろん私も、以下五種類のパンと焼き菓子を購入しました。

筆者が購入した商品

クリームパンは、パンだけでなくカスタードクリームもまきび支援学校内で作られた新鮮なクリーム。

クリームパン
このクリームパンは失敗してつぶれてしまったそうで、50円で販売されていました

パン生地はモチモチ、クリームはほどよい甘さでさらっと食べられてしまいます。

バターあんぱん

こちらのあんぱんには、隠し味のバター入り。「あんバター」好きにはたまらない、濃厚なパンです。

パンだけでなく、焼き菓子も購入しました。
というのも、パンは5つまでと個数制限がありますが、焼き菓子はそれとは別カウントで購入できるのです。

焼菓子

サクサクほろほろのサブレも、お店で売られているようなクオリティの高さでした。

サブレ

おわりに

この日出会ったお客さんの多くが、二度目以降の来店でした。

きっかけは「子どもたちを応援したい」という気持ちだったそうですが、一度食べてみるとそのおいしさに「このパンをまた食べたいから」と二度目以降の来店を決めたと言います。

私も、障がいのある当事者として、元特別支援学校の教員として応援の気持ちで購入しましたが、パンを一口食べてみておいしさに感動。

「障がい者が頑張っているから」「特別支援学校で作っているから」などといった、枕詞がいらない完成度の高いパンの数々でした。

販売されているパン

おいしいパンが食べられて、生徒たちの社会で働く力を育てることにも貢献できるまきび支援学校のパン販売。私も常連になってしまいそうです。

岡山県立倉敷まきび支援学校のパン販売のデータ

外観
名前岡山県立倉敷まきび支援学校のパン販売
期日【2025年度のパン販売日】
5月28日(水)、7月9日(水)、9月17日(水)、11月5日(水)、12月10日(水)、1月28日(水)
午後12時~12時50分
場所岡山県倉敷市真備町箭田4682-1
参加費用(税込)パンは50円~150円で販売
ホームページ岡山県立倉敷まきび支援学校

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高石真梨子
高石真梨子
東北→九州→近畿→関東を経て、2023年12月に倉敷市地域おこし協力隊になりました。 音の世界と音のない世界の狭間に住んでいる、手話と日本語のバイリンガルです。障がいの有無にかかわらず、倉敷を旅して倉敷に住み続けたくなるような情報を発信していきます。

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県外から倉敷市への移住をより一層進めるため、Webを通じた生活者目線での情報発信や、移住関連イベントへの協力をミッションに活動しています。

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