江戸時代は天領として栄え、現在は観光地の賑わいを見せる倉敷。
「元気な町」という印象が強いですが、一時期これといった産業もなく衰退しかけた時代がありました。
どのようにして町が息を吹き返したのか、明治から現在までの135年以上にわたる記録が倉紡記念館に残されていました。
日本経済を支えた紡績産業とクラボウの歩みを伝えるお宝が多く収蔵されている、倉紡記念館を紹介します。
記載されている内容は、2025年6月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
倉紡記念館のデータ

名前 | 倉紡記念館 |
---|---|
所在地 | 岡山県倉敷市本町7-1(倉敷アイビースクエア内) |
電話番号 | 086-422-0011 |
駐車場 | あり 倉敷アイビースクエア駐車場(有料)が利用可能 |
開館時間 | 午前10時~午後4時(入館は午後3時45分まで) |
休館日 | なし |
入館料(税込) | 個人:一般300円/学生250円 団体(30人以上):一般250円/学生200円 小学生未満は無料 |
支払い方法 |
|
予約について | 不可 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | トイレなし 施設内にトイレがないため、「愛美工房売店」に隣接するトイレが利用可能です(洋式トイレ) |
子育て | |
バリアフリー | 常設ではありませんが、車いす用スロープは利用可能です |
ホームページ | 倉紡記念館ホームページ |
「倉紡記念館」とは

倉紡記念館は、1888年(明治21年)に紡績会社として設立した倉敷紡績株式会社(以下、「クラボウ」と記載)の歴史を伝えるために、創立80周年を記念して1969年(昭和44年)3月に開館した施設です。
当時使われていた機械や模型、文書、映像資料などで時代ごとのクラボウの変遷(へんせん)が紹介されているほか、展示資料からは時代背景や労働環境、町のようすなどもうかがえます。
建物は創業当時の原綿倉庫をリノベーションしたもので歴史的価値が認められ、以下の認定を受けています。
- 登録有形文化財(1998年・文化庁)
- 近代化産業遺産(2007年・経済産業省)
- 日本遺産(2017年・文化庁)
- 日本労働遺産(2023年・日本労働ペンクラブ)
※展示物の一部
五つの展示室
館内は、以下の五つのブロックに分けて展示されています。
- 第1室・明治時代【1888年~1912年】
- 第2室・大正時代【1912年~1926年】
- 第3室・昭和時代(戦前・戦中)【1926年~1945年】
- 第4室・昭和(戦後)~現代【1945年~】
- 第5室・年表
第1室・明治時代【1888年~1912年】
創業の経緯や創業期のようすが、明治期の紡績機械や当時の文書などで紹介されています。

明治維新で代官所が廃止されたあと、めぼしい産業もなく衰退しかけていた倉敷の町で、「紡績産業を興したい」と3人の若者が立ち上がったことがクラボウ設立のきっかけでした。

倉敷は江戸時代から綿花の栽培地であったこと、そして明治政府が殖産興業政策のもと近代紡績産業を推奨していたことから3人は地元の有力者に説いて回りました。
最終的に初代社長となった大原孝四郎氏の賛同・出資。新しい事業の設立を知った多くの県民が共鳴して多数の株式引受の申込みが相次ぎ、不足分を大原孝四郎氏が引き受けることで事業化の目処が立ちます。こうして、代官所跡地にクラボウが誕生しました。

1888年(明治21年)3月9日「有限責任倉敷紡績所」として産声を上げたクラボウ。工場の設計だけでなく、生産機械も紡績の最先端をいくイギリス製で、消防ポンプまでイギリスから持ち込まれました。


第2室・大正時代【1912年~1926年】
26歳で二代目社長となった大原孫三郎氏の功績を中心に、飛躍的に発展した大正時代の資料が展示されています。

大原孫三郎氏は「従業員の幸福なくして事業の繁栄はなし」と語り、事業の多角化と同時に従業員のための環境改善施策に取り組みました。

従業員のために学校も作りましたが、最大の特徴は従業員寮です。
当時の寮はどこも40人~50人が大部屋で生活していたそうです。これを少しでも家庭に近いものにしようと、6畳と2畳の1軒に4人ほどが住む「分散寄宿舎」を作り生活環境を整えました。

また、倉敷労働科学研究所を設立し労働環境の改善に取り組むなど、労働理想主義を掲げて、従業員や地域社会のための施策を次々と進めました。
第3室・昭和時代(戦前・戦中)【1926年~1945年】
さらに事業を拡大した昭和期は、芸術・文化の振興にも取り組んだようすが紹介されています。

大原孫三郎氏の遺志を継いだ第四代社長の大原總一郎氏は芸術家とも交流を深めていきます。

「玉みがかざれば器とならず 人学ばざれば道を知らず」学問の大切さを説いた棟方志功氏の作品です。
1944年(昭和19年)に大原總一郎氏が「クラボウ社員のためになるものを描いてほしいと」依頼し、誰もが目にできるよう工場の礼法室に設置されていたそうです。
第4室・昭和(戦後)~現代【1945年~】
第4室は、戦後日本の紡績産業とクラボウが事業の多角化に取り組んでいったことが紹介されています。

倉紡記念館の設立当初は、従業員教育のために使用されていたそうです。
その後、1970年の日本万国博覧会に他社とともに出展し、そのときの展示品を持ち帰ったことをきっかけに一般公開されるようになりました。

第5室・年表
明治から現在に至るまでの総まとめの展示室。ビデオと写真、書籍などが展示されています。

100年以上の歴史を持つ社内報も閲覧できます。
戦時中も途切れることなく発行されていたそうで、それぞれの時代のようすも感じ取ることができます。

ボタンを押すと、100年以上前の倉敷の町のようすや工場で働く人々のようすを動画で視聴できます。

昭和の時代にクラボウに入社し社内報の作成にも携わり、現在は倉敷アイビースクエア総務部部長の髙橋亮輔(たかはし りょうすけ)さんに話を聞きました。
倉紡記念館のデータ

名前 | 倉紡記念館 |
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所在地 | 岡山県倉敷市本町7-1(倉敷アイビースクエア内) |
電話番号 | 086-422-0011 |
駐車場 | あり 倉敷アイビースクエア駐車場(有料)が利用可能 |
開館時間 | 午前10時~午後4時(入館は午後3時45分まで) |
休館日 | なし |
入館料(税込) | 個人:一般300円/学生250円 団体(30人以上):一般250円/学生200円 小学生未満は無料 |
支払い方法 |
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予約について | 不可 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | トイレなし 施設内にトイレがないため、「愛美工房売店」に隣接するトイレが利用可能です(洋式トイレ) |
子育て | |
バリアフリー | 常設ではありませんが、車いす用スロープは利用可能です |
ホームページ | 倉紡記念館ホームページ |