広島県との県境にほど近い、岡山県新見市哲西町(にいみしてっせいちょう)。
豊かな中国山地の自然に囲まれたこの地域に、新見市唯一の「道の駅 鯉が窪(こいがくぼ)」があります。地元で育てられた米や野菜、千屋牛、哲西栗を使ったグルメが楽しめる他、敷地内で製粉した米粉を使ったパンやピザも人気です。
さらに、「住民サービス部門 モデル『道の駅』」に選ばれるなど、地域住民の暮らしを支える拠点としての役割も担っています。
取材時は、道の駅の魅力を紹介するとともに、駅長の水上真一(みずかみ しんいち)さんに話を聞きました。
記載されている内容は、2026年8月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
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「道の駅 鯉が窪」とは

国道182号沿いに位置する「道の駅 鯉が窪」。名前の由来は、近くにある国指定天然記念物「鯉が窪湿原」です。
哲西町は、高梁川の上流域にあたり、澄んだ水と豊かな土壌に恵まれた、古くからの米どころ。この道の駅の大きな特徴が、敷地内に独自の「米粉製粉所」を備えていることです。
地元の農家が育てた米をそのまま販売するだけではなく、米粉に製粉し、パンやピザといった新しい商品や体験へとつなげる循環(6次産業化)に、2005年くらいから取り組んできました。
敷地内には、子どもたちがのびのびと遊べる「芝生広場」もあります。

ドライブの合間に家族で体を動かしたり、自然に囲まれてのんびり休憩したりできる憩いの場所です。
特産品と地域の味が並ぶ「売店・野菜市場」
「売店・野菜市場」には、地域で採れた新鮮な農産物や加工品、土産物が並びます。

米どころらしく、店内でまず目に留まるのは、新見産のお米。地域の農家が育てた季節の野菜や果物も並び、訪れた時季ならではの哲西の味に出会えます。
ここでぜひ味わいたいのが、地元ブランド「哲西栗(てっせいぐり)」を使用した「マロンソフトクリーム」です。

哲西栗は、収穫後に1カ月間じっくりと熟成させることで、甘みを引き出してから加工されます。もったりとした濃厚な食感と、口いっぱいに広がる豊かな栗の香りが魅力。収穫量には限りがあり、年によっては完売することもある人気商品です。
また、売店では、地域で親しまれてきた味を受け継ぐ取り組みも行われています。
かつて地元で米粉を使ったたこ焼き店を営んでいた店主が亡くなった後、住民から「あの味をもう一度食べたい」という声が寄せられました。その声に応え、その店主の味を再現したのがこ「米粉たこ焼き」です。

中はトロッとした食感。地域の思い出の味が新たな道の駅の名物として親しまれています。

千屋牛をぜいたくに味わうレストラン「山野彩館」
お腹が空いたら、敷地内にあるレストラン「山野彩館(さんやさいかん)」へ。

新見市が誇る高級和牛「千屋牛(ちやぎゅう)」をはじめ、地元の食材を使った料理を味わえます。
「千屋牛他人丼」をチョイスしてみました。千屋牛がぜいたくに盛り付けられていました。

しっかりとした肉の旨みがありながら、全体の味わいは重過ぎず、自家製の甘めのつゆが千屋牛と新見産のつややかなごはんによく絡みます。
他人丼は、たまごでまろやかな味わいに仕上がっています。ごはんとの相性も良く、箸がどんどん進みました。

その他にも、千屋牛を使った定食や麺類、季節の地元食材を取り入れたメニューなどが用意されています。

米粉の魅力を発信する「こめ工房」と「米粉ピザ体験」
手作り米粉パンの店「こめ工房」では、地元のスタッフが店舗奥の工房で、毎朝丁寧にパンを焼き上げています。

使用しているのは、敷地内の製粉所で作られた新見産の米粉です。
中でも人気の「食パン」は、米粉ならではのもちもちとした食感が魅力。地元の人はもちろん、岡山市や広島県福山市などから、まとめ買いに訪れるファンもいるそうです。

店内には、地元の野菜や卵を使用した惣菜パン、おやつにぴったりの甘いパンなど、さまざまな商品が並びます。
こちらの米粉パンは「米粉80%・グルテン20%」の割合で作られているため、小麦アレルギーをお持ちの方はご注意ください。
また、毎月末の土曜日には、本格的なレンガ石窯を使った「米粉ピザ体験」が開催されています(予約制)。

この体験を支えているのが、地域を盛り上げようと集まった地元有志の組織「哲西未来会(てっせいみらいかい)」のみなさんです。

米粉で作られたもちもちの生地に、季節の野菜などをトッピング。準備が整ったら、約400度まで熱した石窯で一気に焼き上げます。

地元の米や野菜を使い、地域の人と一緒に作って味わう米粉ピザ体験。単に食事を楽しむだけではなく、哲西の食材や人に触れられる機会にもなっています。

暮らしを支える「住民サービス部門 モデル『道の駅』」
「道の駅 鯉が窪」には、観光やグルメの拠点とは異なる、もう一つの顔があります。

2016年度(平成28年度)には、国土交通省が選定する「住民サービス部門 モデル『道の駅』」の全国6カ所のうちの一つに選ばれました。
哲西町のように、人口減少や高齢化が進む中山間地域では、買い物や交通、医療、福祉など、日常生活に必要な機能をどのように維持していくかが大きな課題です。
「道の駅 鯉が窪」は、計画段階から住民の意見を取り入れてオープンしました。観光客向けの施設であると同時に、地域住民が買い物をし、人と会い、生活に必要なサービスを受けられる「小さな拠点」として機能しています。

行政や隣接する複合施設と連携しながら、高齢者の移動を支えるデマンドバスの運行支援や、買い物代行を兼ねた商品の宅配、安否確認といった地域福祉サービスの一端を担っています。
「道の駅 鯉が窪」は、どのような思いから生まれ、今後どのような地域を目指しているのでしょうか。駅長を務める水上真一さんに話を聞きました。




































