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野外音楽フェス「hoshioto Camp’23」〜 “最高の星空の下で最高の音楽を”ワクワクから地方創生へ

野外音楽フェス「hoshioto Camp’23」〜 “最高の星空の下で最高の音楽を”ワクワクから地方創生へ

知っとこ / 2023.10.14


『hoshioto』代表の藤井裕士さんにインタビュー


改めて『hoshioto』を始めた経緯や、初開催から12年を経た今の想いなどを、会場となる葡萄浪漫館でお聞きしました。

『hoshioto』代表の藤井裕士さん
『hoshioto』代表の藤井裕士さん

『hoshioto』を始めた経緯を教えてください。

藤井(敬称略)

いろいろな経緯があるのですが、僕が2001年にフジロックに行って衝撃を受けてこれが地元でできたらいいなと思ったことがきっかけです。

大学で県外に出て戻ってきて、地元井原で会社員をしていたのですが、このまま住み続けるとして、何かおもしろいことができないかな〜と考えていました。

2010年ぐらいから会場を探すようになり、たまたま美星町のキャンプ場の管理人をやり始めた知り合いから、なんか企画やってよって言われたんです。

早速友人らと見に行って「ここを会場にできるんじゃない?」って、そこからいろいろなタイミングや縁が重なって、やがて2012年の初開催に至りました。

右も左もわからないのに、なぜかできるイメージがあった

立ち上げた実行メンバーは藤井さんをはじめ、本業は音楽関係者ではないんですよね。

藤井

最初は本当に右も左もわからなくて、ステージどうやって作ったらええん?チケットどうやって売ればいいの?導線は?音響は?って。

バンド活動をやっていたので、ステージになじみはあったんですけど、企画を一からやっていたわけではないので、アーティストのブッキングのやりかたもわからなくて、一時期ネットで調べまくっていました。

一般人が「野外音楽フェスティバルをやりたい!」と思ったとしても、本当にやる人はまずいないと思うんです。行動力に驚きです。

藤井

ノウハウを知っていたわけじゃないですけど、井原市で開催されていた野外コンサートを手伝っていた経験から、なんとなくできるんじゃね?というよくわからない自信がありましたね。

あるアーティストのマネージャーさんからも「よくわからないけど、藤井君、あの頃、謎の自信があったよね」と言われて。

振り返ると不思議なんですけど、なぜかできるイメージがすごくありました。

初開催はどんな結果だったのでしょうか。

藤井

当時はチケットの販売をシステム化できなくて、お客さんとメールでやりとりして口座に振り込んでくださいというすごいめんどくさいやり方で、前売券はあまり売れませんでした。

その代わりに当日券が想定していた枚数の倍ぐらい売れたんですよ。

会場前にお客さんがダーって並ばれたのを見て、スタッフで「ええーーー!」ってなって。

そういう意味では成功だったと思います、内容の反省点はいろいろありましたけど。

『hoshioto』代表の藤井裕士さん

まずは5年間、できるところまで自分たちでやるしかない

イベントを立ち上げた当初の反響はどうでしたか。

藤井

2012年当時、地方ではフェスという言葉はまだまだ浸透していませんでした。

ロックとか音楽とか外でやるなんて、よくわからない奴が何やってんの?って、理解されない雰囲気もありました。

悔しい思いもしましたが、実績のない何者かわからないものから協力してくださいって言われても難しいですよね。

とりあえず、できるところまで自分たちでやるしかない、5年間は頑張ろうって決めました。

そして12年間、続けて来られているのですね。

藤井

5年間という目標を達成したとき、一瞬本当にやめようかと思いました。

会場を葡萄浪漫館(井原市青野町)に移動し6年目の開催となった2017年、どかーんと赤字になって、やばいなー、もう5年やったしやめようかなーって、ライブ見ながらやめるつもりでいました。

でも、その日出演したアーティストさんから翌日にメールがきて「言うの忘れていたんですけど、実は私フジロックに出ることが決まったんです。でも私が初めて出たフェスはhoshiotoなんです。頑張ります」と。

マジかあ……と。

今、そのかためちゃくちゃ売れちゃったんですけど。

ちゃんと見てくれている人がいるんだなあって、もうちょっと頑張ろうと思い直しました。

(写真提供:hoshioto実行委員会)hoshioto
(写真提供:hoshioto実行委員会)hoshioto

そういったアーティストのかたからの声は励みになりますね。

藤井

応援してくださるお客さんも多くて。

これまでもギリギリで続けてきたのですが、2023年も赤字になると発表させていただいていたら、当日たくさん励ましの声をかけられました。

「何かできることがあればしたいです」とメールをいただくこともあります。

そんな声にあと押しされたこともあり、悪あがきしてみようとクラウドファンディングに挑戦してみたら、びっくりするぐらい集まりました。

目標達成はしなかったものの、なんとか今年の『hoshioto Camp』開催にはこぎつけることができました。

『hoshioto』設営前の会場(葡萄浪漫館にある広場)
『hoshioto』設営前の会場(葡萄浪漫館にある広場)

お客さん、アーティスト、スタッフに還元したい

イベント自体のクオリティもさることながら、ソフト面としてWebサイトやアフタームービーも素敵だし、グッズのグラフィックデザインもかわいいですよね。

藤井

それらを作ってくれているのは、もともと全員『hoshioto』のスタッフなんです。

フライヤーはカメラマン希望で入った子がデザインもやっていて、めちゃくちゃ良かったんでお願いしました。

Webサイトは独立予定のデザイナーから、ぜひやりたいと申し出があって。

Tシャツのデザインもイラストやっている子がいて、じゃあ任せるよって、若くてセンスのある子にどんどんやってもらっています。

(写真提供:hoshioto実行委員会)参考:hoshioto'23のグッズ
(写真提供:hoshioto実行委員会)参考:hoshioto’23のグッズ

本業が会社員で、音楽関係者ではないからこその強みや利点はありますか?

藤井

まず、驚かれて話が盛り上がるところですかね。

音楽関係者のかたもけっこういらしてくれるのですが、手作りで頑張っているからって応援してくださいますね。

こういった手作りのイベントが好きだからと出てくださるアーティストのかたもいらっしゃいます。

普段、何をしているかわからない人じゃないから、逆に信用があるのかなと思っています。

何かしらお客さんとアーティストのかたに還元できるように、もちろんスタッフさんへもですけど、そういうことばっかり考えています。

「フェスのその先へ」もっともっと地元をワクワクさせる

初開催から12年を経て『hoshioto』への思いや、今後の展望について教えてください。

藤井

これまで1年1年全力で、今年で終わってもいいやという気持ちでやってきました。

イベントをやって楽しかったね、それだけでももちろんいいのですが、今は「フェスのその先へ」思いを馳せています。

『hoshioto』をすることで、何か変わってくるのか、何か変えられることがあるのか、どういう影響を与えられるのかということを常に考えるようになりました。

10年もやっていると『hoshioto』があることで地元に誇りを感じてもらえていると聞くこともあって。

行政からも受け入れられるようになり、ちょっとずつ何か、地元に影響を与えられているんじゃないかなって。

気がついたら、いろいろな人から「藤井さんは地域創生されていますよね」と言われるようになりました。

でも僕は『hoshioto』を年に1回やるだけじゃ絶対ダメだと思っていて、もっともっと「地元をワクワクさせる」というのが、僕のこの先の野望というかテーマです。

『hoshioto』代表の藤井裕士さん

会社員のままで、2023年になって会社を設立されたとか?

藤井

『hoshioto』もやるけれど、自分の住んでいる町がもっとおもしろくなるための「フェスのその先へ」を見据えたら、ちゃんとした母体があったほうがやりやすいのではないかと考えました。

何が答えなのかはまだわからないけれど、今がタイミングだと思い立ち上げました。

とても元気の出るお話をありがとうございます。最後に、これから何かに挑戦しようとしているかたや若い世代に向けたメッセージをいただけますか?

藤井

とにかくしたいことがあって、それをやっているうちに変わったとしても、最終的には結局つながります。

僕は大学ぐらいまでずっと野球をやっていて、音楽好きでCDショップでバイトを始めて、自分でバンドもやるようになり、友達のバンドのスタッフもやりました。

たくさんライブに通って、いろいろな人たちと出会って、そういった経験がイベントの主催をするにあたり、すべてプラスになっています。

10年後、20年後ぐらいに「あのときのあれー!」というのが絶対あるんですよ。

自分が動くことで得るものってめちゃめちゃデカくて、人がなんかやってくれるっていうスタンスだと何も起こらないと思います。

だから若いときに興味のあることにチャレンジするのは大切で、途中で失敗しても悩んでもいいと思うんですよね。

僕はまだ成功っていうものがなんなのか正直わからないですけど、自分が選んだ道が間違っていなかったと思えれば全然いいかなって思っています。

「あのとき、ああしておけばよかったな」って後で絶対思わないように、思いっきり好きなことをやっていけばいいと思いますよ。

インタビューを終えて

『hoshioto』での素晴らしい体験を通して藤井さんの存在を知り、ずっとお会いしてみたいと思っていました。

すでにさまざまなWeb媒体で『hoshioto』に関する藤井さんのインタビュー記事は見つけられますが、それらとは少し違った角度から紹介できたのではないかと思います。

「フジロックみたいな音楽フェスをやってみたい!」から、本当にやってしまう類まれな行動力。

ぶっ飛んでいるけれど芯がありあたたかい、そんなお人柄にも少し触れることができました。

深まる秋、『hoshioto Camp’23』で、最高の星空の下で最高の音楽をぜひ味わってみてください。

(写真提供:hoshioto実行委員会)hoshioto Camp
(写真提供:hoshioto実行委員会)hoshioto Camp

hoshioto Camp '23のデータ

名前hoshioto Camp '23
期日令和5年10月28日(土)午前9時30分開場/午後9時終演
場所岡山県井原市青野町3535-3(会場「グレープ愛ランド 葡萄浪漫館」)
参加費用(税込)前売券:¥7,500
学生割引(高校生):¥2,500
場内駐車場付前売券 :¥12,000(限定数)
​キャンプ券(1張): ¥5,500
※中学生以下は保護者同伴に限り無料
​※場外駐車場付前売券、無料駐車場は現状ありません。

JR福山駅↔会場シャトルバス(要予約):¥3,800
井原鉄道井原駅↔会場シャトルバス(予約不要):¥片道500

駐車場に関する最新情報はWebサイトから確認してください。
​チケットの購入は、e+、チケットぴあにて。
ホームページhoshioto Camp '23
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大島 爽

大島 爽

倉敷(現在地)⇦東京(編集デザイン事務所〜レコード屋~古着屋)⇦倉敷育ち/WEBライティング能力検定1級/倉敷とことこライター/ally

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(写真提供:hoshioto実行委員会)hoshioto Camp

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