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院内学級なかよし作品展特別展示会(2025年1月27日~2月2日開催)~ 倉敷市内の院内学級で学ぶ子どもたちの作品展

院内学級なかよし作品展特別展示会(2025年1月27日~2月2日開催)~ 倉敷市内の院内学級で学ぶ子どもたちの作品展

伝えとこ / 2025.02.01

「院内学級」を知っていますか。

院内学級は、ケガや病気のため、入院しなければならない児童・生徒のために病院内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級です。

倉敷市には、倉敷中央病院に倉敷市立倉敷東小学校および倉敷市立東中学校の院内学級が、川崎医科大学附属病院に倉敷市立庄小学校および倉敷市立庄中学校の院内学級が設置されています。

院内学級の子どもたちの学びの足跡を伺える院内学級作品展が、今年度(2024年度)も倉敷美観地区にほど近いえびす通り商店街にある仁科商店iroiroにて開催されています。

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記載されている内容は、2025年2月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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「院内学級なかよし作品展特別展示会」とは

2025年1月21日(火)~26日(日)まで、倉敷市立美術館を会場に「倉敷っ子なかよし作品展」が開催されました。

倉敷っ子なかよし作品展は、特別支援教育への理解と協力の輪を広げようと、毎年開かれている作品展です。

この、倉敷っ子なかよし作品展には倉敷市内の特別支援学校、および特別支援学級の設置されているすべての学校が参加しています。

「院内学級なかよし作品展特別展示会」(以下、「院内学級作品展」と記載)は、そのなかでも病院内に教室がある病弱・身体虚弱特別支援学級の児童生徒の作品のみを展示しています。

特別展示会ポスター

2023年度に初めて開催され、今年度(2024年度)が2回目の取り組みです。

院内学級はそれぞれに倉敷市立の小学校や中学校の特別支援学級という位置づけですが、教室が校内ではなく病院にあります。そのため、同じ学校の児童生徒でさえ院内学級の存在が周知されにくい実情があります。

そこで、院内学級担当者たちの「一般市民や観光客も含めた多くの人に、院内学級の存在やそこで頑張る児童生徒の活躍を知ってほしい」との熱意から院内学級作品展が始まりました。

1月27日(月)~2月1日(土)はお店の外から、2月2日(日)は店内で鑑賞可能な時間あり

院内学級作品展は、院内学級担当の教員の手で開催される展示会。そのため、児童生徒の教育活動がある平日は仁科商店iroiroの外からガラス越しに作品を鑑賞します。

展示作品

ガラス越しではありますが、外からでも鑑賞者に作品が見えやすいよう院内学級担当者たちが工夫を凝らして展示しているので、どの作品もよく見えます。

作品を展示する教員
作品を展示する教員

中の作品をゆっくり鑑賞したいかたには、2月2日(日)午前10時~午後2時の来場がお勧めです。この時間帯は店の前のガラス戸が開き、中の作品を近くで鑑賞できますよ。

入院は大変だけれども、院内学級は楽しい!

院内学級に入級する児童生徒は、病院に入院している状態のため、食事の制限や体調の波、大変な治療を乗り越える子どもたちも多くいます。健康な人には想像もつかない苦労が多くあることでしょう。

展示作品のひとつ《みんなの夢の木》では、子どもたちの「お母さんのご飯が食べたい」「早く退院したい」といった生の声も見せてくれます。

みんなの夢の木
みんなの夢の木
子どもたちの夢
子どもたちの夢
子どもたちの夢

一方、個々の子どもたちに応じた指導が必要になるため院内学級は人数が少なく、子どもたち一人ひとりがいつも先生に見てもらえるという安心感もあるのだとか。

また、院内学級には、特別支援教育特有の活動として自立活動の時間もあります。倉敷中央病院は「元気の時間」、川崎医科大学附属病院では「なかよしの時間」と名付けており、子どもたちが一堂に会してなかよく交流を深められる活動をしているそうです。

自立活動とは「個々の児童又は生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識・技能・態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う」活動を指す。 

文部科学省

今回の作品展に出展されている作品の多くも、「元気の時間」や「なかよしの時間」に制作されたものが多くあります。

壁面作品
山よそおう

院内学級担当者によると、子どもたちはこの活動に合わせて体調管理や治療に励んでおり、和やかに過ごしているそうです。

手厚い指導が受けられて、子どもたちにとって楽しみな活動も設定される院内学級。退院する子どもたちの多くが「入院は大変だったけれども、院内学級は楽しかった!」と口にするそうですよ。

院内学級にいるからこそできる体験を

院内学級作品展の作品のなかには、倉敷美観地区にある大原美術館出前講座で制作された作品や患者さんや医師、職員などが思い思いに制作したマスコット人形をペーパーミュージアムに掲載し、作品を共有する『ハッピードールプロジェクト』で制作された人形の展示もあります。

大原美術館出前講座の作品
大原美術館出前講座の作品
ハッピードールプロジェクトの作品

普段病室で過ごす子どもたちは、外出が困難である場合も多くあります。そのような子どもたちが、院内にいながらも体験できる活動を多く取り入れているのも院内学級の特徴のひとつ。

「入院は大変だったけれども、院内学級は楽しかった!」の理由の一つに、このような体験学習の経験もあるのでしょう。

倉敷っ子なかよし作品展に出展された作品(仁科商店iroiroでも鑑賞できます)
倉敷っ子なかよし作品展に出展された作品(仁科商店iroiroでも鑑賞できます)

今年度の大原美術館出前講座は、倉敷中央病院の院内学級と川崎医科大学附属病院の院内学級をオンラインで接続して、お互いのようすを見ながらおこなわれたそうです。倉敷市内に二か所しかない院内学級同士、入院生活を頑張る仲間との交流は大きな刺激になったのではないでしょうか。

また、川崎医科大学附属病院の院内学級で制作されたパソコンでの印刷作品は、川崎医科大学の学生とともに制作したのだそう。作品は、大学の学祭でも展示されており、大学との交流もおこなわれています。

パソコン印刷作品

院内学級担当教員インタビュー

院内学級作品展の展示作業に携わった、倉敷市立倉敷東小学校の中村美華(なかむら みか)教頭先生、倉敷市立倉敷東小学校の諏訪真由美(すわ まゆみ)先生、倉敷市立東中学校の山口結美子(やまぐち ゆみこ)先生、倉敷市立庄小学校の柏谷恭子(かしたに きょうこ)先生に話を聞きました。

左から 柏谷恭子先生、山口結美子先生、諏訪真由美先生、中村美華教頭先生
左から 柏谷恭子先生、山口結美子先生、諏訪真由美先生、中村美華教頭先生

「院内学級なかよし作品展特別展示会」の企画背景を教えてください

中村(敬称略)

倉敷駅から倉敷美観地区につながる商店街という立地で、院内学級の存在や院内学級で頑張る子どもたちの活躍を見ていただきたいという想いで、昨年度(2023年度)からご縁あって仁科商店iroiroでの作品展が始まりました。

昨年度は多くのかたが観に来てくださり「院内学級の存在を初めて知った」「子どもたちの作品の明るさに元気をもらった」などの感想をいただきました。院内学級の認知度はまだまだ低いので、このような機会が作れて良かったと思っています。

会場には、感想カードが用意されています
会場には、感想カードが用意されています

どのような人に、観に来てもらいたいですか

中村

地元のかたはもちろん、観光客のかたにも、ぜひ足を止めて鑑賞していただきたいです。

また、病院を退院して院内学級を退級したお子さんや卒業生にも観に来てもらいたいですね。現在入院中の院内学級でともに頑張った仲間や後輩たちと、退院した子どもたちはなかなか会えません。でも、作品展の作品を通して院内学級で頑張っている姿を観てもらったり、当時の楽しかった思い出を懐かしんでくれたりしたら、うれしいですね。

大原美術館出前講座は、二か所の病院がオンラインを通じてともに活動したと聞きました

山口(敬称略)

院内にiPadなどのデジタルデバイスを持ち込めるようになったので、オンラインでお互いの制作風景を観ながら活動しました。子どもたちもとてもうれしそうで、制作途中の作品をカメラに向けて見せあっていました。

諏訪(敬称略)

壁面に展示している「みんなの夢の木」も四つの院内学級の合同作品になっています。子どもたちのリアルな声が見られる展示になっていますよ。

読者へメッセージをお願いします

柏谷(敬称略)

病気やケガがあって入院していても、子どもたちは前向きに学習に取り組んでいます。今回の展示を通して、院内学級の存在やそこで頑張っている子どもたちの存在をより多くのかたに知っていただきたいです。

子どもたちの作品はどれも明るく、元気をもらえるものばかりですので、ぜひ子どもたちのパワーを感じていただければと思います。

絵葉書作品
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おわりに

2025年1月26日(日)まで倉敷市立美術館で開催されたなかよし作品展では、縦長のスペースに掲示されていた院内学級の作品たち。仁科商店iroiroでは広いスペースにゆとりをもって展示されているので、また印象がぐっと変わったように感じました。

倉敷っ子なかよし作品展の展示風景
倉敷っ子なかよし作品展の展示風景

院内学級というと子どもたちの症状も個々に異なり、個別に学習を進めているイメージがありましたが、今回の展示作品の多くが仲間と手を合わせて作った作品ともに活動をした足跡の伺える作品ばかり。先生がたが、入院中の子どもたちにも集団での活動の楽しさや院外の大人との活動を、積極的に保障していることがわかります。

「院内学級とは?」「倉敷っ子なかよし作品展に行きそびれたよ!」というかた、多くのかたに立ち止まって鑑賞してもらいたい作品の数々です。

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高石真梨子

高石真梨子

東北→九州→近畿→関東を経て、2023年12月に倉敷市地域おこし協力隊になりました。

音の世界と音のない世界の狭間に住んでいる、手話と日本語のバイリンガルです。障がいの有無にかかわらず、倉敷を旅して倉敷に住み続けたくなるような情報を発信していきます。

こんにちは、地域おこし協力隊です

県外から倉敷市への移住をより一層進めるため、Webを通じた生活者目線での情報発信や、移住関連イベントへの協力をミッションに活動しています。

倉敷市地域おこし協力隊

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