大原美術館 児島虎次郎記念館 ~ 大原美術館の作品収集に貢献した児島虎次郎を称える別館

児島虎次郎記念館 内観

倉敷美観地区にある大原美術館コレクションの礎(いしずえ)を築いた、児島虎次郎(こじま とらじろう)は近代日本の優れた洋画家であり、収集家でした。

2025年4月3日、虎次郎の功績を称える美術館が、倉敷美観地区の中心部にオープンしました。

銀行として市民に長く親しまれてきた建物に、貴重な古代エジプトや西アジアなどの収集品、虎次郎の洋画が展示されます。

大原美術館の別館である、児島虎次郎記念館を紹介します。

記事内に使用している写真は、特別に撮影許可をいただいて撮影しているものを含みます。

記載されている内容は、2025年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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大原美術館 児島虎次郎記念館のデータ

児島虎次郎記念館 外観
名前大原美術館 児島虎次郎記念館
所在地岡山県倉敷市本町3−1
電話番号086-422-0005
駐車場なし
開館時間午前10時~午後4時
※入館締め切りは15時30分、12月から2月は15時閉館
休館日
臨時休館あり
休館日が祝日、振替休日と重なった場合は開館
7月下旬~8月は無休
入館料(税込)大原美術館本館/工芸・東洋館/児島虎次郎記念館 共通
一般 2,000円
高校・中学・小学生(18歳未満) 500円

※入館券は大原美術館本館前の入館券売場にて購入
支払い方法
  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・nanaco・PayPay
予約について
個人であれば予約不要
タバコ
トイレ
子育て
バリアフリー

ホームページ大原美術館公式ホームページ

児島虎次郎とは

児島虎次郎記念館 児島虎次郎

まずは児島虎次郎について紹介しましょう。

洋画家としての児島虎次郎

児島虎次郎記念館 児島虎次郎《夏のボート》1920

児島虎次郎は、日本における印象派の代表的な画家のひとりといわれています。1881年(明治14年)に、岡山県の現・高梁市に生まれました。

1902年に東京美術学校(現在の東京藝術大学)に進学。2度の飛び級を経て卒業し、さらに研究科(現在の大学院)で学びました。

その後、東京府主催の勧業博覧会美術展に出品した《なさけの庭》は、1等賞を受賞し、宮内省(当時)お買い上げとなりました。若いころから才能あふれる画家だったことがうかがえます。

研究科の後、実業家の大原孫三郎(おおはら まごさぶろう)の支援を受けてヨーロッパへ留学し、1912年にはベルギーのゲント王立美術アカデミーを首席で卒業しました。

帰国後は倉敷市に居を構え、精力的に海外にも渡航しながら、独自の表現を追求して多くの作品を残しました。

収集家としての児島虎次郎

モネやゴーギャンなどの作品(大原美術館本館で2019年撮影)
モネやゴーギャンなどの作品(大原美術館本館で2019年撮影)

20世紀初頭は、日本国内で実物の西洋絵画を見ることが難しかった時代です。虎次郎は「日本に住む画学生や一般の人々に本物の西洋絵画を見せたい」という願いを抱きます。その思いに孫三郎が共感し、支援しました。

虎次郎は、モネ、マティス、ゴーギャンなど当時の現代作家の作品を中心に、多くの作品を購入しました。

たとえば、大原美術館所蔵のモネ《睡蓮》は、モネ本人が虎次郎の熱意に心を動かされ、自宅で大切に保管していた作品を譲ったものです。

エル・グレコ《受胎告知》(大原美術館本館で2019年撮影)
エル・グレコ《受胎告知》(大原美術館本館で2019年撮影)

また、「日本にあるのが奇跡」と称されるエル・グレコ《受胎告知》など、時代を超えた名画も収集しました。

こうして審美眼と情熱を持って収集された数々の作品が、大原美術館の礎となりました。倉敷に人々が集まるきっかけを作った人物ともいえるでしょう。

さらに虎次郎は、ヨーロッパ絵画にとどまらず、古代エジプトをはじめとするオリエントの古美術も収集しました。

児島虎次郎と大原孫三郎と大原美術館の関わり

大原美術館 本館
大原美術館 本館

児島虎次郎と大原孫三郎は、画家とパトロンという間柄を越え、友情を育みます。

孫三郎は47歳の若さで亡くなった虎次郎を悼み、虎次郎の収集品と彼が描いた作品を公開する美術館建設を決意しました。

1930年に、大原美術館を開館。
孫三郎の跡を継いだ長男の大原總一郎(おおはら そういちろう)は、大原美術館を発展・拡張させました。

その後、1972年から「倉敷アイビースクエア」内において児島の収集品や作品の展示室が段階的に開設され、1981年に「大原美術館 児島虎次郎記念館」と称されましたが、現代の美術館が求める条件に合わなくなったため、2017年に撤退しました。

そして、2025年に大原美術館や大原家ゆかりの建物と一体感のある場所でグランドオープンしました。

2025年現在、大原美術館は以下の施設を擁しています。

大原美術館マップ 画像提要:大原美術館
大原美術館マップ 画像提要:大原美術館
児島虎次郎記念館グランドオープン(2025年4月3日)~ 地域に親しまれた歴史ある銀行建築で、大原美術館の原点となる作品を鑑賞しよう

児島虎次郎記念館の展示品

児島虎次郎記念館 内観

児島虎次郎記念館には、以下のものが展示されています。

  • エジプト・西アジア他の古美術品
  • 児島虎次郎の作品

ただし、展示替えを随時おこなっているため、展示される作品は時期によって異なります

訪れるたびに新たな出会いがあることでしょう。

エジプト・西アジア他の古美術品

児島虎次郎記念館 収蔵品

エジプトや西アジアの古美術品は、「文化の源流」とも呼べるものです。

虎次郎が持ち帰った美術品の展示は、当時の日本の人々にとって、初めてまとまったオリエント美術に触れる機会となりました。

児島虎次郎記念館 収蔵品

明治から昭和初期にかけて、これほど多くの品々を集めた「コレクションとしての価値」にも注目してみてください。

イランのお皿、エジプトの彫像などの美術品をじっくり鑑賞できます。

児島虎次郎記念館 収蔵品

収蔵品には虎次郎以外が収集した品も含まれますが、虎次郎が集めた品々は、大原美術館のコレクション形成に重要な影響を与えました。

紀元前の作品を手掛けた人々に思いを馳せたり、初めてオリエント美術に触れた大正時代の日本人の気持ちを想像したり。

解説も参考にしながら、自由に鑑賞してみてください。

児島虎次郎作品

児島虎次郎記念館 児島虎次郎の作品

大原美術館本館で展示していた作品も、児島虎次郎記念館へ。
虎次郎の世界に存分に浸れる空間となりました。

色・光・形が一体になって描かれる虎次郎の絵は、日本国内だけでなく、フランスでも高い評価を受けました。

児島虎次郎記念館 児島虎次郎の作品

児島虎次郎作品の特徴のひとつに「さまざまな文化が織り込まれていること」が挙げられます。

記事後半のインタビューで、児島虎次郎作品の特徴をさらに掘り下げて紹介します。

児島虎次郎記念館の建物

児島虎次郎記念館 内観

児島虎次郎記念館は、建築的な魅力にもあふれています。

大原美術館との関わり

有隣荘 外観
有隣荘 外観

児島虎次郎記念館の建物は、第一合同銀行(現在の中国銀行)の支店として1922年に竣工しました。当時第一合同銀行の頭取を務めていたのが、大原美術館の創立者である大原孫三郎です。

また、この建物を設計した薬師寺主計(やくしじ かずえ)は、大原美術館本館や、大原家の旧別邸である有隣荘の設計も手掛けています。

児島虎次郎記念館の建物は、大原家とゆかりが深く、近代倉敷の発展を支えた建物といえるでしょう。

倉敷の町並みを構成する近代建築

美観地区の町並みの特徴のひとつが、「近世町家と近代建築が融合している」ことです。大原美術館本館と児島虎次郎記念館は、この町並みを構成する重要な建物です。

2017年には、日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」構成文化財に認定されました。

この一帯が、倉敷の近代の物語を感じられるエリアとなっています。

くらしき建築紀行 〜 新旧が「調和」した倉敷の建築物ガイド

展示以外の役割

美術館の役割は、作品の収集・保管・展示だけではありません。

児島虎次郎記念館は、企業研修やレクチャー、ワークショップ、博物館実習などにも活用されています。

近代倉敷の発展を支えたこの建物は、児島虎次郎の功績を伝えるだけでなく、地域や文化に貢献する施設へと生まれ変わりました。

開館までの道のりや込められた思い、研究員から見た児島虎次郎について、公益財団法人大原芸術財団 特命上席研究員の𠮷川あゆみさんに話を聞きました。

大原美術館 児島虎次郎記念館のデータ

児島虎次郎記念館 外観
名前大原美術館 児島虎次郎記念館
所在地岡山県倉敷市本町3−1
電話番号086-422-0005
駐車場なし
開館時間午前10時~午後4時
※入館締め切りは15時30分、12月から2月は15時閉館
休館日
臨時休館あり
休館日が祝日、振替休日と重なった場合は開館
7月下旬~8月は無休
入館料(税込)大原美術館本館/工芸・東洋館/児島虎次郎記念館 共通
一般 2,000円
高校・中学・小学生(18歳未満) 500円

※入館券は大原美術館本館前の入館券売場にて購入
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  • 現金
  • クレジットカード
  • Suicaなど交通系ICカード・iD・QUICPay・nanaco・PayPay
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写真と旅を愛する、倉敷そだちのデザイナー。 倉敷のときめくものや素敵なところをお届けします!

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