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近藤菜月さんにインタビュー
倉敷アイビースクエアでホテルスタッフとして働く若手社員、近藤菜月(こんどう なつき)さんに話を聞きました。

数々のおもてなしは、お客様一人ひとりに合わせた接客から
入社されてからお客さんと数多くの出会いがあったと思います。思い出に残っているエピソードはありますか?
近藤(敬称略)
お客様から初めてお手紙を頂いたことは、ずっと心に残っています。
数年前に、新婚旅行で来られた韓国人のご夫婦が宿泊してくださり、チェックインの際に独学で学んだ韓国語でご案内をしました。当時は今よりも韓国からのお客様が少なく、お客様も母国語での対応にとても驚かれていたと思います。
海外のお客様は、和食を召し上がりたいかたが多いので、夕食には倉敷美観地区にあるおいしい焼き鳥屋さんをご紹介しました。そちらのお店に実際に足を運んでくださったようで、チェックアウトの際には「おいしかったよ」と声をかけていただき、さらに、韓国語で「忘れられない旅になりました」と書かれたお手紙とお菓子も頂きました。
限られた短い時間のなかで、お客様の記憶に残るおもてなしができたことが心からうれしかったです。
近藤さんが接客で心がけていることはなんですか
近藤
どんなに忙しくても必ず落ち着いて、ていねいな接客をするようにしています。
私たちが焦ってしまうとお客様も落ち着かないので、言葉遣いはもちろん、所作も含め、きれいに見えるように心がけています。
また、フロントでの数分の会話や表情から、お客様が「早くお部屋で休みたいのか」、それとも「観光の相談をしたいのか」を瞬時に見極めることも重要です。難しい部分でもありますが、場数を踏んで、お客様に合わせて柔軟に対応していきたいと思います。

お客さんが何を求めているのか、一瞬で考えるんですね。そのような柔軟な対応は、どのように身につけていくのでしょうか。
近藤
お客様一人ひとりに合わせたおもてなしをするために、各スタッフが自分なりの接客を追求しているんです。
入社直後は先輩のやり方を真似することから始めて、そこから少しずつ自分なりの形を模索していきました。最初の頃は先輩を相手に、接客の練習を何度も繰り返しましたね。それでも初めてお客様の前に立ったときは、緊張で手が震えてしまったことを今でも覚えています。
ホテルはイレギュラーな対応が日常茶飯事です。とにかく数多くのお客様と接して、経験を積むことが大事だと思います。
ワンチームで生み出すホスピタリティ

ホテルならではの大変さを感じることは何ですか。
近藤
倉敷アイビースクエアという特別な場所だからこそ、高いホスピタリティを求められます。新婚旅行や修学旅行、「数十年ぶりに来た」というお客様も多く、その期待にお応えしないといけないプレッシャーが常にありますね。
また、6年働いた今でも、イレギュラーな出来事がほぼ毎日起きるんですよ。同じ業務の繰り返しではありますが、同じ接客はないと思います。
個人的に、接客業はお客さんからのご指摘が絶えない仕事だと考えていますが、もしあった場合はどのように対応していますか?
近藤
まずは二度と同じミスを繰り返さないためにも、スタッフ間で情報を共有し、チェックアウトの際に必ず笑顔でお帰りいただけるように、スタッフ全員で細やかな声かけをしています。
私の個人的なエピソードとして、入社1年目の頃に、タクシーの手配順で配慮が足りず、お客様からお叱りを受けたことがありました。タクシーをお待ちいただいてる間に、後から来られたお客様のタクシーが先に到着してしまったんです。順番が前後する可能性があることを事前にお伝えすれば良かったのですが、当時はその配慮ができていませんでした。
このときの経験から、細かなひとことを添える大切さを学びました。お客様からのご指摘は、サービスをより良くするための貴重な機会だと前向きに捉えています。

上質なおもてなしには報連相が欠かせないのですね
近藤
そうですね。お客様ごとの担当がないので、どのスタッフが対応しても一貫したサービスを提供できるよう、徹底した「報連相」が根付いています。
お客様の細かな情報や起きた出来事などは、どんなに忙しくても隙を見て、口頭やメモ、社内ツールで共有し、スタッフ全員が状況を把握できるようにしています。
倉敷アイビースクエアの未来をともに作る仲間とは

希望していたホテルの仕事に就いてみて、入社前とのギャップを感じたことはありますか?
近藤
入社前は華やかなイメージがありましたが、想像以上に体力が必要な現場でした。1日中立ちっぱなしだったり、重いスーツケースを運んだりと、力仕事がとにかく多いです。慣れないヒールを履き続けるのも、最初の頃は大変でしたね。
良い意味でギャップがあったのは、社内の人間関係でした。厳しい上下関係はなく、親身で優しいかたばかりで、気軽に話ができる関係性ができています。
職場はどのような雰囲気ですか?
近藤
ホテル部門では10代から60代までと幅広い世代のかたが働いていますが、年齢を問わず、フラットに意見交換ができる職場です。新入社員や中途入社のかたでも、なるべく早くチームに馴染めるような環境づくりに全員で取り組んでいます。
また、スタッフ全員の視野が広く、お客様はもちろん、一緒に働く仲間への気配りも欠かしません。私も新入社員の頃に先輩から優しくしていただいたので、今度は私が後輩にその優しさをつないでいきたいと思っています。

近藤さんが考える、アイビースクエアのホテル業務に向いている人はどのような人だと思いますか。
近藤
「旅行でわくわくする気持ち」に共感できる人だと思います。
実は私自身、もともと人と話すことがあまり得意ではありません。ただホテルや空港といった、旅行ならではのわくわくする雰囲気が大好きで、今の仕事を選びました。
当ホテルを訪れるお客様は、楽しみや癒やしを求めて来られるかたがほとんどです。だからこそ、まずは自分自身がその場所にわくわくできて、お客様の気持ちに寄り添えるかどうかが何より大切だと思います。
自分らしく咲く。仕事で悩んだときの「転職」以外の選択肢

近藤さんにとって倉敷アイビースクエアとはどのような存在ですか?
近藤
毎日通う職場ではありますが、倉敷の歴史が詰まった場所であることを忘れずに働きたいと思っています。
お客様の言葉で、倉敷アイビースクエアの良さを再認識することも多いです。「人生で一度は泊まってみたかった」や「20代の頃から憧れていたホテルなんです」といったお言葉を頂くたびに、倉敷アイビースクエアが素敵な場所であることを改めて実感します。
貴重な環境で働いている自覚を持ちながら、これからもおもてなしを磨いていきたいです。
同世代の若手に向けて、メッセージをお願いします。
近藤
私は「置かれた場所で咲きなさい」という言葉を大事にしています。
入社直後は楽しく続けられると思った仕事でも、長く勤めていくと、転職を考える時期がやってくることもあるはずです。ただ、今の環境で自分ができることを探していけば、同じ場所でも頑張れる道が見えてくるかもしれません。
私の場合は、韓国語の習得や落ち着いた接客技術など、自分が成長できるポイントを見つけられたことで、憧れていた今の仕事を続けられています。
「転職をして環境を変える」といった選択肢はもちろん、「置かれた環境で頑張る」という選択肢も、一つ持っておくと良いのかなと思います。
おわりに
取材中、筆者は近藤さんの穏やかな話し方に安心感を覚えました。誠実で落ち着いた接客は、初めて倉敷を訪れた人たちにとって、心強い旅のサポーターとなっているはずです。
さらにスタッフ間で徹底されている「報連相」など、お客さんの目に見えない部分で積み重ねている準備が、上質なおもてなしにつながるのだと思いました。
入社して数年経つと、キャリアについて悩む人も増えると思います。現在の環境で、どうすれば自分が成長できるのかを模索すること。近藤さんが考えた長く働き続けるコツは、業界・職種を問わず、通じるものがあります。
今後も自分らしく成長を続ける近藤さんを応援していきましょう。

若手が紡ぐ倉敷仕事物語 バックナンバー
株式会社倉敷アイビースクエアのデータ

| 団体名 | 株式会社倉敷アイビースクエア |
|---|---|
| 業種 | 【ホテル業】 宿泊、宴会、ウエディング、レストラン、駐車場、お土産物販売 【文化施設の運営】 倉紡記念館、愛美赤煉瓦館、アイビー学館、愛美工房 【小売販売業】 病院売店、工場売店 |
| 代表者名 | 川頭義人 |
| 設立年 | 1974年 |
| 住所 | 岡山県倉敷市本町7番2号 |
| 連絡先 | 086-422-0011 |
| ホームページ | 倉敷アイビースクエア ホームページ |



















































