公益財団法人倉敷民芸館(以下、「倉敷民藝館」と記載)では、3年に一度、民藝の分野で将来の活躍が一層期待される若い個人または団体に「倉敷民藝館賞」を贈っています。
2026年3月13日(金)に倉敷民藝館において、第16回倉敷民藝館賞の受賞者発表と館長交代に関わる記者会見がおこなわれました。
記載されている内容は、2026年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
倉敷民藝館賞とは
倉敷民藝館賞は、初代館長 外村吉之介(とのむら きちのすけ)の業績を記念して設けられた賞で、1994年(平成6年)以降3年に一度受賞者が選考されます。
受賞者は、以下の分野で活躍し、将来の活躍が一層期待される若い個人もしくは団体です。
- 民藝品の制作
- 工人の指導育成
- 民芸運動の推進
過去15回で、14の個人または団体が受賞しています。
記者会見のようす
記者会見は、2026年3月13日(金)倉敷民藝館のいろりの間において、約50分おこなわれました。
倉敷は民藝のまほろばの地
記者会見は、倉敷民藝館理事長で現館長の大原謙一郎(おおはら けんいちろう)さんから、第16回倉敷民藝館賞の発表と館長交代への思いの説明から始まりました。

大原謙一郎(敬称略)
前回の第15回倉敷民藝館賞は受賞者なしとの結果になりました。そこで、第16回に向けて審査員を一新し、選考基準も再考した結果、今回の受賞者は須浪隆貴(すなみ りゅうき)さんに決定しました。
また、倉敷民藝館の館長が私から、現館長補佐の柳沢秀行(やなぎさわ ひでゆき)さんに交代します。
今、私たちの思いは大きく二つあります。
まず、倉敷は民藝のまほろばの地です。
初代館長の外村さんは倉敷の人ではありませんでしたが、ここに民藝の未来があるとの思いを込めて倉敷民藝館を設立しました。
「民藝のまほろば」とは、民藝作品の作り手とそれを生活のなかで美しいものとして見出して使っていく幸せな使い手、そして仲立ちをする配り手の三者が作り上げるひとつの世界を指します。倉敷民藝館はそのような民藝のまほろばを作る媒体でありたいと考えています。
それと同時に、倉敷は大原美術館のある町です。
民藝と美術の関係は今も昔も模索中です。だからこそ、近現代の日本の文化史や芸術史、美術史という観点からも民藝と美術の関係を解き明かしていきたいという思いがございます。
このような背景のなか、倉敷から民藝を盛り上げる須浪さんが第16回倉敷民藝館賞を受賞されること、倉敷の作り手や配り手との親交が深く、大原美術館での経験も豊富な柳沢さんに館長が交代することとなりました。
第16回倉敷民藝館賞を受賞した須浪隆貴さん

第16回倉敷民藝館賞は、倉敷市生まれ倉敷市在住の須浪隆貴さんに決まりました。
須浪さんは、1886年(明治19年)創業の須浪亨商店5代目として、伝統的なイ草の品々を制作しています。また、岡山県民藝協会副会長、日本民藝協会常任理事、雑誌「民藝」編集委員など民藝運動の推進にも尽力しています。
審査では、元々受け継がれてきたイ草の編みかたを応用しつつ現代に合ったオリジナル商品の開発や民藝運動の推進への尽力が、高く評価されました。
受賞にあたり、須浪さんからは以下のコメントがありました。
倉敷民藝館5代目館長は、柳沢秀行さん

2026年4月1日(水)より、倉敷民藝館の館長が大原謙一郎さんから柳沢秀行さんに交代します。
柳沢さんは、岡山県立美術館の学芸員を経て2002年から大原美術館の学芸員として勤務。2023年からは、倉敷民藝館の館長補佐としても活動してきました。
館長交代にあたり、柳沢さんからは以下のコメントがありました。
民藝運動の根本は「多くの人々の生活の質を上げる」ことです。
倉敷民藝館が多くの人にとって自分たちの生活のありかたを見直す場にしたいです。そのために生活の質の上げかたを考えたり、作り手さんたちを励ましたりして、作品を世に配り社会そのものを向上させていきたいと考えています。
記念事業
第16回倉敷民藝館賞受賞者決定にあたり、以下の記念事業が予定されています。
- 第16回倉敷民藝館賞贈呈式
2026年4月19日(日)午後2時から - 第16回倉敷民藝館賞受賞記念対談
2026年4月19日(日)午後3時から - 第16回倉敷民藝館賞受賞記念 須浪隆貴展示即売会
2026年4月19日(日)〜5月6日(水・振替休日)
おわりに
大原さん、須浪さん、柳沢さんの3人は終始和やかな雰囲気で記者会見前後も雑談で盛り上がっており、倉敷の民藝関係者の風通しの良さを味わえるひとときとなりました。
地元倉敷のかたが倉敷民藝館賞を受賞するのは、18年ぶりとのことです。
このおめでたい機会に、倉敷の作り手や配り手とも親交が深い柳沢さんが館長になることで、倉敷民藝館がどのようなミュージアムになるのか注目されます。
今後の倉敷民藝館から目が離せません。
















































今回の受賞は私一人の力ではなく、仕事を手伝ってくれる人、イ草を育てる人、商品を販売してくれる人、展示など発信してくれる人たちの力添えがあって受賞できたものです。携わってくださったすべてのかたへ感謝します。
現在、民藝はライフスタイルの一つとして家具やアパレルの分野からも注目していただいています。今後も、さまざまなアプローチで民藝の普及に努めていきたいです。