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すぎ茶屋の代表・杉本 正樹さんにインタビュー
すぎ茶屋の代表取締役・杉本 正樹(すぎもと まさき)さんに、すぎ茶屋の創業エピソードやお店や商品のこだわり、饅頭も扱うことになった理由などについて、話を聞いてみました。
インタビューは2019年12月の初回取材時に行なった内容を掲載しています。
製粉の研究者だった初代が国道53号線沿いに創業
どのような経緯で創業に至った?
杉本
すぎ茶屋を創業したのは、私の父です。
父は、製粉会社で製粉の研究職として働いていました。
いわば粉の専門家ですから、ずっと粉にこだわり、研究を続けていたんですが、そのうち自分で粉を使った商売をしてみたくなったようです。
すぎ茶屋は、1973年(昭和48年)12月に開業しました。
場所は、現在の岡山市北区建部町の福渡地区です。
最初は小さな規模のうどん店でした。
今は敷地が広くなって建物も増えましたが、ずっと本店は同じ場所で営業していますよ。
なお、小麦粉を使った料理はたくさんありますが、父に一番合ったのがうどんだったみたいですね。
父は粉研究の専門家ですから、科学的な観点からもアプローチしてうどんづくりをしていたのではないでしょうか。
岡山〜津山の中間地点・福渡には何もお店がなかったことに着目
本店は、岡山市建部の福渡にあるが、なぜその場所を選んだ?
杉本
父は、現在の真庭市の出身でした。
しかし、あえて福渡に出店したのには明確な理由があったんです。
開業した昭和48年は、一家に一台自動車が普及してきたころ。
いっぽう、岡山市中心部と県北部の津山市中心部を結ぶ国道53号の沿線は、岡山と津山以外の場所には店が少なかったんです。
そこで、国道53号沿いで岡山・津山のほぼ中間地点にあたる福渡地区への出店を決めたんですよ。
岡山と津山のあいだはけっこう距離があって、車の移動でも時間がかかります。
だから、休憩できる店が必要だと考えたようです。
福渡という場所は、現代と同じように、江戸時代も岡山と津山を結ぶ街道のほぼ中間地点で、川港・宿場として栄えた地。
美作国だった福渡地区ですが、旭川の対岸は備前国の建部地区という国境にありました。
そのため「行こか岡山、戻ろか津山……」と歌われた場所です。
そんな歴史のある福渡の地で、現代における江戸時代の「茶屋」のような店になるべく、名字から一文字とって「すぎ茶屋」となりました。
なお、すぎ茶屋の倉敷天満屋店は、2008年に天満屋倉敷店が現在地に移転開業したときにオープンしました。
最初はうどん店を継ぐつもりはなかった
最初からうどん店を継ぐつもりだった?
杉本
実は、家業であるうどん店を継ぐつもりは、まったくなかったんですよ。
ずっとうどんとは関係の無い仕事をしていました。
でも、だんだんと店を手伝おうという気持ちが芽生えてきたんです。
それから帰郷してうどん店に入り、修業の日々。
父と、父の同僚だった製粉会社のかたの2人から、いろいろと教えてもらいました。
でもなかなかうまくいかず大変でしたね。
2人とも「答えは自分で探せ」というスタイルだったんで、本当に試行錯誤の連続という毎日でした。
ほかの地域にはない、岡山独自の特徴を持った「岡山うどん」にこだわり抜く
すぎ茶屋のうどんのこだわりや特徴は?
杉本
すぎ茶屋のうどんは「岡山うどん」と呼んでいます。
うどんの麺といえば、讃岐うどんのような力強いコシをイメージすることが多いと思います。
ただ、岡山ではコシだけではなく、麺を噛んだときに少し押し戻ってくるような感覚のある弾力があるうどん麺が好まれる傾向があるんです。
岡山弁で「モッチリ」とか「まろやか」のような意味のある「たんわり」という表現がピッタリですね。
だから当店では、あえて岡山うどんと名付けて、岡山の地域性にあった、たんわりとした独自の味わいがあるうどんを追求しているんですよ。
毎日、福渡本店でつくられた生地を倉敷へ送り、倉敷店内で麺を切っています。
その岡山うどんのおいしさの要が、うどん粉(中力粉)。
さきほど話したとおり、父は粉の研究者でした。
ですから、すぎ茶屋は粉にこだわっています。
時代によって粉の特徴が変化したとき、当店でもそれに合わせてすぎ茶屋のうどんの味を出せる粉を研究していますよ。
今まで何度か、時代に合わせて粉を変えてきました。
現在は国内外の複数の産地の粉を混ぜていますが、この配合もかなり試行錯誤したんですよ。
たとえば、同じ日本国内の粉でも、栽培された地域によって特徴がかなり異なるんですよ。
この粉へのこだわりは、天ぷらの衣にも生かされています。
ほかに、うどん麺に使う水は福渡本店の井戸水を使っているんです。
これもポイントですね。
あと、もちろんダシにもこだわっていますよ。
まず、北海道利尻のコンブ。
それに3種類の鰹節でダシを取ります。
とくに利尻産昆布には、創業時からこだわりを持っていますよ。
さらに、醤油は兵庫県揖保の特注品を使っています。
岡山〜津山の中間地点という地の利を生かし、土産物として饅頭を開発
うどん店なのに、饅頭・かりんとうを扱っているのは、なぜ?
杉本
饅頭を売り出したのは、店を出してから5年くらいたった頃と聞いています。
さきほどのとおり、当時は国道53号線の岡山〜津山間に店は少なかったので、お客さんから「土産菓子も売ってくれればいいのに」という声が多くありました。
すぎ茶屋では粉にこだわりがあったので、父は粉を使った饅頭をつくることを思いついたようです。
饅頭は、普通は薄力粉を使うことが一般的。
そこをあえて、うどん粉(中力粉)を使って饅頭をつくることで、おもしろい饅頭ができると考えたんですよ。
「粉にこだわるうどん屋がうどん粉でつくる饅頭」というのがおもしろそうだと。
うどんづくりで培った粉に関する知識も生かせますし。
しかも、すぎ茶屋が粉を仕入れていたのは、砂糖を扱う問屋さんだったんです。
父が問屋さんと相談をしたら、問屋さんから徳島県でつくられている「阿波和三盆」を紹介していただきました。
阿波和三盆は徳島県でつくられていて、とても希少で上質な砂糖なんです。
そこで、阿波和三盆の黒糖蜜を使った饅頭をつくろうということになりました。
そして試行錯誤の末に誕生したのが、現在のすぎ茶屋まんじゅうなんです。
生かりんとはどんな経緯で生まれた?
杉本
父の時代は、菓子はすぎ茶屋まんじゅう一本でした。
生かりんとは、私が代表になってから開発したんですよ。
すぎ茶屋まんじゅうは、おかげさまで長年にわたり多くのお客様に愛されています。
しかし、ライバルも多いですし、新たな商品の開発も必要だという危機感もありました。
そこで、すぎ茶屋まんじゅうと同じ阿波和三盆 黒糖蜜を生かしてつくれるものがないかなと考えたんです。
実は、私は大の甘党。
黒糖を使ったお菓子で、まっさきにかりんとうを思いつきました。
そして、試行錯誤の末に誕生したのが、生かりんとです。
2015年(平成27年)のことでした。
今では、すぎ茶屋まんじゅうとともに人気商品に育ちましたよ。
完成形はない。毎日の変化に対応するため日々研究している
仕事をしていて大変なことは?
杉本
日々の微妙な変化への対応ですね。
今まで試行錯誤を続けてきたうどんの麺づくりやダシですが、毎日の微妙な変化に合わせています。
たとえば、気温や湿度など。
そういった本当に微妙なものでも、味が違ってくるんですよね。
だから、いつものすぎ茶屋の味になるように、変化に合わせて調整する必要があるんです。
そのため、すぎ茶屋のうどんには完成形はないと思っています。
毎日、試行錯誤をしている感じですね。
毎日うどんを研究しているという感覚なので、それが楽しいです。
私は、店で働いている側は、楽しくやっていないといけないというのがモットー。
楽しくしていなかったら、それが味にあらわれるし、お客さんに伝わってしまいます。
だから、いつも仕事を楽しくやって、店員同士も和気あいあいとやっていかないといけません。
おかげさまで、私は毎日楽しく仕事ができていますので、ありがたいです。
おわりに
製粉の研究者・専門家が創業したというすぎ茶屋。
粉をはじめとするうどんづくりへの研究心と情熱は、現代表の杉本さんにもしっかりと受け継がれています。
地元の味を追求した「岡山うどん」は、そのこだわりを感じられるおいしいうどんです。
そして、その粉へのこだわりを生かしたすぎ茶屋まんじゅうや生かりんとも、一度食べてみて欲しいお菓子。
ぜひ、すぎ茶屋でこだわりの岡山うどんと、すぎ茶屋まんじゅう・生かりんとを味わってみてください!
すぎ茶屋 倉敷天満屋店のデータ
名前 | すぎ茶屋 倉敷天満屋店 |
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住所 | 岡山県倉敷市阿知1丁目7-1 天満屋倉敷店 6階 |
電話番号 | 086-426-2637 |
駐車場 | あり 天満屋倉敷店の提携駐車場を利用(参考:天満屋倉敷店 公式サイト) ※3,000円以上の買い物で2時間無料 |
営業時間 | 午前11時〜午後9時 |
定休日 | なし ※天満屋倉敷店の休日に準ずる |
支払い方法 |
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予約の可否 | 可 |
座席 | 全44席 ・2人がけテーブル:4卓 ・4人がけテーブル:2卓 ・6人がけテーブル:3卓 ・カウンター席:10脚 ※ テーブル席は配置変更可能 |
タバコ | 完全禁煙 |
トイレ | 洋式トイレ バリアフリートイレ |
子育て | 授乳室 オムツ替えシート ベビーカーでの入店可能 子供用の椅子あり 子供用の食器あり |
バリアフリー | バリアフリートイレ エレベーター 車椅子での入店可能 トイレは天満屋6階フロアにあるトイレを利用のこと |
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