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築山製パン所 〜 大正元年創業の岡山県屈指の老舗パン屋。「ケシパン」は”こしあん”にこだわる創業からの名物

築山製パン所 〜 大正元年創業の岡山県屈指の老舗パン屋。「ケシパン」は”こしあん”にこだわる創業からの名物

買っとこ / 2020.10.10

築山製パン所の代表・築山 政美さんにインタビュー

築山製パン所:商品

大正元年から、人気のケシパンをはじめとするさまざまなパンを製造してきた築山製パン所。

地元・玉島ではソウルフードといってもいいほど、住民のあいだで愛されています。

そんな築山製パン所の代表・築山 政美 (つきやま まさみ)さんにインタビュー。
開業の経緯や商品のこだわり、今後の展望などについて話を聞きました。

大正元年に大阪で創業、戦後に玉島で再出発

築山製パン所:外観
開業の経緯を教えてほしい。

築山 (敬称略)
創業は、大正元年(1912年)です。
今年(取材時=令和2年)で、創業108年になります。

創業したのは、私の夫の祖父。
その後に夫の父、そして夫が継いで、現在は私が代表をしています。

残念ながら、創業当時のことはあまり詳しく聞いていないんですよ。

ただ初代(夫の祖父)は玉島の出身でしたが、パン修業をするために大阪へ出て、当時あった「マルキ号製パン」で働いていたと聞いています。

「マルキ」の表記は「キ」を○で囲む

そしてアメリカ人のかたと知り合い、大正元年にそのかたといっしょに大阪でパン屋を開きました。
これが当店の創業となります。

そのとき、すでに現在の当店の一番人気の商品「ケシパン」を売っていたそうです。

築山製パン所:ケシパン
ケシパンの袋に書かれた「元 大阪マルキ号パン」の文言

現在のケシパンの袋に「元 大阪マルキ号パン」と書いてあるのは、そのためなんですよ。
この文言は、初代がこだわって付けました。

だから私もそのままにしています。

玉島でパン屋をすることになったのは、なぜ?

築山
戦時中に大阪が空襲を受け、当店も被災してしまったからです。
店は跡形もなくなったと聞いています。

そのため大阪のどこで初代が店をしていたのかも、現在はわかりません。

戦後、初代は故郷である玉島に帰省し、パン屋を再興させました。

それが、現在の築山製パン所です。
場所も今と同じところですよ。

夫の体調不良で店を代わりに運営することに

築山製パン所:工房
店を継ぐことになったのは?

築山
今(令和2年)から10年ほど前、夫が体調不良となり仕事ができなくなりました。

それから夫からお願いされて、代わりに私が店を運営することになったんです。

もともと店は手伝っていましたが、経営はノータッチでしたので、とまどいが大きかったですね。

病床の夫に口頭で少しずつ教えてもらいながら、なんとかやっていきました。

しかし、数年後に夫は帰らぬ人となったんです。

一時は廃業を考えていましたが、取引先のかたから「お客さんがやめないでほしいと言っているので、続けてほしい」という声をたくさんいただきました。

それに、夫もできるだけ続けてほしいと言っていたんですよ。

だから無理をしない範囲で、店を続けていこうと思いました。

現在は、娘も手伝ってくれています。

玉島のスーパーを中心にパンを卸す

築山製パン所:工房
卸が本業と聞いたが、どんなところへ卸している?

築山
玉島地区(旧 玉島市)を中心としたエリアです。

卸し先はスーパーマーケットが多いですね。
玉島地区内にあるスーパーに行くと、すべてではありませんが、置いている店は多いと思います。

あとは個人商店にも卸しているところがありますね。

最近は山陽自動車道・道口パーキングエリアにも卸しています。

パーキングエリアで買ったお客さんが当店のパンを気に入ってくれ、別の日にわざわざ当店まで買いに来てくれたこともありましたね。

あと、数店ですが倉敷地区や真備地区などにも卸している店がありますよ。

こしあんは創業時からのこだわりの味わい

築山製パン所:工房
商品や店を運営するうえで、こだわっていることを教えてほしい。

築山
一番守っていきたいなと思っているのが、こしあんの味ですね。

こしあんは当店の自家製で、創業時から味を守り続けているんですよ。

当店の一番人気のケシパンに入っているこしあんです。
ケシパンは創業時からあり、もちろんこしあんもそのときからつくっています。

お客さんからは「築山製パン所でしか楽しめない味」と好評です。

ケシパンのほかにも、「揚げパン」「あんパン」でも同じこしあんを使用しているんですよ。

ポイントは毎日3時間くらいかけて炊き上げていることと、当店独自の甘さの加減ですね。

築山製パン所:工房
今後の抱負や展望、やってみたいことは?

築山
正直、先のことはわかりませんね(笑)。

なので一年一年、目の前のことをやっていくこと。
それと、やれることをやっていくことではないでしょうか。

味も見た目も懐かしい築山製パン所のパン

築山製パン所のパンは、店の外観やパンのパッケージ、パンの味わいなどがとても懐かしい雰囲気です。

素朴ながら、もうひとつ欲しくなるようなパンは、また買いに来たくなります。

私もケシパンは大好きで、たまに店で見かけたら数袋買ってしまうほどです。

玉島のソウルフードといってもいい、築山のパン。

大正元年創業で100年以上の歴史があるのも驚きです。

長い歴史と懐かしい味わいのパンを、ぜひ長く続けていってほしいと思います。

築山製パン所のデータ

築山製パン所:外観
名前築山製パン所
住所岡山県倉敷市玉島中央町1丁目5-8
電話番号086-522-3608
駐車場なし
営業時間午後1時〜午後3時
定休日水、日、祝日
支払い方法
  • 現金
予約の可否
電話にて商品の取り置き可能
座席なし
タバコ
トイレ
子育て
バリアフリー
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アサノ ・ヨウスケ

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フリーランスの取材・インタビューライター、フォトライター。地域の文化・地理・歴史・食べ物などに精通。企業の社員インタビューや事例紹介、採用コンテンツも。地域情報サイトも運営。
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築山製パン所:ケシパン

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