生そば茶屋 藏座庵(ぞうざあん)～ 真備町でみんなが集まれる場所を提供する、蔵を改装したおそば屋さん

蔵座庵の店主にインタビュー

お蕎麦のこだわりについて

お店のおすすめやこだわりについて教えてください。

店主

北海道産のそば粉を調達して、自分が一番美味しいと思う十割そばにこだわっています。

実際そば粉は小麦粉より高く、原価を考えると現在の価格は厳しいです。

わざわざこの真備町の自分の店まで来てくださるのがありがたいので、お店で出す価格については、できるだけ頑張れるところまで頑張っていこうと思っています。

平成30年7月豪雨についての状況や現在の心境

平成30年7月豪雨災害当時の状況や心境を教えて下さい。

店主

2018年7月6日の夜、避難勧告が発動されて、真備町川辺の友人が真備総合公園まで車で避難するのに約3時間かかったそうです。避難したくてもできないほどの大渋滞になっていました。

自分は幸い自宅も店も浸水被害にはあってません。

そんな時、自分ができることはこれだけの厨房施設が整っているということで、炊き出しでした。

まずは、自分の母親も入っている老人ホームの施設、そして近くの福祉支援施設へ炊き出しを行いました。

各施設の厨房施設が復旧したら、次は真備町内の友人のために炊き出しを行いました。

災害直後は真備町内で食材の調達はできなかったため、岡山市に住んでいる友人たちが食材を集めて持ってきてくれました。

持つべきものは友と感じました。

本当にみんなに助けられましたね。ひととひととのつながりに感謝しています。

真備町内でもひとによって被災状況が違いますが、町全体で協力しあっていけたらいいなと思います。

今後の営業について、これからについて

豪雨災害の前は平日も営業されていて、私も2017年7月のオープン当初から何度もお店にお伺いしたことあるのですが、今後の営業形態について教えて下さい。

店主

基本的にこのそば屋については土日祝日の昼間、午前11時～午後2時半で続けていきたいと思っています。

平日の昼間ついては3,500円～のコースにて8名様以上、夜の営業については3,500円～のコースにて4名様以上のご予約で貸し切り営業しますので、お電話でご相談ください。

豪雨災害後、今まで平日は被災した仲間の手伝いをしていましたが、真備町箭田のコンテナで、平日の月曜日～木曜日限定で昼間はラーメン屋を新たに始めようと準備をしています。

そうなんですか！それは気になります。でも、なぜ新たにラーメン屋も始められるのですか？

店主

2018年11月現在、真備町はお客さんが外から気軽に入ってくる環境ではないですよね。

そばだとハードルが高く感じるひともいるので、ボランティアの人や真備町外、町内の人みんなが集まれる場所を作って、提供したいと思ったからです。

2018年10月、真備町内のスーパーが再開しましたが、2018年7月以前と同様のお客さんは来ないのではないかと思っていました。

けど実際は、駐車場に車が停めれないほどたくさんの人が集まりました。

現在は仮設住宅に住んでいる、知り合いのおばあちゃんに会ったので話を聞いてみると、

「今は近所に話ができるひとがいないけれど、ここに来れば真備町のひとたちと会って話ができるから来たのよ」

と言われました。
なるほどなぁと、納得しましたね。

みんなが集まって話せる場所が少ないので、真備町のひとたちが集まれる場所の必要性をより強く感じ、店を続けていきたいと思いました。

そして、支援してくれた友人や県内外の人たちにも来てもらい、少しでもお返しをしたいと考えています。

インタビューを終えて

地元の復興へ少しでも貢献できればと強い意志を持って行動されている藏座庵の店主さん。

豪雨災害の前に比べて、2018年11月現在、真備町の4割のひとのほとんどが真備町外の仮設住宅で生活をされており、まだ多くの支援が必要な状況です。

だからこそ、真備町の「今」を伝え、より多くのひとに関心をもってほしいと改めて感じました。

そして、地元に対する深い想いをもった店主がもてなす、おそば屋さんがあることを多くの方に知ってもらい、足を運んで欲しいと思いました。

築100年以上のレトロな雰囲気で味わえるおそばを食べに、「生そば茶屋 藏座庵」さんへぜひ寄ってみてくださいね。