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倉敷市立美術館 ~ 作品を観るだけでなく、市民の発表の場として、子どもの教育の場としての機能がある“生涯学習施設”

倉敷市立美術館 ~ 作品を観るだけでなく、市民の発表の場として、子どもの教育の場としての機能がある“生涯学習施設”

観とこ / 2023.03.19

倉敷駅から徒歩10分のところにある、倉敷市立美術館

重厚な建物が特徴的な倉敷市立美術館は、倉敷市立中央図書館倉敷市立自然史博物館とともに、倉敷市の文化施設ゾーンを形成しています。

倉敷市には文化施設が多くありますが、倉敷市立美術館はどのような施設なのでしょう。

倉敷市立美術館のコンセプトや活動内容、収蔵作品についてなどを取材しました。

倉敷市立美術館内は、展示作品によって撮影禁止の場合があります。詳細はスタッフに確認をお願いします。

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記載されている内容は、2023年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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倉敷市立美術館のデータ

建築物としての「倉敷市立美術館」
名前倉敷市立美術館
所在地倉敷市中央2丁目6番1号
電話番号086-425-6034
駐車場なし
開館時間午前9時~午後5時15分(最終入館:午後4時45分)
休館日
・月曜が祝日の場合は、翌日に休館
・年末年始は休館
・そのほか、臨時休館する場合があり
入館料(税込)【個人】
一般:210円
大学・高校生:100円
中学・小学生:50円

【団体】
一般:150円
大学・高校生:70円
中学・小学生:30円

以下はコレクション展を無料で鑑賞できる
・いきいきパスポートまたは生徒手帳を提示した倉敷市内の小・中学生
・高梁川流域パスポートを提示した小学生(平日を除く)
・先生に引率されて鑑賞する倉敷市内の小・中学校の児童生徒(引率する先生を含む)
・65歳以上のかた
・障がいのあるかたと付き添いのかた1名(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健手帳を提示)
※特別展鑑賞料は別途設定
支払い方法
  • 現金
予約について
タバコ
トイレ
子育て
バリアフリー
ホームページ倉敷市立美術館

倉敷市立美術館とは

倉敷市立美術館_外観2

倉敷市立美術館は1983年に開館しました。

旧倉敷市役所庁舎を再利用してできた市立美術館です。

倉敷市役所の移転と作品寄贈が、美術館開館のきっかけに

建物ができたのは1960年。

日本で「世界のタンゲ」と呼ばれた、建築家の丹下健三(たんげ けんぞう)が設計しました。

倉敷市役所として20年間使われていましたが、のちに現在の市役所庁舎への移転が決まります。

倉敷市は、移転後に建物を再利用する方法はないかと考えはじめました。

同じころ、倉敷市出身の日本画家・池田遙邨(いけだ ようそん)が、倉敷市へ自身の作品を約500点寄贈したのです。

池田遙邨の作品を管理するためにも、旧市役所庁舎での美術館開館を検討するようになりました。

美術館としての再利用にあたり、倉敷市出身の建築家・浦辺鎮太郎(うらべ しずたろう)が改築することに。

そして1983年11月3日、倉敷市立美術館が開館しました。

当時の名称は、「倉敷市立展示美術館」。

「倉敷市立美術館」となったのは、開館から4年後の1987年でした。

展覧会の開催だけではない、倉敷市立美術館の活動

倉敷市立美術館の活動は、大きく分けて3つあります。

  • 展覧会
  • 教育・普及
  • レンタルスペース

▼1つ目は展覧会です。

展覧会
  • 特別展
  • コレクション展

「美術館の活動」と聞いて、とくにイメージしやすいのは展覧会の開催ではないでしょうか。

倉敷市立美術館では独自の企画展のほか、共同主催で開催する「倉敷美術展」「倉敷っ子美術展」などの展覧会を開催しています。

▼2つ目は、教育・普及活動です。

教育・普及
  • 展覧会関連イベント
  • 美術教養講座
  • 美術実技講座
  • 大学との連携

作品について深く知ったり、美術について学んだりできます。

例えば美術実技講座では、半年間を1期として、水彩画・日本画・石膏デッサン・石版画・銅版画のコースを設置。

初心者はもちろん、石版画・銅版画では経験者を対象とした中級コースがあります。

▼3つ目は、レンタルスペースの貸出です。

レンタルスペース
  • 展示室
  • 講堂
  • 会議室

誰でも借りられ、発表の場として使う市民が多いといいます。

展示室では作品発表の場として、講堂ではピアノの発表会をおこなう場として、会議室では学習発表の場としてなど、使い方はさまざまです。

郷土ゆかりの作家を中心とした、倉敷市立美術館のコレクション

倉敷市立美術館の特徴は、コレクション数の多さです。

なんと11,000点以上の美術作品や資料を収蔵しています。

収蔵作品の中心は、郷土ゆかりの作家が手がけたもの。

日本画・洋画・素描・彫刻・工芸など、多岐に渡るコレクションを管理し、ときには修復もしているのです。

倉敷市立美術館の収蔵作品を、一部紹介します。

池田遙邨「森の唄」

倉敷市立美術館 提供
写真提供:倉敷市立美術館

倉敷市立美術館開館のきっかけにもなった池田遙邨の代表作が、「森の唄」です。

倉敷市立美術館のリーフレットにも使用されています。

池田遙邨は、日本画の画家として活動していました。

日本画と聞くと高尚なイメージがあるかもしれませんが、池田遙邨の作品には遊び心を感じます。

「森の唄」はとくに親しみやすく、絵本のイラストのようなかわいらしさがあり、子どもも大人も楽しめる作品です。

池田遙邨「幻想の明神礁」

倉敷市立美術館 提供
写真提供:倉敷市立美術館

池田遙邨の作品でもう1点紹介するのは「幻想の明神礁」。

海底火山が噴火したニュースを見て、イメージを膨らませながら描いた作品といわれています。

噴火している山の周りには、飛行機や人魚、タツノオトシゴなどが。

噴火の悲惨さではなく、ポップで楽しげな描き方が特徴の作品です。

池田遙邨の作品を観ると、伝統的な日本画というより、常に新しい表現を追求して日本画を描く作家だったと予想できます。

1987年に文化勲章を受章した、日本を代表する画家の1人です。

稲葉春生「芍薬」

倉敷市立美術館 提供
写真提供:倉敷市立美術館

池田遙邨が描くような作品がある一方で、倉敷市立美術館には伝統的な日本画も多く収蔵しています。

その1つが、稲葉春生(いなば しゅんせい)の「芍薬(しゃくやく)」です。

淡い色使いのなかでも芍薬の花の色につい目を移してしまいます。

「芍薬」は、倉敷市立美術館館長の坂田卓司(さかた たくし)さんが好きな作品の1つだそうです。

収蔵作品は「コレクション展」で鑑賞できる(不定期)

倉敷市立美術館のコレクションに興味を持ったら、不定期で開催されるコレクション展に行くのがおすすめです。

常設展示室がない倉敷市立美術館では、常にコレクションを鑑賞できるわけではありません。

コレクション展開催に合わせて、倉敷市立美術館を訪れてみましょう。

取材した日は、「コレクション展『新収蔵作品を中心に』」の開催中でした。

紹介した3作品は鑑賞できませんでしたが、池田遙邨の他の作品を含む50作品を鑑賞。

改めて、収蔵作品の幅の広さを感じました。

池田遙邨「写生帖『丘の道』スケッチ」
池田遙邨「写生帖『丘の道』スケッチ」
池田道夫「河畔静物」
池田道夫「河畔静物」
左から、王冶梅「山水図」、森寛斎「梅花図」、森寛斎「梅花山水図」、伝狩野常信「冨士図」
左から、王冶梅「山水図」、森寛斎「梅花図」、森寛斎「梅花山水図」、伝狩野常信「冨士図」
左から、小河原虎吉「飴釉地掛筒描絵皿」、小河原虎吉「黒釉抜紋注瓶」
左から、小河原虎吉「飴釉地掛筒描絵皿」、小河原虎吉「黒釉抜紋注瓶」
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倉敷市内すべての小学校・中学校が参加「倉敷っ子美術展」

さらに取材日には、教育・普及活動の1つ「倉敷っ子美術展」を開催していました。

2022年度で37回目を迎えています。

学年の違いはあれど、倉敷市内すべての小学校・中学校が参加する美術展です。

展示スペースをすべて生かし、児童・生徒の作品がずらりと並ぶようすは圧巻でした。

子どもたちの作品を観続けている館長の坂田さんは「作品のレベルが毎年上がっている」と感じたようです。

倉敷市立美術館_倉敷っ子美術展1
倉敷市立美術館_倉敷っ子美術展2
倉敷市立美術館_倉敷っ子美術展3

もちろん、建物としての魅力も

倉敷市立美術館は、建物自体も魅力の1つです。

2020年には国の登録有形文化財に認定されました。

エントランスに一歩足を踏み入れると、重厚かつ開放的な空間が広がっています。

階段下から2階にある展示室入口を見上げると、丹下建築ならではの独特な作りと感じられるでしょう。

館長の坂田さんは「丹下さんが残した建物を、大切に守っていきたい」と話しています。

エントランス内の階段

このように、さまざまな楽しみ方ができる倉敷市立美術館。

職員のかたがたはどのような思いで運営しているのでしょうか。

倉敷市立美術館 館長の坂田卓司さんと、学芸員の杉野文香(すぎの ふみか)さんに話を聞きました。

インタビューを読む

倉敷市立美術館のデータ

建築物としての「倉敷市立美術館」
名前倉敷市立美術館
所在地倉敷市中央2丁目6番1号
電話番号086-425-6034
駐車場なし
開館時間午前9時~午後5時15分(最終入館:午後4時45分)
休館日
・月曜が祝日の場合は、翌日に休館
・年末年始は休館
・そのほか、臨時休館する場合があり
入館料(税込)【個人】
一般:210円
大学・高校生:100円
中学・小学生:50円

【団体】
一般:150円
大学・高校生:70円
中学・小学生:30円

以下はコレクション展を無料で鑑賞できる
・いきいきパスポートまたは生徒手帳を提示した倉敷市内の小・中学生
・高梁川流域パスポートを提示した小学生(平日を除く)
・先生に引率されて鑑賞する倉敷市内の小・中学校の児童生徒(引率する先生を含む)
・65歳以上のかた
・障がいのあるかたと付き添いのかた1名(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健手帳を提示)
※特別展鑑賞料は別途設定
支払い方法
  • 現金
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タバコ
トイレ
子育て
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こあ(小溝朱里)

こあ(小溝朱里)

岡山市在住のフリーライターです。21年5月に岡山へ引っ越してきた、新米岡山県民。倉敷のことをもっと知りたくて「くらとこ」ライターになりました。訪れた先の雰囲気や、取材先のオンリーワンな魅力を丁寧に伝えていきます!

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