「チルドレンズ・アート・ミュージアム」通称「チルミュ」は、毎年8月に開かれる、大原美術館恒例の夏のアート祭り。
子供がアートに親しみやすいように、さまざまな工夫を凝らしたプログラムが行われます。
子供だけでなく老若男女が楽しめる、アートイベントなんです。
美術館が初めてだという小学3年生の「岡山歌っ子すずちゃん」と、チルミュに参加してきました。
記載されている内容は、2019年9月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
大原美術館 チルドレンズ・アート・ミュージアム2019のデータ
名前 | 大原美術館 チルドレンズ・アート・ミュージアム2019 |
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期日 | 2019年8月24日(土)〜8月25日(日) 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) ※プログラムにより開催時間が異なる |
場所 | 岡山県倉敷市中央1-1-15 |
参加費用(税込) | 大人:1,500円 高校生:500円 中学・小学生:250円 (倉敷市内の中学・小学生は「いきいきパスポート」持参で無料) |
ホームページ | チルドレンズ・アート・ミュージアム2019 |
チルドレンズ・アート・ミュージアム(チルミュ)について
チルドレンズ・アート・ミュージアム(チルミュ)とは?
「チルドレンズ・アート・ミュージアム」は、大原美術館が開催している、夏のアート祭りです。 略して「チルミュ」と呼ばれます。
2002年から毎年8月に催され、2019年で18回目を迎えました。
アートの世界に気軽に親しめて、楽しい企画が盛りだくさん!
大原美術館のスタッフだけでなく、博物館学実習生・ボランティアスタッフ・高校生や大学生の有志スタッフも大勢参加する、一大イベントです。
たくさんの人が関わり活躍することで、より能動的にアートに触れ、美術館が創造的・実験的な場となっています。
2019年は8月24日(土)〜8月25日(日)に開催されました。
また2019年は、以下の施設も特別協力。
倉敷美観地区が活気にあふれていました。
チルドレンズ・アート・ミュージアム(チルミュ)の参加料金
区分 | 料金(税込) |
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倉敷市内の小・中学生 | 無料 |
小・中学生 | 250円 |
高校生 | 500円 |
大学生 | 800円 |
大人 | 1,300円 |
小・中学生はいつもの半額、250円で美術館に入館できます。 当日中に限り各倉敷市内の小中学生は、学校で配布されている「いきいきパスポート」持参で無料に!
チルミュ参加者にはリストバンドが渡されます。
リストバンドを見せることで、当日中に限り本館、分館、工芸・東洋館に再入館できます。
チルミュ2019のプログラム
2019年は以下のプログラムが開催されました。
プログラム名 | 場所 | 参加費(税込) |
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わたしの大原コレクション | 本館アトリウム | 300円 |
アイ・ビー・ビジュツカン(I Be 美術館) | 本館アトリウム | 無料 |
美術館トビラ探検隊 | 本館アトリウム2階 | 無料 |
対話型作品鑑賞ツアー | 本館1室 | 無料 |
五・七・五で絵さがし遊び | 本館2室 | 無料 |
光のマジック~シャイニング卵~ | 本館6室 | 無料 |
あつまれ!みんなのラッキーカラー | 本館7室 | 無料 |
みんなで描こう!モネの睡蓮 | 工芸・東洋館中庭 | 無料 |
SUKI♡SUMI! | 工芸・東洋館中庭 | 200円 |
東洋館ぬりえ | 東洋館出口 | 無料 |
カラダで感じる♥美術館 | 東洋館出口 | 200円 |
ダンスワークショップ 野外彫刻とあそぼう! |
分館前芝生 | 無料 |
物語づくり | 分館1室 | 無料 |
うちわDEアート | 分館3室 | 100円 |
大原美術館SNS人気投票2019 | 本館出口 | 無料 |
公開研究会「チルミュ観察ツアー」 | 本館前 | 無料 |
ミュージアムお遍路 | 本館前 | 無料 |
銅鏡づくり | 倉敷考古館 | 1,000円 |
ドキ土器スタンプバッグ | 倉敷考古館 | 200円 |
大原美術館へGo!
わたしたちは、初日の開場と同時に大原美術館へ。
すずちゃんは「このタイトルはなんて読むの?」「なんで髪って題なんだろう?」と、館内の作品に興味津々!
いくつかのプログラムに参加しながら、会場を巡りました。 参加したプログラムを紹介します。
アイ・ビー・ビジュツカン(I Be 美術館)
色画用紙に将来の夢などを書いて、大原美術館の石塀を覆うアイビーに飾ります。
カラフルに彩られた美術館の外塀が、道行く人たちの関心を引いていました。
対話型作品鑑賞ツアー
スタッフさんと子供たちが対話しながら、大原美術館の作品を鑑賞します。
例えば、マイヨールの「イル=ド=フランスのトルソ」という彫刻作品。
- 何に見える?
- なぜ人間の女の人だと思った?
- どんな形?
- 若い人かな?
- 足はどんな形だろう?
- 手はどんなポーズだと思う?
- 顔の向きはどうかな?
- どんな表情だろう?
- 何をしているところだと思う?
- こうかな?と思うポーズをとってみよう
- どんな気持ちになった?
上のような質問を受けて、子供たちが感じたこと考えたことを答えていきます。
「手は少し後ろかな」
「真顔だと思う」
「走ろうとしているところかも」
対話することで、ただ見るだけより作品を深く見つめられました。他の人がどう感じたのか比べられておもしろいですね。
彫刻と同じポーズをとって、どんなシーンなのか考えているところ。悲しいのかな? 楽しいかな? 悩んでいるのかな?
五・七・五で絵さがし遊び
渡された紙には、ある作品を見て書かれた川柳が5つ。 どの作品のことを歌っているのか、探す遊びです。
何が描いてあるんだろう? と作品を見ながら、部屋を歩き回ります。
答え合わせのあとは、好きな作品を一つ選び、自分なりの五・七・五を考えます。
好きな作品として、ピカソ『頭蓋骨のある静物』を選んだすずちゃん、あっというまに一句完成! 楽しかったようで、さらに1作品選んでもう一句詠みました。
その後も、別の作品を見ては、描かれているものを見つめて自主的に五・七・五を詠んでいましたよ。
あつまれ! みんなのラッキーカラー
おみくじを引き出てきたラッキーカラーのシールを貼って、みんなで作品を作ります。
撮影時はまだイベントが始まったばかりの時間でした。チルミュが終わるときには、どんな作品になっているのでしょう。
新渓園の庭で休憩
大原美術館敷地内にある新渓園には、緑が茂っていました。
ベンチもあるので、ちょっとした休憩にぴったり。しばし鯉を眺めます。
大原美術館SNS人気投票2019
お気に入りの作品をSNSに投稿するとオリジナル缶バッジがもらえます。
壁には、大原美術館を代表する作品がプリントされた大型布。
通常は、館内では撮影できません。作品といっしょに写真が撮れるのは嬉しいですね。
物語づくり
つづいて、大原美術館 分館へ。
作品を見て、自由に物語をつくります。
できた物語が掲示されていて、同じ絵でも考える人によって全く違う話が生まれるのがおもしろい!
例えばこんな物語ができあがっていましたよ。
作者・タイトル | どんな絵 | 参加者が作った物語 |
---|---|---|
小出楢重(こいで ならしげ) 『支那寝台の裸婦(Aの裸女)』 |
裸婦が横たわる絵 | 男性にもてあそばれた女性。もうすべてが面倒だ、と嘆く。 |
前田寛治 『二人の労働者』 |
2人の男性がこちらを見ている絵 | 出稼ぎ先で出会った友人たちが、いつもの場所で会う。しかし一方が、「今日が最後かもしれない」と伝える。 |
マジシャンと小説家。『おっさんずラブ』を見て会社勤めに憧れ、職業紹介所にやってきた。 |
すずちゃんは高村光太郎の『腕』という彫刻作品を見て、「ちからもち」の男の人のお話をつくりました。
うちわDEアート
作品が印刷された紙を使って、コラージュしてうちわをつくります。
ホドラー『木を伐る人』より、大きく描かれた男性を切り取ったすずちゃん。 どうするのかなと思っていたら、途中で折返し、うちわの裏表を使って大胆に配置。
絵の力強さが活きている、かっこいいうちわが完成!
スタッフのかたは、「子供たちは自分の作品が完成して嬉しそう。その顔を見るのが楽しい」とお話しされていました。
倉敷考古館へ
つづいて、遺跡の多い吉備地方の調査や研究をしている「倉敷考古館」へ。
ドキ土器スタンプバッグ
土器や古墳のスタンプを押して、オリジナルバッグを作ります。
スタッフさん手作りの、倉敷考古館オリジナル消しゴムはんこが、かわいい!
きれいに押すコツなど丁寧に教えてもらって、カラフルな力作バッグができあがりました。
周りを見渡すと、1色でシックにまとめている人や、グラデーションを作っている人など、個性豊かなバッグができていましたよ。
歴史を身近に感じられそうです。
感想
楽しいプログラムがたくさんある、チルドレンズ・アート・ミュージアム(チルミュ)。
駆け足気味に回りましたが、それでも3時間ほどの取材時間では行きたいところを回りきれず、すずちゃんは取材後にもワークショップに参加したようです。1日しっかり楽しめます。
会館前から子供たちが待ちきれないようすで美術館の前に並び、会場内が楽しそうな笑顔でいっぱいなのが、印象的でした。
チルミュの案内は子供が読みやすいようやさしい言葉で書かれていて、子供たちが自らアートの世界に飛び込んでいけるようになっています。
ふだん「美術館は堅苦しいのでは」「行きたいけれど、子供たちとどう楽しんでいいかわからない」と思っている人でも、気軽に楽しめます。
すずちゃんが楽しんでいたのはもちろん、すずちゃんのお母さんも感動していました。
美術館好きな著者も、新鮮な気持ちでアートと向き合えて、大満足!
「みんなにアートに親しんでほしい」という大原美術館の思いが結集した、素敵なイベントでした。
最後に、「五・七・五で絵さがし遊び」のスタッフさんが言われていた言葉を紹介しましょう。
「アートの感じかたに、正解はないんです。見た人がそう思ったなら、それでいいんですよ」
子供も大人も、アートが好きなかたも、特にそうでないかたも。幅広い人が楽しめる、夏のお祭り。 ぜひ次回のチルミュに参加してみてください。
大原美術館 チルドレンズ・アート・ミュージアム2019のデータ
名前 | 大原美術館 チルドレンズ・アート・ミュージアム2019 |
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期日 | 2019年8月24日(土)〜8月25日(日) 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) ※プログラムにより開催時間が異なる |
場所 | 岡山県倉敷市中央1-1-15 |
参加費用(税込) | 大人:1,500円 高校生:500円 中学・小学生:250円 (倉敷市内の中学・小学生は「いきいきパスポート」持参で無料) |
ホームページ | チルドレンズ・アート・ミュージアム2019 |