「日本遺産」を知っていますか?
倉敷市では、以下3つの日本遺産ストーリーが認定されています。
- 一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~
- 荒波を超えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~
- 「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語~
2023年2月に「くらしき日本遺産検定」を受験した筆者。
「もっと倉敷の日本遺産について知りたい!」と思っていたところに見つけたこのイベントに参加してきました。
このイベントでは、児島で古くから続く産業の担い手の熱い思いを感じられました。
さっそく紹介します。
記載されている内容は、2023年5月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
日本遺産を手がかりに児島の産業の未来を語る
倉敷市日本遺産推進室が主催する本イベントは、令和2年度からおこなわれてきたリレーシンポジウムの5回目。
「継承と確信の融合が児島の未来を創る」をテーマに、令和5年3月19日午後1時~3時に児島市民交流センター交流棟でおこなわれました。
内容は以下のとおり。
オープニング・落語 | ジャンボ亭小なん氏(岡山弁落語家) |
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基調講演 | 講師 髙田尚志氏(髙田織物株式会社 代表取締役) |
パネルディスカッション | 【コーディネーター】 正田順也氏(株式会社なんば建築工房 代表取締役社長) 【パネリスト】 髙田尚志氏(髙田織物株式会社 代表取締役) 前畠眞澄氏(三冠酒造有限会社 七代目) 片山倖恵子氏(株式会社ショーワ) |
倉敷・児島の産業の担い手が次々に登壇
まずは前座として、ジャンボ亭小なんさんの軽快な岡山弁落語から。
有名な落語「ときそば」を児島風にアレンジ。
緊張感のあった会場に笑いの声が広がります。
会場が温まったところで、髙田織物株式会社の髙田氏の基調講演がスタート。
「繊維のまちの源流を紐解く」と題し、どのようにして唐琴地区に畳縁産業が広がっていき、これからどのようにありたいかという展望を語りました。
最後はパネルディスカッション。
児島の産業を古くから担う、以下の4社が登壇。
- 株式会社なんば建築工房
- 髙田織物株式会社
- 三冠酒造有限会社
- 株式会社ショーワ
衣・食・住の観点からこれからの自社が担う産業についての展望を語りました。
スタートは軽快な岡山弁落語から
リレーシンポジウムのトップバッターは、ジャンボ亭小なんさんの岡山弁落語です。
実は、平日は倉敷市観光課の職員として働く公務員。
ジョークを交えながらこのイベントの前座を担当することになった経緯を語り、会場の笑いを誘います。
席の中ではところどころに児島の名産品がちりばめられていました。
「このそば、堅いのう…まるで真田紐みたいじゃなぁ!」
堅いそばの麺を児島の名産品「真田紐」とたとえるセンスに、会場の空気は一気に盛り上がりました。
「ときそば」は何度も聞いたことがある内容でしたが、岡山弁や児島風にアレンジされた内容で聞くと親しみやすさやおもしろさが増すな、と感じました。
なぜ児島の繊維産業は生まれ、どのようにして生き残ってきたのか
髙田氏の基調講演では、繊維産業、とくに畳縁が児島に根付いていった背景を日本遺産と重ね合わせて語られました。
大学卒業時、畳縁の認知度が低いことに課題を感じた髙田さん。
既存の畳縁の販売方法だけでなく、タイアップや文房具・ハンドメイドの展示会にも出店します。
今では100円ショップでも畳縁が見られるようになりました。
新たなものが生み出されては廃れていくなかで繊維産業が形を変えて生き残ってきたように、畳縁のあり方も時代に合わせて変化をしながら生き残っていく。
「国民の10人に1人が畳を知っていることが目標」
そのように語る髙田さんには、日本にとどまらず、海外にも畳縁を広げていくというビジョンが見据えられていました。
筆者も髙田織物さんの製品が駅や倉敷の各所で売られているのを見たことがあります。
また髙田織物さんが手がけている畳縁のファクトリーショップ「FLAT(フラット)」の存在も知っていましたが、それは「畳縁をどうすれば知ってもらえるか」を追求した賜物であったことに気づかされました。
衣・食・住からみる児島―これからどうありたいか
最後のパネルディスカッションでは、衣・食・住を児島から支えてきた会社のこれからを担うパネリストたちが、思いを語りました。
なかでも「今後目指したいものは?」というテーマでは、登壇者それぞれが担う産業から展望する「その先」を語りました。
- ものを興していくうえで次につなげまったく新しいものを確実に届ける
- お酒づくりを通して人と人とをつなぐツールづくりをしていきたい
- 肌に触れるものだからこそ繊維のもつ力を信じ『生地で世界に感動を与えたい』
おわりに
このイベントに参加して感じたのは、これからの児島を担う若い世代が「自分たちが興していく」という強い気持ちで新しい挑戦を続けられている姿の頼もしさです。
今まで日本遺産の歴史的背景と今が線でつながらないと筆者は感じていたのですが、そこでようやく「児島が持つ歴史的背景と今とのつながり」が目に見えるようになりました。
「地域とともにあること」
形を変えても児島の産業が姿を残し続けているのは、そんな強い児島への思いなのかもしれません。
ぜひ「今の児島の産業の姿」を体感しに児島を訪れてみませんか?
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倉敷市日本遺産リレーシンポジウムのデータ
名前 | 倉敷市日本遺産リレーシンポジウム |
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期日 | 令和5年3月19日(日)13時~15時 |
場所 | 〒711-0913 岡山県倉敷市児島味野2丁目2-38 |
参加費用(税込) | 無料 |
ホームページ | 倉敷市日本遺産リレーシンポジウム~歴史と文化とまちづくりをつなぐ日本遺産の役割/日本遺産推進室/倉敷市 |