令和8年度 企業学び楽舎講座(2026年6月12日開催)~ 倉敷のしごとを見て、聞いて、体験して、はたらく選択肢を増やす体験型授業

私たちが住んでいる街には、どのような企業があり、どのような人が働いているのでしょうか。

中学生・高校生にとって、地域の企業について知る機会は意外と多くありません。授業内で取り上げることはあっても、企業と直接交流できる機会は限られているからです。

倉敷市では、地域の企業が中学校・高等学校に訪問し、企業が直接仕事の魅力を伝える体験型授業企業学び楽舎講座」を実施しています。

筆者は、2026年6月12日(金)に岡山県立倉敷古城池高等学校(以下、「倉敷古城池高等学校」と記載)で行われた講座を取材してきました。当日の様子を紹介します。

記載されている内容は、2026年7月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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「企業学び楽舎講座」とは

令和8年度企業学び楽舎講座の様子
令和8年度企業学び楽舎講座の様子

企業学び楽舎講座は、倉敷市・早島町内の中学校、高等学校で実施している体験型授業です。

地域の企業が講師となり、中高生に多種多様な仕事の魅力を伝えています。単なる座学にとどまらず、現場で働く大人と交流ができたり、実際の仕事を体験できたりすることも大きな特徴です。

倉敷市キャリア教育推進事業の取り組みの一つとして開催されています。

倉敷市キャリア教育推進事業
若いうちから職業観の育成やワークルール等の理解の促進を図るため、中学校及び高等学校へ社会保険労務士やキャリアコンサルタント等の専門家を派遣し、働くことの知識やルール等について学ぶ「基礎講座」と、地元企業の良さや魅力を知ってもらい、将来の地元就職につなげるため、地元企業が学校へ出向き、生徒が実際の作業を体験する「企業学び楽舎講座」を実施しています。

引用元:倉敷市公式ホームページ
つくる〜人への投資〜 倉敷市キャリア教育推進事業

2026年度は23回実施される予定です。

筆者は、6月12日(金)に倉敷古城池高等学校で開催された「企業学び楽舎講座」を取材しました。当日の参加企業は以下のとおりです。

  • <医療>水島協同病院
  • <社会福祉・介護>株式会社創心會
  • <飲食サービス>株式会社ふるいち
  • <旅行業・観光資源開発>株式会社よしゐ屋BASE
  • <電気機器等卸売業>株式会社江口電機
  • <建設業・地域資源活用>株式会社イシダ工務店
  • <製造業(製鉄設備)>株式会社シンニチロ
  • <製造業(振動制御)>倉敷化工株式会社
  • <製造業(鋳造)>株式会社アキオカ
  • <繊維業>菅公学生服株式会社
  • <経営(アントレプレナーシップ)>起業ラボ
  • <まちおこし>MPM Lab.
  • <教育・福祉>水島こども食堂ミソラ♪
  • <環境保全>公益財団法人みずしま財団
  • <金融業>水島信用金庫

MPM Lab.、水島こども食堂ミソラ♪、公益財団法人みずしま財団、水島信用金庫は、倉敷古城池高等学校が独自に声を掛けた参加企業(団体)です

当日の様子

企業学び楽舎講座を受講するのは高校1年生です。生徒は気になる授業を2つ受講できます。

せっかくなので、筆者はさまざまなブースを見学させてもらいました。

<医療>水島協同病院

水島協同病院の授業では、「患者をどのように助けるのか」を分かりやすく劇のように伝えていました。

水島協同病院の授業の様子

古城池さんという患者を例に挙げて、病院ではどのようなケアが行われているのかを職種毎に丁寧に説明をしていきます。

水島協同病院の授業の様子

病院で働く人と言えば、医者や看護師を思い浮かべるかもしれません。しかし、患者に関わる仕事はもちろんそれだけではなく、薬剤師や管理栄養士、歯科衛生士など、さまざまな医療職が集まっています

水島協同病院の授業の様子

それぞれの専門分野を生かしながら連携し、チームで患者を支えていることが分かります。

病院には多くの職種が関わっていること、そして各職種がそれぞれ担っている役割について学べる授業でした。

<社会福祉・介護>株式会社創心會

株式会社創心會は、子ども支援・障がい支援・介護支援・まちづくりといった事業を展開している企業です。0歳から100歳まで、全世代の健やかな暮らしを支えています。

授業は体育館で行われており、以下3つのブースに分かれていました。

  • 車いすに乗る/押す
  • ビジョントレーニング
  • 作業療法士について学ぶ

車いすの体験ブースでは、にぎやかな声が上がっていました。めったに乗る機会のない車いすに試乗し、「すごい!」とテンションが上がる生徒がいる一方で、車いすを押している生徒は「角を曲がるのが難しい!」と苦戦しています。

車椅子を体験する生徒2名

見る力を鍛えるビジョントレーニングでは、大きな声でじゃんけんが行われていました。どうやら生徒たちは、後出しをしてスタッフにわざと負けないといけないようです。

目で見た情報を頭で処理し、即座に体を動かす一連のトレーニングは、介護予防や子どもの発達促進など、幅広い世代に効果があるそうです。

ビジョントレーニング
ビジョントレーニング

作業療法士について学べるブースでは、作業療法士の仕事内容や働く環境について、丁寧な説明がありました。福祉や介護の現場で、作業療法士が欠かせない存在であることが分かります。

作業療法士について学ぶ

体験する学びと聞く学びがバランス良く、生徒も楽しそうに取り組んでいた授業でした。

<製造業(振動制御)>倉敷化工株式会社

倉敷化工株式会社の教室では、紙を使った工作を通じて、建物の免震構造を学ぶ授業をしていました。

倉敷化工の授業の様子

紙やペットボトルキャップなどを使い、4種類の免震モデルを作っていきます。きれいな形を作れるように、グループ毎に協力しながら作業を進めていました。

倉敷化工のグループワーク

完成すると、担当者から「揺れを防ぐ技術は、制震せいしん・免震・耐震の大きく3種類があります」と説明がありました。目の前の作品を揺らして、それぞれの振動の特徴を学びます。

完成した作品を揺らして、揺れの大きさを比較する
完成した作品を揺らして、揺れの大きさを比較する

「みなさんがいる校舎にも、揺れを防ぐ工夫があります」と言われて、生徒が一斉に窓の外をのぞきます。窓から見える校舎の壁には、補強するような斜めの柱がありました。

私たちの身近なところで、揺れを抑えるさまざまな工夫があることが分かります。

校舎の窓から見えた免震構造
校舎の窓から見えた免震構造

普段生活する中で「揺れ」を意識する場面は少ないかもしれません。しかし、車や建物の細かな振動を抑えることで、違和感なく安心して生活できます。

日常に潜んでいる振動を抑えて、私たちの暮らしを支えている縁の下の力持ちが、倉敷化工なのです。企業が取り組んでいる揺れの課題とその対策が、分かりやすく学べた授業でした。

<製造業(鋳造)>株式会社アキオカ

鋳造の技術でさまざまなものづくりを支えている株式会社アキオカの授業では、生徒が鋳物作りの工程を体験していました。

砂で型をつくる

型作りでは、密度の高い砂をぎゅっと押し固めて、木のフタをかぶせてひっくり返します。砂がこぼれないようにそっと木のフタを外したら完成です。一見簡単そうに見えますが、砂が崩れないように型を作るのにはなかなかコツがいるようです。

砂で型をつくる
砂で型をつくる

続いて、溶かした金属を型に流し込む作業に入ります。適量をピッタリと流し込むのは想像以上に難しく、あふれてしまう場面もありました。繊細な作業に、生徒も集中して取り組んでいます。

溶けた金属を流し込む作業

担当者に「上手にできていますよ」と声をかけられると、生徒もうれしそうです。

最後は、完成した鋳物の品質をチェックします。

鋳物の品質チェック

同じ形、同じ大きさの鐘がテーブルにずらりと並んでいます。見た目はどれも同じに見えますが、金槌で叩いてみると、甲高い音からやや低めの音まで、大きな違いがありました。

鋳物を鳴らして音を確認する生徒

生徒も驚いた様子で、何度も音を鳴らします。

たとえ見た目が整っていても、最後に重要なのは品質です。鋳物の製造には、緻密な技術が求められていることが分かりました。製造の難しさやこだわりを体験して学べるのは、企業学び楽舎講座の醍醐味かもしれません。

<繊維業>菅公学生服株式会社

日本有数の学生服メーカーである菅公学生服株式会社では、企業にまつわるクイズでアイスブレイクをした後、未来の制服をプロデュースする体験授業が行われました。

菅公学生服株式会社の授業

筆者がもしも学生服を自由に作れるならば、デザインを真っ先に考えてしまいます。しかし、実際の現場では、機能性や購入後のサービス、さらには地域や資源を意識した要素も考慮しながら、学校毎に合わせた学生服を作り上げなければいけません。

多種多様な制服の機能が並ぶ
多種多様な制服の機能が並ぶ

生徒は、グループに分かれて、自分たちが着てみたい制服を考えていました。「保護者なら洗いやすい制服がうれしいかも!」と、保護者視点の意見が挙がるグループもいます。

グループワークに挑戦する高校生

全ての要素を盛り込むと費用が高くなってしまうので、いかにバランス良くプロデュースできるかが腕の見せどころです。各グループが意見を交わしながら、オリジナルの学生服をプロデュースしていました。

グループワークに挑戦する高校生

毎日着ている学生服に、企業のこだわりがぎゅっと詰まっていることが分かる授業でした。

<経営(アントレプレナーシップ)>起業ラボ

岡山大学起業部が講師を務めた、起業ラボの授業も見学しました。登壇するのは、現役大学生でありながら経営者でもある3名です。

授業では、起業の流れについて学んだ後、グループワークで実践的に新たなビジネスを考えていました。

岡山大学起業部の授業

ビジネスを考えるステップ1は、まず「自分が心からしたいこと」や「こんな世界になったらいいな」という想像を膨らませていくことから始まります。

グループワークで新たなビジネスを考える高校生
グループワークで新たなビジネスを考える高校生

続いてステップ2で、自分の得意分野や、誰にも負けない好きなことなど、自分ならではの武器を探します。

最後に、妄想と自分の武器を掛け合わせて、「誰の」「どのような」困り事を解決できるのかを考えることで、新たな事業が生まれるそうです。

新たなビジネスが生まれる瞬間

高校1年生にとって、起業はなかなかイメージがしにくい仕事かもしれません。しかし、実際に起業経験のある学生が語ることで、「あったらいいな」を形にできる起業の魅力が伝わってきました。

岡山大学起業部の授業

起業ラボの授業を受けた高校生が、いつか大人になった時、起業という選択肢が彼らの中に芽生えるかもしれません。

地域に新たな企業が生まれる未来を想像するとわくわくしますね。

おわりに

企業が用意した体験型の授業は、大人の筆者も「参加してみたい」と思うような学びの多いものばかりで、高校生も楽しみながら授業を受けていました。

高校生が企業の存在を知ることはもちろん、それぞれの仕事の魅力や大変さ、社会における役割についても学べる貴重な機会だったと思います。

2027年度も企業学び楽舎講座は実施される予定だそうです。

企業学び楽舎をきっかけに、中学生・高校生の将来の選択肢が、少しでも増えたらすてきだなと思います。

詳細情報

令和8年度 企業学び楽舎講座

実施場所
倉敷市・早島町内の中学校、高等学校

本イベントに関する連絡先
086-426-3415(倉敷市労働雇用政策課)

Webページ:
つくる〜人への投資〜|倉敷市公式ホームページ
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/business/employment/1005580/1005581.html

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岩佐りつ子
岩佐りつ子
ずっと住んでいた神奈川を離れ、2023年12月に地域おこし協力隊として倉敷に移住しました。

縁もゆかりもなかった倉敷のまちは、見るもの、出会うもの、全てが初めてづくし!毎日の暮らしに居心地の良さを感じています。 移住者目線を忘れずに、倉敷の魅力を伝えていきたいです。

こんにちは、地域おこし協力隊です

県外から倉敷市への移住をより一層進めるため、Webを通じた生活者目線での情報発信や、移住関連イベントへの協力をミッションに活動しています。

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