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森田酒造の代表・森田昭一郎さんにインタビュー
伝統的な製法で酒造りを続ける森田酒造。
代表の森田昭一郎(もりた しょういちろう)さんに創業についてや酒造りのこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
明治42年から酒造を始める
創業について知りたい。
森田(敬称略)
酒蔵としては、1909年(明治42年)からです。
しかし森田家代々、倉敷の地で庄屋をしていました。
明治当時、米の価格は変動制だったので、より安定した利益を生み出すために米を活用して酒造を始めたと聞いています。
酒蔵を開いた当初は、庄屋と酒造の両方をしていましたが、いつしか酒造専業になりました。
ちなみに酒造を初めてから、私で三代目。
私の祖父が酒造を始めました。
「萬年雪」の由来は。
森田
酒造りを始めた初代である私の祖父が自ら「萬年雪」を名付けました。
初代は登山が趣味でして、酒造りを始めるころに富士山へ登山に行ったそうです。
富士登山で、日に当たって美しく輝く富士山の雪を見てインスピレーションを感じ、「萬年雪」という名前を思いついたと聞きました。
富士山といえば日本を代表するものですから、銘柄にピッタリだと感じたのでしょう。
帰宅後、すぐに商標の登録準備を始めたそうです。
伝統的な製法にこだわり、あえて非効率な製法も
森田酒造での酒造りの特徴やこだわりを教えてほしい。
森田
伝統的な製法にこだわっていることと、地元の良質な材料を使っていることが特徴です。
私たちの製法は、現在の一般的な製法に比べて非効率だとわかっています。
しかし昔ながらの製法でやるほうが、おいしい酒造りができるのであえてこだわっているんです。
また酒の在庫は、出荷予定分しか持ちません。
日本酒は生鮮品だから、鮮度を保持するためです。
また森田酒造では、油圧式の昇降式圧搾機(あっさくき)を使っています。
約50年前から稼働していて、圧搾機の初期の形態をしているんです。
ですから、現在の日本においてとても希少価値があります。
そのような理由もあり、当酒蔵の油圧式の昇降式圧搾機は産業遺産学会「推薦産業遺産」に認定され、功労賞も獲得しました。
材料のこだわりについては。
森田
原材料のうち、米にはこだわっています。
大吟醸など一部の酒を除き、森田酒造では清音(総社市)や足守(岡山市)といった周辺地域で栽培される、アサヒやアケボノなどの米を使います。
また仕込水にもこだわりがあり、使用しているのは高梁川の伏流水です。
つまり、地元の米と地元の水を使っています。
さらに味のブレを防ぐため、酒のブレンド率を決定するのは代表の私のみです。
魅力的な商品づくりを
新しい商品も開発しているが、商品開発はどのように行なっている?
森田
基本的に商品の開発は、おもに私が考えています。
それをスタッフにも飲んでもらい、意見を聞いて改良していく形ですね。
合議制で商品開発をすると、どうしても最大公約数を取るようになります。
そうなると商品としては個性が弱くなってしまい、魅力的な商品ではなくなるんです。
今後の商品開発で力を入れていきたいことはある?
森田
今後消費開発で力を入れていきたいのは、新しいお酒の飲みかたの提案です。
新型コロナウイルス感染症の流行もありまして、家庭での消費が増えていくと思われます。
ですから家庭でのお酒を楽しめる商品を開発しながら、新しい楽しみかたを提案していきたいですね。
たとえば、水などで割るお酒とかです。
お酒をつくるときに水を加えてアルコール度数を調整します。
それをご自身で水などを入れて、好みのお酒をつくって楽しんだりするのもおもしろいのではないでしょうか。
炭酸を入れたりしても楽しめますよね。
今後は後身の育成と新しい酒の楽しみかたの提案を
今後の展望や課題などがあれば、教えてほしい。
森田
ひとつは後身の育成です。
さきほどのとおり、現在は味のブレを防ぐためにブレンド率は私が一人で決めています。
今後は若い杜氏(とうじ)などを育成し、ブレンド率を決める人を育てたいですね。
もちろん味のブレを防ぐために、決める人は少数にします。
もうひとつはさきほど話した、新しいお酒の飲みかた・楽しみかたの提案です。
お客様個人個人が、それぞれの好みでお酒が楽しめる商品づくりをしていきたいと思っています。
伝統を大切にしながら新たな挑戦をする森田酒造の酒造り
明治時代から酒造を行う老舗で、昔ながらの製法にこだわる森田酒造。
そのいっぽうで新たな商品も積極的に開発しています。
森田酒造の「萬年雪」は地元はもちろん、観光や仕事で倉敷を訪れたかたにも愛される酒です。
自宅の食卓用やお土産などに、萬年雪を手に取ってみてはいかがでしょうか。
森田酒造 株式会社のデータ
団体名 | 森田酒造 株式会社 |
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業種 | 製造業(酒造業) |
代表者名 | 森田 昭一郎 |
設立年 | 1909年(明治42年) |
住所 | 岡山県倉敷市本町8-8 |
電話番号 | 086-422-0252 |
営業時間 | 午前8時30分〜午後5時30分 |
休業日 | 土、日、祝日 年末年始 |
ホームページ | 森田酒造 株式会社 |