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本音を言いたい当事者と本音を聞きたい支援者の会 ~ Nothing About us without us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)

本音を言いたい当事者と本音を聞きたい支援者の会 ~ Nothing About us without us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)

伝えとこ / 2024.03.28

Nothing About us without us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)。

これは、国際連合の人権条約「障害者の権利に関する条約」の合言葉です。

この条約は、世界中の障がい当事者が参加して作成され、2006年に国際連合にて採択、日本も2014年に批准しました。

倉敷市内でも障がいのある当事者とその支援者が、ともに腹を割って本音を語り合う場が設けられると教えてもらったので、私も障がいのある当事者として参加してきました。

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記載されている内容は、2024年3月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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「障がい福祉の穴を暴け」本音を言いたい当事者と本音を聞きたい支援者の会

「障がい福祉の穴を暴け」本音を言いたい当事者と本音を聞きたい支援者の会は、障がいの有無にかかわらず誰でも楽しめるイベントを企画しているくらしき支援LABOが主催しています。

障がいのある当事者は普段、仕事や人間関係のなかでさまざまな葛藤を抱えて生きています。

この会は、日々感じている本音を当事者同士で語り合い、支援者にも知ってもらうことを目的に開催されました。

イベント告知チラシ

当日の流れ

会は2024年2月22日(木)午後7時~8時30分までの1時間半、倉敷美観地区にある倉敷物語館 多目的ホールにて開催されました。

当日は雨天でしたが、当事者11名・支援者10名が参加し、スタッフも含めて合計26名が集合。私と同じような身体障害者手帳の所持者だけでなく、療育手帳精神障害者福祉手帳を所持する当事者の参加もあり、いろんな立場の当事者が集まりました。

私には聴覚障害があります。受付につくとスタッフのかたから音声認識アプリを立ち上げたスマートフォンを貸してもらったので、他の参加者の声は、音声認識アプリを使って読み取りました。

音声認識アプリの画面

心理的安全性の保たれる場づくり

会が始まると、最初に説明されたのが以下のルールです。

  • ここでの話はこの場かぎりにして、外には持ち出さない
  • 意見は大歓迎だが、ただの批判や文句は言わない
  • 特定の個人や団体の名指しはしない
  • 誰かに遠慮せず自分の「想い」を言葉にする
  • 他の人も話せるよう簡潔に語るようにする

どれも、この会を当事者たちにとってこの場が安心して話せる場となり、「心理的安全性」を守るために必要なルール。

ルールの書かれたホワイトボード

同時に、当事者たちから語られる本音がどれも愚痴不満ではない、建設的な「意見」であることが了承されたことにより、支援者のかたもぐっと前のめりになって話を聴こうという雰囲気が生まれたように感じました。

会の進行についての説明が終わると、当事者も支援者も分け隔てなく一つの円になって、ポロリポロリと本音がこぼされ始めました。

当事者同士が共感し、語り合う

今回特に印象に残っていることは、どの参加者も他者の話を遮ることなく、最後まであたたかく見守っていたことです。

そして、それらの意見を否定することなく共感し、似たような経験をした際にどうやって折り合いをつけたかの経験をそっと語り合う姿がそこにありました。

最初は黙り込んでいた当事者も、対話のようすを見て「当事者に限らず仲間がいなくて孤独」「合理的配慮を受けられない不安感」などこの場限りのメンバーだからこそ言える本音を語り始めました。

縁になって語り合う参加者

私自身も聴覚障がいがあるので、きこえる同僚の話が聴き取れずに寂しい気持ちになったことがあります。

そのため、どの当事者の声もまるで“もう一人の自分”の声を聴いているようで心が揺さぶられ、また別の参加者が「一人じゃないよ」と言葉を発するたびに癒されていく、不思議な感覚を覚えました。

当事者と支援者がともに語り合う

この会最後の問いかけが、支援者からの問いかけだったことも印象に残っています。

会全体としては、8割近くの語りが当事者の生の声でした。それくらい、自分たちのことを知ってほしい当事者が多くいたのだろうと思います。

しかし、最後は支援者からの「福祉サービスが完璧に整った社会とは、どのようなものか」という問いかけ。

深い問いですが、当事者視点、支援者視点とそれぞれの考えが共有されるきっかけとなりました。

倉敷物語館の入り口

閉会まで冬の雨がしとしとと降る寒い夜でしたが、会場内はあたたかい優しさと熱気であふれていました。

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おわりに

「私たちのことを私たち抜きで決めないで」

言葉としてはいろいろな場所で見てきましたが、実体験として当事者と支援者がともに集う場で語り合う機会は貴重な経験となりました。

これからも、障がいの有無にかかわらずにさまざまな背景のある人がこの倉敷で暮らしていくために、あり続けてほしい居場所だと思います。

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「障がい福祉の穴を暴け」本音を言いたい当事者と本音を聞きたい支援者の会のデータ

イベント告知チラシ
名前「障がい福祉の穴を暴け」本音を言いたい当事者と本音を聞きたい支援者の会
期日2024年2月22日(木)午後7時~8時30分
場所岡山県倉敷市阿知2丁目23−18
参加費用(税込)2,000円(福祉の支援者・福祉を志す学生・福祉の仕事に関心のある人)、500円(当事者)
ホームページくらしき支援LABO
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高石真梨子

高石真梨子

東北→九州→近畿→関東を経て、2023年12月に倉敷市地域おこし協力隊になりました。

音の世界と音のない世界の狭間に住んでいる、手話と日本語のバイリンガルです。障がいの有無にかかわらず、倉敷を旅して倉敷に住み続けたくなるような情報を発信していきます。

こんにちは、地域おこし協力隊です

県外から倉敷市への移住をより一層進めるため、Webを通じた生活者目線での情報発信や、移住関連イベントへの協力をミッションに活動しています。

倉敷市地域おこし協力隊

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