蛇口をひねれば、いくらでも水が出る。
これが「当たり前」と多くの方が感じているのではないでしょうか。
実は今、倉敷市の水道の水源である高梁川水系のダムの貯水量が、例年に比べて非常に少ない状況です。2026年9月から取水制限が始まり、段階的に強化されています。
この記事では、倉敷市水道局の担当者に聞いた渇水の現状と今後の見込み、そして家庭でできる節水のポイントを紹介します。
記載されている内容は、2026年10月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
高梁川水系の渇水状況

倉敷市水道局によると、2026年は梅雨の時季にはまとまった雨が降ったものの、梅雨明け以降はダム上流部でまとまった降雨がない状況が続きました。このため、高梁川水系主要6ダムの貯水率は一気に下がり、最も低くなった9月下旬には、22%ほどまで落ち込みました。
その後の雨で少し持ち直し、2026年10月22日時点で貯水率は「35.3%」となっていますが、平年の貯水率は70%台であるため、依然としてかなり少ない状況です。
最新情報は、国土交通省岡山河川事務所のホームページで確認できます。
取水制限の経緯
取水制限は、高梁川水系水利用協議会が決めています。
取水制限は段階的に引き上げられており、現在は第3次取水制限中です。
| 開始日 | 上水道 | 工業用水 | 農業用水 | |
|---|---|---|---|---|
| 第1次 | 2026年9月7日(月)午前10時 | 5% | 10% | 20% |
| 第2次 | 2026年9月18日(金)正午 | 10% | 10% | 20% |
| 第3次 | 2026年10月2日(金)正午 | 10% | 15% | 50% |
「取水制限」とは上水道の場合、浄水場で水道水を作る時に高梁川から取り入れる水の量を減らすことです。倉敷市の水道は取り入れる水の量を減らした分、井戸(地下水)から取水することで、現在のところ市民生活に目立った影響は出ないとのことです。
今後の見込み
雨がどれだけ降るかは天候しだいで、先の見通しを立てにくいのが正直なところです。倉敷市水道局によると、この時季(秋~冬)に大きな雨が続くことはあまり期待できないため、今後を危惧しているそうです。
今後さらに貯水率が下がった場合、次の段階として減圧給水(蛇口から出る水の勢いを下げて量を抑える)による対応を検討することになります。
家庭でできる節水のポイント

倉敷市水道局は、市内に配っているチラシで次のような節水を呼びかけています。生活の状況によってできることは変わるため、できるものから取り入れてほしいとのことです。
- 歯磨き・洗顔・シャワーの際は、こまめに蛇口を閉める
- 洗濯は風呂の残り湯を使う。まとめて洗う
- 不急の洗車は控える。洗う時はバケツを使う
- 食器は汚れを拭き取ってから洗い始める
- 食器や食材は、ためた水で洗う
- トイレの大小のレバーを使い分ける
- 水やりはバケツやじょうろで
倉敷市水道局にインタビュー

倉敷市水道局 水道総務課の松井浩二さんに、渇水の現状と市民へのお願いについて話を聞きました。
高梁川水系の渇水の状況を教えてください。
松井(敬称略)
2026年は、梅雨の時季は雨がよく降りましたが、梅雨明け後はダム上流部でまとまった降雨がない状況が続きました。
そのためダムの貯水率は急激に低下し、9月下旬には22%ほどまで下がりました。その後の降雨により、やや持ち直しています。ただ、平年なら70%はある時季ですので、かなり少ない状況です。
2026年9月7日(月)から第1次取水制限が始まり、現在は第3次取水制限中となっています。今後も貯水率が下がり続けると、さらに取水制限が強化されることになります。
このまま貯水率が戻らなかった場合、市民の生活にはどのような影響が出る見込みですか。
松井
この状況が続くと、次のステップは減圧給水を検討していくことになります。
蛇口から出る水の水圧を下げることで、出る量を抑えます。さらに状況が悪くなると時間断水を検討していくことになります。
過去の渇水では、どのようなことが起こりましたか。
松井
近年でいちばん大きかったのは1994年(平成6年)の渇水です。
1994年は水圧を下げる減圧給水をしました。40%まで進んだ時には、水があまり使われない深夜の時間帯に断水をしています。時間帯は徐々に長くなり、最も厳しかった50%の時は、午後2時から午後10時の8時間だけ水が出て、残りの16時間は使えないという状態でした。
断水を実施した期間は52日間に及びました。
それ以降は、2002年・2005年・2007年・2008年など、数年おきに発生しており、近年では2023年に冬季渇水がありました。いずれの年も取水制限にとどまっていて、減圧給水まではしていません。

市として、他に呼びかけていることはありますか。
松井
水を使う量が多い工場や事業所、ショッピングモールなどには、個別に手紙を送って協力をお願いしています。学校や市の公共施設には張り紙をお願いしているところです。
ホームページやSNSの他、本庁と各支所に懸垂幕を掲げています。広報車も走らせていて、職員が当番制で各地区を回り、録音したお知らせをスピーカーで流しています。直接耳に届けるためです。
さまざまな手段で、なんとか届いてほしいという思いで実施しています。
最後に、市民の皆さんへのメッセージをお願いします。
松井
あまり実感がない中で難しいとは思いますが、これから本当に厳しい状況になると、水が使えないという状態になる可能性もあります。少しずつでも、節水の意識を持っていただきたいです。
各家庭で節水できるのは少しの量ですが、皆さんで少しずつやっていけば、全体としてはかなり大きな量になります。できるところから、積極的に協力していただきたいです。
おわりに

1994年の渇水時は、日中の限られた時間しか水が使えず、夏場だったので庭木の水やりをする人がいても「飲み水に困っている時に」と、ギスギスした空気感だったことをよく覚えています(筆者は当時中学生)。
しかし、30年も昔の話で知らない人が多いのも当然です。今回取材をしたのは、30年前の渇水の記憶が甦ってきて、「秋になってからの渇水って結構まずいんじゃ……」と感じたからです。
高梁川水系のダムの貯水量が少ない状況は、2026年10月時点でも続いています。
上水道の取水制限は10%で、今のところ蛇口から出る水に変わりはありませんが、このまま雨が少なければ、減圧給水や時間断水へ進む可能性があります。
この先雨が降って貯水率が回復すれば、それに越したことはありません。今は市民が節水意識を高めて、少しでも貯水率の低下を抑えることに協力するのが重要だと思います。
蛇口をこまめに閉める、残り湯を洗濯に使うといった、できることから始めてみましょう。









































高梁川水系の渇水
Webページ:
倉敷市公式ホームページ
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/kurashi/suidou/1007019/1027434.html
高梁川水系主要ダムの貯水状況(国土交通省岡山河川事務所)
https://www.cgr.mlit.go.jp/okakawa/kouhou/kassui/kassui-top-new.html