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縄文土鈴・土面作りワークショップ ~ 縄文アーティスト 兵頭百華さんが、土にふれることから伝えたい縄文の心と技

縄文土鈴・土面作りワークショップ ~ 縄文アーティスト 兵頭百華さんが、土にふれることから伝えたい縄文の心と技

知っとこ / 2024.03.29

兵頭百華さんにインタビュー

講師であり縄文アーティストである兵頭百華(ひょうどう ももか)さんに、縄文土器を制作するきっかけなどについて話を聞きました。

兵頭さんと展示されている縄文土器

兵頭さんが縄文土器に出会ったきっかけは何ですか。

兵頭(敬称略)

私が中学2年生のときに誘われ、母と一緒に新見市にある猪風来美術館(いふうらいびじゅつかん)へ行き、縄文野焼き祭りに参加したんです。焼かれる縄文土器を初めて見たときは、「ふーん」と興味まで持つことはありませんでした。

でも、美術館で展示されていた(後に兵頭さんが師事する)、縄文造形家の猪風来(いふうらい)さんの作品を見たときには、体の熱があがる感覚がありました。心をつかまれたんですね。

しかし、そのときには、縄文土器を始めるまでには至りませんでした。

では、改めて縄文土器に出会うきっかけがあるんですね。

兵頭

2019年夏になり、猪風来美術館で講演会と陶芸教室(縄文土器)があり参加しました。そのときに、猪風来さんから、「手が土器を作ることを覚えているうちに、続けたほうが良い」と言われ、その1週間後にも参加。以来5年くらい続けています

猪風来さんのところへ「縄文時代について知りたい」と訪問されたかたにも、猪風来さんは「まずは縄文土器を作ってみたらどうか」と提案していました。

縄文土器を制作することで、縄文土器を作る技術だけでなく、縄文人の心とつながるような感覚を得られ、縄文についてより理解が深まることがあるんです。結果、提案されたかたも、縄文土器の制作を続けています。

縄文土器を制作する技だけでなく、心も大事にされていますね。

兵頭

会場となる「ミズシマパークマネジメントLab.」の左手に展示している縄文土器は、おもに出土した土器を模写したものです。

見てもらえればわかりますが、縄文時代と一言で言っても、1万年以上も続いた時代のため、それぞれの時代での特徴や形はさまざまです。土器の形や文様、厚みでさえも違う

猪風来美術館にある作品を間近で観察し、一つ一つの形・文様などを忠実に再現していく過程で、当時この土器を作った縄文人の思いを感じることがあります。

  • この線はどのような祈りを込めて描いたのだろう
  • なぜか、あの文様に心が反応してしまう
  • この土器の角度、形を作るにはこのような工夫があったのだろう

模写をつうじて、縄文時代に土器を制作していた女性の表現の奥深さを感じることがあります。

主に模写された縄文土器

そもそも縄文土器とは、何のために作られたのですか。

兵頭

縄文土器の使用目的は、煮炊きするための土器です。

縄文土器作りは粘土紐で上に積み上げる輪積み技法で作ります。一般のかたは、制作の過程でつぶれてしまうことが多いですね。

兵頭さん

展示作品の中でも、特徴のある6つの突起がついている土器がありますが、これは兵頭さんの創作ですか。

兵頭

こちらの作品は、創作や模写でもなく、再現制作になります。出土した実物の欠片を元に全体をイメージして制作しています。

特にこの土器は、空洞の四角い突起が6つ付いており、比較的厚めの土器であったため、土が乾かないうちに、どのように作ったのかを試行錯誤しながら再現しました。

これまで、多くの作品と向き合ってきた経験から、制作過程も再現できたのではないかと思っています。

兵頭さん

兵頭さんが師事されている猪風来さんとの出会いが大きいのですね。

兵頭

猪風来さんは、2024年現在77歳。若いときから、縄文土器を制作していましたが、1986年(昭和61年)に「縄文の心」をもとめて千葉県から北海道へ家族で移住しています。

北海道では、原野に竪穴式住居を建てアトリエとし、家族で自給自足の縄文の生活をしていました。竪穴式住居は、地面に穴を掘り生活するため、生活の目線が大地と同じ目線になります。生活を通して、すべての生命は、大地から生まれている平等で等価であることを感じたそうです。

その後、全国に美術館の候補地を探し、いくつかの候補地のなかから、最終的に新見市の場所(現在の猪風来美術館)が選ばれました。縄文時代の生活をしながら、縄文土器を制作する。それを一緒に移住した家族とできていることだけでもすごいと感じています。

今では、猪風来美術館の陶芸指導員として、毎月第2,3水・日曜日の陶芸教室にも携わるようになりました。

兵頭さん

最後に、兵頭さんにとっての縄文土器の魅力を教えてもらえますか。

兵頭

縄文土器を制作しているときは、楽に自然と手が動き、縄文土器とリンクしているような感覚で、没頭して制作できています。

また、縄文土器だけでなく、縄文の心
人としての本質的な考え方である、「縄文時代の女性のすべてのものへの慈愛と敬意の念が評された命の器である縄文土器」に魅かれています。

自然のなかで縄文土器を制作していくすべての工程に、より心が豊かになっていくことを感じさせてくれています。

おわりに

制作風景

筆者は、縄文時代と聞くと、授業で学んだ「火焔型土器(かえんがたどき)」のみの情報しかなく参加しました。

「縄文土鈴・土面作りワークショップ」に参加することにより、以下のことを知りました。

  • 1万年以上もの間、争いもなく平和な時代であったこと
  • 縄文土器を制作するのは女性の役割であり、すべての命を育む儀式の一つであること など

約3時間ものワークショップにもかかわらず、参加者のかたにも恵まれ、楽しく交流をしながら、縄文土鈴を制作。
引き続き、年に2度開催される猪風来美術館での野焼き(2024年4月28日予定)にも参加予定です。

縄文土器の鑑賞・制作から、縄文の心について学べる縄文サロン、ぜひ参加してみてください。

なお、「縄文土鈴・土面作りワークショップ」は、定期的に開催されていますが、一度に多くのかたを受け入れることが難しいため、早めの予約をおすすめします。

募集は兵頭さんのInstagramなどで定期的におこなわれています。

縄文土鈴・土面作りワークショップのデータ

名前縄文土鈴・土面作りワークショップ
期日定期的に毎月開催
申込は、兵頭さんのInstagramのDMか、kamomo821@gmail.comに連絡を

※詳細は、兵頭さんのInstagramなどを確認してください。
場所倉敷市水島常盤町10-8
参加費用(税込)縄文土鈴・土面作りワークショップ 4,500円
縄文のお話会 1,000円
ホームページ兵頭さんのInstagram
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眞鍋忠義

眞鍋忠義

倉敷市在住で、2人の娘を持つアラフィフ会社員。
大学生となり、愛媛県松山市・大阪府豊中市・東京都府中市・愛知県日進市などで生活した後のUターン組です。
一度、故郷から離れて暮らしたことでも気が付くことができる、ここにしかない魅力をご紹介できるのでは?と思っています。
令和2年度 高梁川志塾(第1期)・令和3年度 高梁川流域ライター塾卒業生です。
これからも学びながら、私自身の体験などを中心に紹介したいと思います。

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兵頭さんと縄文土器

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