2026年4月25日(土)から6月7日(日)まで、大原美術館 本館で特別展「倉敷大原家と中国絵画」が開催されています。
大原家の6代目 孝四郎(こうしろう)・7代目 孫三郎(まごさぶろう)・8代目 總一郎(そういちろう)が収集してきた中国絵画を中心に、日中交流の様子や日本でどのように中国絵画が受け入れられてきたのかをひもとく展覧会です。
会期を通して29点の作品が展示されており、中には国宝や重要文化財に指定されている作品もあります。
特別展「倉敷大原家と中国絵画」の内容を紹介します。
記載されている内容は、2026年5月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
目次
特別展「倉敷大原家と中国絵画」について

特別展「倉敷大原家と中国絵画」は、プロローグと3章の展示で構成される特別展です。
- プロローグ
大原家の古画コレクション - 第一章
大原家の中国絵画 古渡、中渡、新渡と来舶画人 - 第二章
大原孫三郎と呉昌碩コレクション - 第三章
大原總一郎と大原美術館の中国絵画
それぞれの章について紹介します。
プロローグ:大原家の古画コレクション

大原美術館は日本初の西洋美術を中心とした私立美術館として、7代目・孫三郎の時代の1930年に開館しました。その一方で、孫三郎自身は西洋美術だけでなく、東洋美術も愛好していたそうです。
プロローグでは、大原家の古画コレクションの中でも代表的とされるものが並んでいます。
総社市ゆかりの画家である雪舟等楊《山水図》(国宝)は、5月24日まで展示されていました。また、5月19日からは、備中鴨方藩(岡山藩の支藩)出身の画家で孫三郎が熱心に収集していた、浦上玉堂の《山雨染衣図》(重要文化財)が展示されています。

展示ケースの厚みは20cmほどで、触れることはできないものの、至近距離から鑑賞できます。国宝や重要文化財に指定されている作品を間近で鑑賞できるのも、この展示会の魅力の一つです。
第一章:大原家の中国絵画 古渡、中渡、新渡と来舶画人

手前:「銭選」印《宮女図》国宝・個人蔵(京都国立博物館寄託)
第一章では、大原家が収集してきた中国絵画が日本にもたらされた時期ごとに、古渡(こわたり)、中渡(なかわたり)、新渡(しんわたり)の3つの区分で紹介しています。
古渡は古い時代、中渡は近世、新渡は近代以降を指し、大原家ではそれぞれの時期で作品がまんべんなく収集されているのです。
また、中国から日本にわたってきた絵画作品だけでなく、来舶画人と呼ばれる、日本へ来た中国の画家との関わりについても紹介されています。
第一章では、時代が移り変わる中での日本人と中国美術の関わりを通して、日本人が中国絵画をどのように愛でてきたか、また日本で新しい作品が生まれ、どのように残されてきたかをうかがい知れます。
第二章:大原孫三郎と呉昌碩コレクション

大原美術館の歴史に深く関わる人物として孫三郎と並び称されるのが、洋画家・児島虎次郎(こじま とらじろう)です。
児島虎次郎はヨーロッパに長く滞在したことで知られる一方で、中国にも4度足を運んでいます。
そして、中国滞在の間に「中国最後の文人」といわれている呉昌碩(ごしょうせき)と関わりを持ち、呉昌碩の作品を収集していました。
文人とは、中国の人文的教養を身に付け、中国古典などの学問に精通した人のこと。
第二章では、呉昌碩の作品を中心に展示が構成されています。
また、1922年に児島虎次郎が描いた《菜果図》も展示されており、中国画家の絵と虎次郎の絵を見比べることもできます。
第三章:大原總一郎と大原美術館の中国絵画

大原家の8代目である大原總一郎の時代に、大原美術館の東洋館の構想がはじまりました。總一郎もまた、中国絵画をはじめとする東洋美術、文化への造詣が深い人物だったのです。

第三章では、絵画の修復後初公開となる《五牛図巻》が展示されています。
修復前の《五牛図巻》は墨の濃淡しか見られなかったのですが、修復を通して繊細な色彩表現が分かるようになりました。
また、修復にともなう科学調査で、宋・元時代の作品だと思われていたものが実際には近代の作品であることも明らかになったそうです。
時代が違うとなると贋作(がんさく:偽物)だったのかという疑問も浮かびますが、昔の作品をまねて学び、当時の作品だと思われるほどの絵を描けることは、簡単なことではありません。
《五牛図巻》の展示は、作品の真贋(しんがん:本物か偽物か)を見極めるだけでなく、中国絵画が模倣によって発展してきた成果を、多くの人に見てもらえる貴重な機会となっています。
特別展「倉敷大原家と中国絵画」の見どころ

大原芸術財団 特命上席研究員の吉川あゆみさんは、特別展について以下のように話していました。
展示作品の中には、中国人の文人、書家が倉敷を実際に訪れ、その中で生まれた作品もあります。また、大原美術館といえば西洋絵画、というイメージがありますが、本館の他に、工芸・東洋館という施設もあるのです。
さまざまな文化を広く紹介する美術館の活動の一環として、また大原美術館の歴史と深く関わる作品群として、「倉敷大原家と中国絵画」の展示を見ることで、美術館に対するイメージも変わるのかもしれません。
おわりに

美術館は、単に作品を集め展示するだけの施設ではなく、作品について研究しその成果を広く世に知らせる役割も担っています。
特別展「倉敷大原家と中国絵画」は、大原家のコレクションを通じて、大原家と中国絵画のつながりや、倉敷で中国絵画がどのように受容されてきたか知ることのできる機会です。
大原家の中国絵画コレクションを鑑賞して楽しみ、同時に大原家や大原美術館、ひいては倉敷の歴史に思いをはせられる展覧会だと筆者は感じました。
特別展「倉敷大原家と中国絵画」は、2026年6月7日(日)まで開催されています。ぜひ足を運んでみてください。
特別展「倉敷大原家と中国絵画」のデータ

| 名前 | 特別展「倉敷大原家と中国絵画」 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年4月25日(土)~6月7日(日) |
| 場所 | 岡山県倉敷市中央1-1-15 |
| 参加費用(税込) | 一般:2,000円 小学生・中学生・高校生または18歳未満:500円 小学生未満:無料 ※各種優待制度あり |
| ホームページ | 特別展「倉敷大原家と中国絵画」 |















































「倉敷大原家と中国絵画」では、大原家のコレクションを代表する名品を一堂に鑑賞でき、倉敷という地方都市で中国絵画が時代の変遷の中でも変わらず愛されてきたことを体感できます。