なんなんDAYS2025 座談会(2025年11月23日開催)〜 訪れやすいミュージアムを目指した新事業の振り返りと今後への課題

なんなんDAYS座談会

2025年11月15日・16日に大原美術館で開催された「なんなんDAYS」は、誰もが訪れやすいミュージアムを目指した新たな取り組みです。

約20年続いた「チルドレンズ・アート・ミュージアム」の後継イベントといった紹介もよくされていたし、参加者の多くもそのような印象を持っていたのは事実でしょう。

この記事では「なんなんDAYS」の翌週に開催された「なんなんDAYS2025 座談会」のようすを通じて、開催の経緯や目的を紹介します。

記載されている内容は、2026年1月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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なんなんDAYSとは

なんなんDAYSのようす

「なんなんDAYS」は、2025年11月15日・16日に大原美術館で開催された、誰もが訪れやすいミュージアムを目指した大型ワークショップイベントです。

大原美術館では、2002年から2019年まで毎年8月に「チルドレンズ・アート・ミュージアム(通称:チルミュ)」というイベントを開催してきました。しかし、2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大対策で中止され、以来中断となりました。

夏が近づくと毎年「今年は開催されますか?」という問い合わせもあったそうですが、「なんなんDAYS」は、「チルドレンズ・アート・ミュージアム」の歴史を生かしつつ、新しい形で再開したイベントとして企画されました。

具体的には、従来は子ども中心だったのに対して、在住外国人や障がいのあるかた、子育て世代など多様な人々が参加しやすい形となっています。

なんなんDAYS2025(2025年11月15日・16日開催)〜 誰もが訪れやすいミュージアムを目指した初めての試み。聴覚障がいのある当事者として参加しました

なんなんDAYS2025 座談会の開催

座談会

そして、なんなんDAYS2025 開催の翌週となる11月24日(月・振休)には、登壇者や参加者と共に成果や課題の共有、今後の活動に向けた意見交換をおこなうための座談会が開催されました。

登壇者の発表

登壇者は以下のとおりです。

  • 鬼本佳代子さん(国立国際美術館 学芸課 教育普及室 任期付研究員)
  • 吉川紀子さん(滋賀県立美術館 主任学芸員 エデュケーター)
  • 柴川弘子さん(岡山大学 ESD協働推進センター 助教)
  • 寺元静香さん(公益財団法人大原芸術財団 教育普及担当)

寺元静香さん

寺元静香さん(写真右端)
寺元静香さん(写真右端)

寺元静香(てらもと しずか)さんは新イベント「なんなんDAYS」の主担当として開催の背景を報告しました。

チルミュの再開を!
ただし…新しい形での再開を

という方針があるなかで、寺元さんが考えたのは「いろいろなかたが、ミュージアムに行ってみたいと思ったとき、訪れやすいミュージアムでありたい。訪れたときに、良い体験を持って帰ってもらえるミュージアムでありたい」ということでした。

そこで今回、ミュージアムアクセシビリティ向上策に力を入れて、以下の取り組みをおこなったそうです。

  • これまで情報をあまり届けてこなかった相手(岡山県在住の外国人、福祉施設・団体、子育て支援施設、岡山県北部の子どもたち)
  • 特設サイトでの詳細なバリアフリー情報(トイレ・段差など)の公開
  • 訪れたときの過ごしやすさの工夫(筆談ボード、カームダウンスペース、託児サービスの導入など)
カームダウンスペース
カームダウンスペース

カームダウンスペース
感覚過敏などの光や音の刺激が苦手な人が疲れたり、パニック状態になりそうなときに体調を落ちつかせたり、休むことができる場所

そのほかに、イベントの3本柱(めぐる・つくる・いろどる)のコンセプトを説明し、多言語対応や「やさしい日本語ツアー」、五感を使うワークショップなどの具体例も紹介しました。

鬼本佳代子さん

鬼本佳代子さん(写真左端)
鬼本佳代子さん(写真左端)

かつて大原美術館に勤務し、現在は大阪市にある国立国際美術館で教育普及を担当している鬼本佳代子(おにもと かよこ)さん。

国立国際美術館の事例として、未就学児童対象の「ちっちゃなこどもびじゅつあー」を紹介しました。同プログラムには、手話を母語とする未就学児童を主な対象とした実施回「こめっこ回」もあるとのことです。

また、視覚以外の感覚を用いた美術活動プログラム「みる+(プラス)」などについても述べられました。

吉川紀子さん

吉川紀子さん(写真左端)
吉川紀子さん(写真左端)

滋賀県立美術館の学芸員である吉川紀子(よしかわ のりこ)さんは、「リビングルームのような美術館」を目指す自館の取り組みを紹介しました。

事例の一つとして、2023年に開催した「“みかた”の多い美術館展」を紹介しました。
小さな子どものいる家族や障がいのあるかたなどとアイデアを出しあってできた、8章で構成された展覧会です。その後も、ワークショップや対話鑑賞などさまざまな取り組みをおこなっています。

柴川弘子さん

柴川弘子さん
柴川弘子さん

岡山大学大学院 教育学研究科 ESD協働推進センターの柴川弘子(しばかわ ひろこ)さんは、社会教育の研究者としての立場と母親としての視点から提言を語りました。

熊本県葦北郡津奈木町にある「つなぎ美術館」において、「美術館は社会に開かれた小さな窓である」という考えに共感し、学校もそうなってほしいと考えて活動しているそうです。

シンポジウム

シンポジウムのようす

後半の1時間はシンポジウム形式で、4名の登壇者および参加者により、以下のような内容で意見交換がおこなわれました。

  • 「やさしい日本語ツアー」の有効性と対象設定の課題
  • 倉敷考古館での「ドキ土器パズル」におけるスタッフの声かけが、視覚的な正解だけでなく感覚を通じた内容になっていた理由と意義
  • ミュージアムにまつわる疑問に関するミニパネルが好評だったことと、キャプションに対するスタンス
  • 静寂を求める鑑賞と対話のある鑑賞の共存(ゾーニング)

全体として課題はあっても、新しいチャレンジを実行したことに対する敬意のある意見が中心で、和やかな雰囲気での意見交換となりました。

おわりに

なんなんDAYS

大原美術館が「美術館」としての活動だけでなく、「チルドレンズ・アート・ミュージアム」など活動の幅を広げる取り組みをおこなっていたことを知ったのは、わりと最近の話です。

近年はSDGsなどのキーワードと共に、企業・団体は社会貢献事業をするのが「当たり前」という風潮ですが、そのような時代になる前から大原美術館がさまざまな取り組みをおこなっていたことに驚きました。

以来、再開を心待ちにしていた一人として、新たな取り組みとして再開してくれたことはもちろん、継続を前提とした取り組みであることを知ってうれしく思いました。

座談会でも話題になっていたように、一部の取り組みは運営者の意図と実際の参加者に「ズレ」があったのは事実です。
しかし、実施したからこそわかる知見ともいえるわけで、次回に生かされながら継続してほしいと思いました。

大原美術館 チルドレンズ・アート・ミュージアム2019(チルミュ) ~ わいわい楽しむアートの夏祭り

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なんなんDAYS2025~ミュージアムで出会うなんなん?~ 座談会のデータ

なんなんDAYS2025
名前なんなんDAYS2025~ミュージアムで出会うなんなん?~ 座談会
開催日2025年11月24日(月・振休)
午後1時〜4時
場所大原美術館 児島虎次郎記念館
参加費用(税込)無料
ホームページなんなんDAYS2025~ミュージアムで出会うなんなん?~特設サイト

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戸井健吾
1979年生まれ、倉敷市在住
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