倉敷美観地区からほど近く、倉敷市芸文館の向かいにある「岡山大学資源植物科学研究所」。1914年に前身となる「財団法人大原奨農会農業研究所」が当地に設立されて以来、110年以上にわたり研究活動を続けている歴史ある農学系の研究所です。
2026年5月9日(土)、毎年恒例の一般公開が開催されました。
研究成果の紹介や、普段目にすることのない貴重な資料の展示、敷地内に広がるオオムギ圃場(ほじょう)の見学などが実施され、多くの来場者でにぎわいました。
当日の様子をレポートします。
記載されている内容は、2026年6月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。
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目次
岡山大学資源植物科学研究所 一般公開とは

岡山大学資源植物科学研究所では、研究成果を広く一般に知ってもらうことと、身近な植物に親しんでもらうことを目的に、毎年一般公開を行っています。2026年は5月9日(土)に開催されました。
今年のテーマは「きて、みて、発見!! 植物っておもしろい」。
当日は研究成果の紹介や、身近な植物にまつわる実験や観察、見学などが行われ、老若男女問わず多くの来場者でにぎわいました。
当日の様子

午前10時の開場を前に、すでに入口には行列が出来ていました。入口で館内マップやクイズラリーの解答用紙などを受け取り、研究所内に入ります。

研究所内では、さまざまな趣向を凝らしたイベントや展示が行われていました。以下では、筆者が体験した内容を紹介します。
オオムギ圃場見学ツアー

「オオムギ圃場見学ツアー」は毎年人気のイベントで、研究所の南側に広がるオオムギ(大麦)圃場を、スタッフの方の案内で見学するツアーです。
圃場(ほじょう)
農作物を栽培するための場所。ここでは水田や畑のことを指します。
集合場所の正面玄関には、午前10時30分の出発を前に多くの方が集まっていました。ほどなく定刻となり、圃場見学のスタートです。

大麦の起源とは

圃場では、さまざまな種類の大麦が栽培されています。ここでスタッフの方より、大麦の起源についての説明がありました。
大麦の栽培は今から約1万年前、現在の中近東にある肥沃な三日月地帯と呼ばれる地域で始まったと考えられています。
肥沃な三日月地帯
現在のイラク、シリア、レバノン、イスラエル、パレスチナ付近のことを指し、チグリス川、ユーフラテス川流域にはメソポタミア文明が栄えるなど、古代より栄えた地域
以来、世界各地の人々が何千年もの間、品種改良を繰り返しながら現在の形へと進化させてきました。
圃場では、変わり種の品種も多数栽培されています。
例えばこちらの品種は、手で簡単に茎が折れることから「鎌いらず」と呼ばれています。

容易に収穫できるように品種改良されたものですが、実際には風が吹いただけでも茎が折れ、穂が落ちてしまうため、農作物としての実用には向いていない品種です。
過酷な環境にも適応できる品種作り

圃場内に、pH4.0〜4.5の「酸性土壌」の区画がありました。
酸性土壌とは、多くの植物にとって生育が困難な典型的な問題土壌で、世界の耕地の約3〜4割を占めています。
長年の研究の結果、酸性土壌に耐性を持つ特定の遺伝子が発見されました。こちらの区画に植えられている大麦のうち、よく育っているものが酸性土壌への耐性を持つ品種です。

植物が持つ遺伝的な力を解明し、それを活用することで、地球規模の食料問題の解決に向けた研究の一環として、研究が進められているそうです。
地域の気象観測にとっても重要な場所です

圃場の中に、芝生が敷き詰められたエリアがありました。
ここには岡山地方気象台のアメダス(地域気象観測システム)が設置されていて、倉敷における公式な気象観測地点としての役割を担っています。
降水量を測定する機器についての説明もありました。

中庭では麦茶の無料サービス

中庭のテントでは「ようこそオオムギ資料館へ」と題した展示がありました。

こちらではさまざまな品種の大麦が展示されている他、私たちにも身近な大麦を使用したさまざまな製品が展示されていました。ウイスキーやビール造りに欠かせないモルト(麦芽)は、大麦を発芽させて得られるものなのですね。

また、麦茶の商品名などで耳にする六条大麦と二条大麦の違いについても、スタッフの方が説明してくれました。
六条大麦
1カ所に3つの実が実り、それが表裏で合わせて6列に並ぶため「六条」と呼ばれる。
二条大麦
実が2列に並ぶため「二条」と呼ばれる。実際には二条大麦にも他の列の「痕跡」となる小さな部分があり、そこが実るように変化したのが六条大麦。
日本では明治維新の頃まで、麦飯などに利用される六条大麦の栽培が主で、二条大麦は明治以降、欧米からビールの原料として入ってきました。以降、高温多湿な日本の風土に合うよう現代に至るまで品種改良が進められています。

来場者に人気のおいしい自家製麦茶の無料サービス。温かいものと冷たいものが用意されていて、飲み比べができたのもうれしかったです。

貴重な植物標本の展示コーナー
研究所の3階には、研究所の初代所長であった近藤萬太郎(こんどう まんたろう)博士が収集した貴重な植物の種子標本の展示がありました。

近藤博士のコレクションの他にも、8万点にもおよぶとされる研究所に所蔵されている押し葉標本の一部も展示されていました。

顕微鏡でカビを見てみよう
身近な微生物であるカビを顕微鏡で観察するコーナーでは、実際にプレパラートを作ってカビの組織を見られました。中学生の頃の理科実験を思い出しますね。

チャレンジ♪クイズラリー
研究所内の各所にあるクイズに解答しながら、所内をめぐっていく人気の企画です。答えは展示の中にあるので、じっくりブースを見て回れば答えが出てきます。
海外から来日した留学生が持っていたボードには、このような問題も。身近な国際交流の場となりました。

クリアすると、研究所オリジナルグッズ(ボールペン、クリアファイル、メモ帳など)や植物の種子(ひまわり、とうもろこし)がもらえます。


おわりに

昨年度に引き続き、2回目の参加となった今回の一般公開。
オオムギ圃場見学ツアーをはじめ、人々の生活に直結した農作物にまつわる興味深い展示の数々を通して、研究内容についても分かりやすく知ることができました。
また、大麦をはじめとする農作物は、栽培環境に合わせて長年さまざまな品種改良が重ねられ、より多く収穫できるようになってきたことを知り、先人たちの苦労のうえに今の豊かさがあることを実感しました。
令和8年度 岡山大学資源植物科学研究所 一般公開のデータ

| 名前 | 令和8年度 岡山大学資源植物科学研究所 一般公開 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年5月9日(土) 午前10時〜午後3時(開門:午前9時30分) |
| 場所 | 岡山県倉敷市中央2丁目20-1 |
| 参加費用(税込) | 無料 |
| ホームページ | 岡山大学資源植物科学研究所 |














































