Art Goes On(2026年10月23日放送)~ 平櫛田中の《鏡獅子》と現代作家が「タイマン」。倉敷民藝館の柳沢秀行館長と語る「共鳴スルカタチ」と倉敷本染手織会作品展

画像提供:エフエムくらしき

FMくらしきの「週刊くらしきハッピーレディオ」では、毎月第4金曜日に倉敷民藝館の館長、柳沢秀行やなぎさわ ひでゆきさんを迎えて「Art Goes On」のコーナーを届けています。

2026年10月23日(金)の会を一部抜粋して紹介します。

この記事は株式会社エフエムくらしきによる寄稿記事です。一般社団法人はれとこ編集部が編集し、公開しています。

記載されている内容は、2026年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

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今回の出演者

  • 柳沢秀行(ゲスト)
    倉敷民藝館館長。公益財団法人大原芸術財団シニアアドバイザー兼務。
    岡山県立美術館、大原美術館で学芸員を務め、2023年に倉敷民藝館の館長補佐、2026年4月から館長。
  • チャーリー大谷(パーソナリティ)

平櫛田中の《鏡獅子》と現代作家が向き合う「共鳴スルカタチ」

井原いばら市立平櫛田中ひらくし でんちゅう美術館では、2026年12月6日(日)まで特別展「共鳴スルカタチ 巨匠と現代作家が仕掛ける美の冒険」が開かれています。井原市出身で、百歳を超えても制作に打ち込んだ彫刻家、平櫛田中の作品と、20人の現代作家の作品を組み合わせた展覧会です。

展示の軸は、田中の代表作《鏡獅子かがみじし》。歌舞伎の演目「春興しゅんきょう鏡獅子」を踊る六代目尾上菊五郎おのえ きくごろうの姿を、木に彫って色を付けた像で、1958年に完成するまで、制作に約20年をかけました。会場には、完成した像の他、制作の途中で作った試作も並んでいます。大谷さんは、すでに足を運んだそうです。

画像提供:エフエムくらしき
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大谷

僕が行った時は、たまたま人が少なくて。最初の部屋に入ったら、《鏡獅子》の小さな試作のような作品があって。

柳沢

でっかいライオンみたいなのもあったでしょう。

大谷

キメラ。それが向かい合っていて、その間を歩くのが申し訳ないような感じでした。お互いが見つめ合っている作品の間を、ここを通っていいのかなって。ちょっとドキドキしましたね。

平櫛田中賞を受けた作家たちも並ぶ

平櫛田中の名を冠した「平櫛田中賞」は、現代の彫刻家に贈られてきました。柳沢さんによると、受賞者は現代日本の彫刻界で活躍する人ばかりだそうです。

柳沢

大谷さんが言っていた、《鏡獅子》と向かい合っているキメラ。ライオンに羽が生えたような、大きいけれどかわいいやつ。あれを作ったのが三沢厚彦みさわ あつひこさん。その三沢さんと対談した小谷元彦おだに もとひこさんも人気者ですよ。大原美術館にある《ロンパース》という映像作品を作った人でもあるんです。

今回は、平櫛田中賞を受賞してきた人たちだけかと思っていたら、いろいろな現代のクリエイターが、田中さんの作品とタイマンを張るような感じ。集団の対決じゃなくて、作品ごとにタイマンなんですよね。意欲的な試みだと思います。

大谷

木という素材がこんなにも無限で、表現が自由なんだと。日本人って木が好きなのかと思うぐらい、木の可能性を感じました。

特別展「共鳴スルカタチ」チラシ

学芸員1年目に担当した木彫展と、舟越桂さん

柳沢

30数年前、1991年に岡山県立美術館で、日本の近現代の木彫の展覧会をやったんですよ。担当したのは、学芸員1年目の僕。

大谷

そんなに前に。

柳沢

その展覧会でいちばん最先端として取り上げたのが、舟越桂ふなこし かつらさん。
亡くなられてしまったけれど、今回の展覧会では、もう現代の巨匠という扱いでしたね。僕なんかは、自分の歴史と重ね合わせながら見ていました。

あの時は、桂さんの作品は結構、木のにおいがしたんですよ。さすがに30年もたつと、においは抜けていましたね。

なんといっても、小谷さんの作品はぜひ見てほしい。中身はあんまり言っちゃいけないけど。これからの季節は、あちらの方へドライブするのもすごくすてきですからね。

年に1度、ノッティングが並ぶ「倉敷本染手織会作品展」

倉敷本染手織会作品展(2024年開催時)
倉敷本染手織会作品展(2024年開催時)

大谷さんが毎年気になっているのが、倉敷民藝館で11月3日(火・祝)から開かれる展示即売会「倉敷本染手織会作品展」です。

作品を手がけるのは、倉敷本染手織研究所で学んだ人たち。研究所は1953年に倉敷民藝館の初代館長、外村吉之介とのむら きちのすけさんが設けたもので、民藝館の真向かい、倉敷アイビースクエアへ抜ける道の角にあります。

毎年、何人もの人が1年かけて、糸を染めて手で織る技術を学んでいます。代表的な作品が「倉敷ノッティング」。羊毛の束を木綿の糸に結び付けて織る椅子敷きです。

柳沢

あそこは「いらっしゃい」という場所じゃなくて、研鑽(けんさん)を積む場所。
でも、行ったら本当に良い感じですよ。根詰めて一生懸命やっているというより、日々の生活を豊かに楽しみながら作ることを習っている。作るだけが目的じゃなくて、日々ちゃんと暮らすことを習っている感じなんです。

そこで作られたものを、民藝館の1階で開いている企画展を全て片付けた後、1週間並べるんですね。

大谷

そういうことか。

柳沢

特にノッティング。ふかふかした座布団みたいなやつ。
いいお値段だけど、いつも初日は大勢の方が並ぶんですよ。あれだけまとめて見られる機会は、他にないわけ。扱ってくださるお店はあっても、選べるのは3つか4つですから。

大谷

後半に行くと、選べるものがないのかなと思って、腰が引けちゃうんですよ。

柳沢

それが出会いです。なくなったら、誰かに愛されていると思えばいいじゃないですか。でも、どうしても欲しかったら初日に並びましょう。どっちも真理なんです。

作品展の会場は入館料なしで見られる

ノッティングの他にも、ショールなどの織りの作品や小物が並び、価格帯もさまざまだそうです。作品展の会場には、入館料を払わずに入れます。

柳沢

そこを見に行くだけでも楽しいですし、見たらきっと民藝館にも入りたくなっちゃいますから。

倉敷本染手織会作品展 ~ 倉敷発「世界一小さな学校」の卒業生の手で染められ紡がれた年に一度の作品展覧会

おわりに

井原で巨匠と現代作家の「タイマン」を見て、倉敷で手織りの作品と出会う。柳沢さんの話を聞くと、秋の週末の予定が決まりそうです。

番組で紹介した催し

特別展「共鳴スルカタチ 巨匠と現代作家が仕掛ける美の冒険」

住所:
岡山県井原市井原町315
井原市立平櫛田中美術館

会期:
2026年10月9日(金)~12月6日(日)

開館時間:
午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

休館日:
月曜

観覧料:
一般1,000円
高校生以下は無料

Webページ:
公式サイト
https://www.city.ibara.okayama.jp/site/denchu-museum/21137.html

倉敷本染手織会作品展

住所:
岡山県倉敷市中央1-4-11
倉敷民藝館 1号館1階 特設ギャラリー

会期:
2026年11月3日(火・祝)~8日(日)

開催時間:
午前10時~午後4時30分(最終日は午後3時まで)

入場料:
無料

支払い方法:
現金のみ

Webページ:
公式サイト
https://kurashiki-mingeikan.com/kashi2012.html

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名前エフエムくらしき「週刊くらしきハッピーレディオ」
住所岡山県倉敷市白楽町520-28
連絡先086-430-0828
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