【11/6・7・13・21開催】くらしきアーキツーリズム たてものツアー 〜 倉敷を愛した建築家のまちづくりへの想いに触れてみよう

倉敷国際ホテル

倉敷市庁舎をはじめ、倉敷市内に多くの建築を遺した倉敷出身の建築家 浦辺鎮太郎うらべ しずたろう。

2026年11月1日(日)から28日(土)まで、倉敷アイビースクエア内にある愛美赤煉瓦館にて開催される展覧会「ReciproCities デュドックと浦辺鎮太郎の知られざる物語」に合わせて、浦辺氏の代表作を巡るガイドツアー「くらしきアーキツーリズム たてものツアー」が実施されます。

倉敷市庁舎など、普段何気なく見ている建物に込められた建築家の思いに触れるガイドツアーの内容を紹介します。

記載されている内容は、2026年11月記事掲載時の情報です。現在の情報とは異なる場合がございますので、ご了承ください。

広告

くらしきアーキツーリズム たてものツアーとは

2022年から2025年までの4年間にわたり開催された「くらしきアーキツーリズム」。

毎年異なるテーマで倉敷美観地区周辺の建築を紹介した「たてものカード」を配布し、それぞれの建物の魅力について発信してきました。

たてものカード(くらしきアーキツーリズム2025)
たてものカード(くらしきアーキツーリズム2025)

今年(2026年)は解説型ガイドツアー形式の「くらしきアーキツーリズム たてものツアー」として、装いも新たに再スタートすることになりました。

ツアーの対象となる建物は「倉敷市庁舎」と「倉敷考古館」、「倉敷国際ホテル」で、いずれも倉敷出身の建築家、浦辺鎮太郎氏の手により設計された建物です。

また、本ツアーでは建物がうまれた背景や物語を共有することで、街や建築への愛着を育み、倉敷の文化を次の世代へ継承していく目的も込められています。

倉敷市庁舎ツアー

「倉敷市庁舎ツアー」は、浦辺氏の代表作である倉敷市庁舎を、建築の視点で巡るガイドツアーです。

倉敷市役所 本庁舎
倉敷市役所 本庁舎

ツアーでは、浦辺氏が倉敷市庁舎に込めた知られざる思いを感じながら、普段なかなか立ち入る機会のない「市民ホール」や「議場」などをスタッフの解説付きで見学します。

市民ホール
市民ホール

また、ツアーに合わせて作成されたオリジナルパンフレットも配布。パンフレットには、建物の見どころや背景が分かりやすく紹介されています。

2026年7月に開催された小中学生向け見学ツアーの様子(画像提供:株式会社浦辺設計)
2026年7月に開催された小中学生向け見学ツアーの様子(画像提供:株式会社浦辺設計)
倉敷市庁舎ツアー

開催日時:
2026年11月6日(金)・11月13日(金)
午前10時~午前11時30分

会場:
倉敷市役所

参加費:
無料(定員 各回先着30人/Googleフォームより要事前申込)

対象:
小学生以上(小学生は保護者同伴)

関連企画:
11月11日(水)・18日(水)・25日(水)には、予約不要で特別な空間を楽しめる「市民ホール OPEN DAY」も実施されます。

建築物としての「倉敷市役所 本庁舎」 ~ 高い塔と市民ホールにこだわりが詰まった、倉敷のシンボル(くらしき建築紀行 Vol.4)

美観地区建物ツアー

「美観地区建物ツアー」は、倉敷美観地区にある浦辺氏の初期作品「倉敷考古館」と代表作の1つである「倉敷国際ホテル」を建築の視点で巡るガイドツアーです。

倉敷考古館

倉敷考古館では、「新旧調和」のキーワードに注目。
倉敷美観地区を代表するアイコンの1つである江戸時代末期の米蔵と、浦辺氏の手がけた後方の増築部の外観を対比し、設計の裏側に秘められた思いを紐解きます。

倉敷考古館(増築部)
倉敷考古館(増築部)

新旧調和の一例としては、スパニッシュ瓦葺きの置き屋根、モダニズム建築のエッセンスを感じるコンクリート壁に自由に配置された窓など、新しい要素を古い町並みに馴染ませる試みが見られます。

建築物としての「倉敷考古館」 ~ 江戸時代の木造「米蔵」と昭和期の鉄筋コンクリート「増築棟」の調和に注目(くらしき建築紀行 Vol.1)

倉敷国際ホテル

倉敷国際ホテルでは、伝統的な倉敷の町並みに調和するホテルの建築に注目。近代的なモダニズム建築でありながら、随所に感じられる倉敷の古い町並みのエッセンスを探ります。

倉敷国際ホテル
倉敷国際ホテル

ホテルの創設者である大原總一郎おおはら そういちろう氏は、構想時に以下の言葉を掲げています。

倉敷を本当に愛して訪れる人々にとって共通のウイークエンドハウスのような小ホテルがあればそれは最も好ましい事と思う。そしてそれ自身町と調和した文化財でもあってほしいと思う。

引用元:An Inn with Pub projected at KURASHIKI August 6 1953

浦辺氏がその思いを具現化し、1963年に倉敷国際ホテルが開業しました。

以降、リニューアルや改修は行われているものの、ロビーの吹き抜け空間に掲げられた棟方志功むなかた しこうによる巨大な木版画「大世界の柵<坤>人類より神々へ」や、アスファルトブロックが敷き詰められたロビーなど、開業時と変わらない倉敷の町と調和した文化財としての風格を今に伝えています。

ロビーに掲げられた木版画「大世界の柵<坤>人類より神々へ」
ロビーに掲げられた木版画「大世界の柵<坤>人類より神々へ」

2つの異なる建物(倉敷考古館、倉敷国際ホテル)から、浦辺氏の建築家としての成長過程や情熱を深掘りし、その対比を楽しむことが本ツアーの醍醐味です。

また、倉敷市庁舎同様、こちらでもオリジナルパンフレットが用意されています。

美観地区建物ツアー

開催日時:
2026年11月7日(土)・11月21日(土)
午前10時~正午

会場:
倉敷美観地区(倉敷考古館、倉敷国際ホテル)

参加費:
500円(定員 各回先着30人/Googleフォームより要事前申込)

対象:
小学生以上(小学生は保護者同伴)

建築物としての「倉敷国際ホテル」 ~ 大原總一郎のコンセプトが現代に息づく美観地区に調和したホテル(くらしき建築紀行 Vol.2)

浦辺設計 河本さんインタビュー

株式会社浦辺設計 取締役執行役員 河本二郎さん
株式会社浦辺設計 取締役執行役員 河本二郎さん

くらしきアーキツーリズム たてものツアーの注目点や見どころについて、企画に携わった株式会社浦辺設計 取締役執行役員の河本二郎こうもと じろうさんにお話を聞きました。

くらしきアーキツーリズム たてものツアー企画の経緯について教えてください

河本(敬称略)

去年(2025年)までの4年間、倉敷市観光課と連携してハガキサイズの「たてものカード」を集めながら倉敷美観地区周辺を巡る「くらしきアーキツーリズム」を実施していました。

2025年でくらしきアーキツーリズムは終了しましたが、倉敷市観光課より「建物紹介を新しい観光資源として継続したい」という相談を受け、新たな取り組みを検討しました。

従来のたてものカード配布には、カードの文章を読むだけになり、スタンプラリーのように建物を見てすぐ帰ってしまうという課題があったんです。

そこで、ただ通過するのではなく、見学ポイントを絞って建物の特徴や魅力を丁寧に説明する「たてものツアー」を新たに企画しました。

たてものカード(くらしきアーキツーリズム2025)
たてものカード(くらしきアーキツーリズム2025)

たてものツアーでピックアップしている建物(倉敷市庁舎、倉敷考古館、倉敷国際ホテル)を選んだ理由について聞かせてください

河本

たてものツアーで「倉敷市庁舎」「倉敷考古館」「倉敷国際ホテル」の3つをピックアップした背景には、建築家・浦辺鎮太郎の思想を深掘りするための明確な意図があります。

倉敷市庁舎は、シビックプライドを表現した市民ホールや高さ66mの塔をはじめ、各所のディテールに浦辺らしさの詰まった建物です。規模の大きな建物で、見どころが非常に多く、解説を交えながらじっくり鑑賞・体感するのにふさわしいこともあり、ツアーの対象としました。

倉敷市役所本庁舎の塔
倉敷市役所本庁舎の塔

倉敷国際ホテルは日本建築学会賞を受賞し、浦辺が全国的な評価を得た代表作と言える建物です。しかし、現役のホテルとして使用されているため、ロビーや外観など見学可能な場所が限られるという側面もありました。

倉敷国際ホテルのロビー
倉敷国際ホテルのロビー

そこで、浦辺が建築家として評価された原点であり「新旧調和の第1号」と言える倉敷考古館を組み合わせました。

置き屋根が特徴的な増築部
置き屋根が特徴的な増築部

浦辺が倉敷考古館で何を試み、それを倉敷国際ホテルでどのように昇華させたのかという建築思想のステップや成長プロセスを、2つの建物を順番に巡ることで体感できるように構成しています。

パンフレットの製作などが若手社員のレベルアップにもつながっているそうですね

河本

2025年まで開催された「くらしきアーキツーリズム」において、弊社スタッフによる親しみやすい手書きイラストなどを挿絵として使用しました。それを見た若い社員たちが、「自分も描きたい」と自発的に手を挙げるようになります。

実際に、子どもたちが楽しく遊ぶ様子などを描いた温かみのあるスケッチを保育所の設計コンペ提案に取り入れたところ、高い評価を受けて採用されることとなり、仕事の獲得に結びつきました。

親しみやすい表現方法を試行錯誤することが、先述した若い世代のスキルアップ、ひいては建築ファンを増やす原動力になっています。

ツアーを通して、どういった部分に注目してほしいですか(それぞれの建物の見どころや楽しむポイント)

河本

ツアーの解説および実際の建物を通じて、それぞれの建物が「なぜその形になったのか」「建築家がどのような思いや工夫を込めたのか」といった理由やストーリーをじっくり感じ取ってほしいです。

倉敷美観地区周辺の建築は、建築家個人の自己主張だけでなく、周囲の景観や暮らす人々に対する配慮や気遣いの上に成り立っています。古いものを安易に壊して建て替えるのではなく、設備を更新しながら永く使い続けてきた姿勢から、倉敷という街が育んできた共存の思想や文化を感じ取って頂ければうれしいですね。

おわりに

近年日本各地で開催されている「建築ツアー」。
普段何気なく見ている建物の裏側にある物語に触れられると、建築ファンはもとより多くの方から好評を得ています。

たてものツアーに合わせて、2026年11月1日(日)から28日(土)まで、倉敷アイビースクエア内にある愛美赤煉瓦館にて展覧会「ReciproCities デュドックと浦辺鎮太郎の知られざる物語」も開催されます。

芸術の秋、ふるさと倉敷を愛し、倉敷に愛された建築家の横顔に触れてみませんか。

広告
詳細情報

くらしきアーキツーリズム たてものツアー

会場:
倉敷市役所、倉敷美観地区周辺

開催日時:
【倉敷市庁舎ツアー】
2026年11月6日(金)・11月13日(金)
午前10時~午前11時30分

【美観地区建物ツアー】
2026年11月7日(土)・11月21日(土)
午前10時~正午

参加費用:
倉敷市庁舎ツアー:無料
美観地区たてものツアー:500円

Webページ:
倉敷市公式ホームページ
https://www.city.kurashiki.okayama.jp/culture/tourism/1001881/1016114/1026711/1027248.html

倉敷とことこの厳選記事を LINEでお届けします

倉敷とことこの厳選記事を LINEでお届けします

あなたの月500円が、次の取材費になります。

倉敷とことこの取材費はメディア運営とは別の収益事業でやり繰りしていて、寄付・協賛は収入の1割ほどしかありません。

クレジットカード対応

この記事を書いた市民ライター
787B
787B

倉敷市在住のものづくりに携わる会社員。倉敷はもとより、多様な色を持つ高梁川流域エリアの情報発信を、内部者と外部者双方の視点でやっていけたらと思っています。

ほかの市民ライターを見る →

連携協定

地域を知る

高梁川流域を知る